『夢日記』 (デジタル版) 第三頁
あとがき》
「文字や文章、物語など活字の類は、ただの光でしかない」と、思うのです。私は、結局のところ。フィクションもフィジカルもフィーリングも。それが眼に映る無数の、光でした。
p.s.
拝啓。親愛なる誰か。この町の、この道の渡り方を、私にお教え願います。敬具。
※
本文
昨日か、一昨日に見た夢。
これだけは言っておく。
この話は(或いは)フィクションではない。
俺はエスカレーターを下っていたと思う。
それは果てしなく長い。
美しい女学生たちを目にした。
洗練された大理石の床。
構内は広くて、それはJR新宿駅によく似ていた。
それでも、それほどに多くの人はいない。
俺が目にしたのはビューティフル・ビュー。
そこでシーンは飛ぶ。
地下の料亭で怪しからぬことをした。
そこでシーンは飛ぶ。
二人の娼婦と俺。
もう一人いたと思うが。
上昇するエレベーター。
崖下がよく見渡せた。
それはあべのハルカスによく似ていた。
二人のうち、俺の相手ではない女。
彼女が印象的だった。
アヴリル・ラヴィーンによく似ていた。
美しく、艶やかな女。
彼女は今年で40になるという。
それが嘘か真か、俺は混乱した。
しかし、彼女が載った看板は錆付いていた。
小学5年の頃に通学路が変わった。
そこに、その看板はあった。
そこでシーンは飛ぶ。
交じり混じる真風。
彼女と俺は風になった。
俺は彼女を愛し始めていた。
そこでシーンは飛ぶ。
屋上で出会った少女。
可愛らしいアンクレット。
何か言っていた。
命を宿しているらしい。
それが嘘か真か、俺は混乱した。
それ以外の言葉を忘れた。
そのことを、俺はかなしく思う。
そこでシーンは飛ぶ。
交じり混じる真風。
少女と俺は風になった。
少女は今年で15になるという。
或いは然もありなん、とも思った。
そこでシーンは飛ぶ。
この屋上庭園から逃げ出す術。
俺は求めていた。
水晶のディスクが浮かんでいた。
或いは四角形のリモートコントローラ。
それを掴み、俺は上昇した。
空。
代入演算子。
この世界の境界を超えて。
そこでシーンは飛ぶ。
俺がシーンを飛ばす。
シーンが俺を飛ばすのかも知れない。
森羅万象に出会い、森羅万象と別れた。
そこでシーンは飛ぶ。
俺の、否。
俺を捉えた‘‘意識’’の行方は、知らない。
兎にも角にも、泳ぐしかない。
この水晶は制御が難しい。
俺は悩んでいた。
前に進もうとすると後ろに傾く癖に。
俺は悩んでいた。
もちろん、どこへ向かうのかについて。
そして、同じ空を旋回した。
旋回した同じ空を。
それから。
左手には時計塔。
何故だか無性にそこへ行きたかった。
それでも。
俺は知っていた。
それが叶わぬことを。
だから、それが寂しいとは思わない。
仕方なく、反対側に舵を切った。
そこでシーンは飛ぶ。
針葉樹の庭。
空気の透過率。
ペトラルカの肖像。
進んだ。
心が俺を進ませた。
身体が俺を進ませた。
どちらでも同じだ。
俺は、進んだ。
樹木と、かつて樹木であったそれをかき分けて。
そこでシーンは飛ぶ。
彼がいた。
段々となった陽だまりに彼はいた。
隣にいる男は彼の父親だ、と俺は直感した。
彼に声を掛けたと思うし、声を掛けられもした。
どちらでも同じだ。
俺と彼は歩き出した。
孤独と微笑を分け合うようにして。
そこでシーンは飛ぶ。
彼は名を、A・エリフィンという。
ファーストネームが俺のそれと同じだった。
よく見ると風貌も俺に似ていた。
幾らか若く見えたが。
彼は言った。
「エリピンと呼ばれるのが嫌なんです」
そこでシーンは飛ぶ。
交じり混じる真風。
彼と俺は風になった。
エリフィンと俺はひたすらに歩いた。
水飲み場の蛇口。
何故だか無性に懐かしくなった。
こんなモノが残っているなんて。
エリフィンは笑った。
彼は今年で27になるという。
それが嘘か真か、俺は混乱した。
俺より2つ年上のA・エリフィン。
この男を、俺は昔馴染みのように感じていた。
そこでシーンは飛ぶ。
エリフィンと俺は崖に辿り着いた。
それは三徳山投入堂によく似ていた。
そこに電話が鳴った。
例えるならば、剥き出しの公衆電話。
俺かエリフィン、どちらかが取ったと思う。
「コノツウワハ、オヤドノ、カクニンノ…」
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そこでシーンは飛ぶ
俺はエリフィンに尋ねた。
「そろそろ帰りたいのだけれど」
エリフィンは答える。
「どこへですか。貴方の世界は失われた」
彼によると、この世界は言和377年だという。
それが嘘か真か、俺は混乱した。
俺は西暦2014年に戻りたかった。
それでも、俺は妙な安堵感を覚えていた。
そのセカイでは日本の漫画が流行っていた。
『鉄腕アトム』『キン肉マン』など。
「『ワンピース』は知っているかい」
「知らないです」
人気タレントは明石家さんまだという。
それから後のことは覚えていない。
しかし、この話はフィクションではない。
それだけは断言できる。
俺はあの時、そこにいた。
アヴリル・ラヴィーン似の娼婦を愛した。
アンクレットの少女を愛した。
言和377年をエリフィンと歩いた。
その影が、この心と身体に染み付いている。
目を覚ました。
俺は激しい頭痛と悪寒に蹂躙された。
頭の中が五月蝿い。
様々な文章、様々な景色、様々な音色。
已むなく、俺はそれにタイトルをつけた。
「真空」というタイトルをつけた。
夢とは文字通り夢のような言葉である。
幻。
不確かなモノ。
或いは希望的観測。
眠っている時に見る夢。
「これが夢ならば、現実が本当の夢なのだ」
俺はそう信じている。
誰かが神を愛するように。
※
《