「連戦」
「連戦」
シンゴ達が副長と合流してから、既に20分が経過し、時計の針は18時30分を指しており、副長のナビゲートで進んでいる、
ここまでダイス目が良く、1と6の組み合わせを回避し順調に進み、6階への階段が見えてくる、
「すげぇな副長、マップ記憶してるのか」
席に戻ったミノが言うと、副長は頭を掻いて、
「10年待ってたんだぞ?、いつ救出が来てもいいように、準備だけはしておいたってことかな、時間はあった訳だしね、
ただ…昨日始めたばかりのパーティが救出しに来るとは思ってなかったけど」
そう答えると、副長はシンゴを見ると、シンゴは苦笑いし
「まぁそう言うなよ、副長」
とシンゴが答えると、副長はニコリと笑い
「ああ、違うんだ、嬉しいんだよ、ありがとう」
そう言うと、シンゴも頭を掻く、
それを見てユキとハッちゃんは顔を見合わせて笑う
「だいぶ近づいてきたな、副長あと何マス位かな?」
タフがそう質問すると、少し間をおいて副長は一瞬目を閉じ
「ああ、後8マスかな、このまま1と6が出なければいいが…」
と答えると、ミノが顎に手を当てる
「そうことを言うと、意外に出しちゃうんだよな…」
ミノが余計なことを言うと、それを聞いてハッちゃんがムッとする
「ちょっと、ミノさんやめてくださいよ」
ハッちゃんに注意され、ミノはバツが悪そうな顔をする、
そして副長がダイスを投げる
「出た目は赤5黄1合計6、エンカウント無し、進んでください」
ミノは結果を聞いて胸をなでおろすと、
副長もホッため息をついて言う
「はぁ…よかった、あと3マスか、行けそうだな」
副長が安堵すると、シンゴは頷き
「ああ、副長時間もない、ダイスを振ってくれ」
と移動するよう副長に促す、それを聞いて副長はダイスを振る、
「赤1黄6合計7、特殊エンカウントです、敵はフロアボス、イフリート、移動は戦闘終了後に行えます」
【GMミヨシ】がフロアボス戦を告げると、一同ミノをにらみつける
「いやいや、今のは何も言ってないし、俺のせいじゃないって」
ミノは両手を振って無実をアピールする、【魔王ミナミ】が行動順ダイスを振る
「出た目は2、魔王の行動順は2番です」
タフはそれを聞いて手を合わせる
「ミノがいないから、先制攻撃じゃねぇか、こっちは防御してないんだぞ、南無三」
タフがそう言うと、【魔王ミナミ】はニコリと笑う
「申し訳ないですけど、手加減はしませんよ、ていうかダイス振るのに手加減できないですし」
そう言って【魔王ミナミ】はダイスを振る
「出た目は2、ナイトは150のダメージです」
【GMミヨシ】が攻撃結果を言うと、シンゴとタフはホッとして同時に言う
「あぶねぇ~」
シンゴとタフを見て、副長は苦笑いすると、すぐに真剣な顔をして指示を出す
「タフは防御、部長はクロススラッシュで攻撃だ」
副長の指示を聞いて、シンゴとタフは気を取り直し、指示に従う
「【GM】さん、ナイトは防御だ」
タフが防御を申告すると、シンゴも続く
「【GM】、クロススラッシュを使うぞ」
シンゴの申告を受けて、【GMミヨシ】は頷く、それを見てシンゴはダイスを振る
「出た目は2、イフリートに54のダメージ」
【GMミヨシ】が攻撃結果を言うと、シンゴは喜ぶ
「おお…、流石はコンバージョンソード強いな…、」
シンゴがそう言うと、副長は頷く
「クロススラッシュを使えば、最低でもダメージ53は確保できる、ひょっとこナイトとコンバージョンソード持ちのコンビ、なかなかいいだろ?」
副長がそう言うと、タフががっくりする
「ひょっとこナイトって言うなよな…」
そんなタフを尻目に、副長は瞬時計を見てから続ける
「時間も30分を切ってるんだ、速攻で片を付けるぞ、【GM】、スキル「ファストキャスト」を使う、対象は召喚魔法「氷の竜」」
副長がスキルの使用を申告すると、【GMミヨシ】は頷く
「「ファストキャスト」により、対象魔法のスキルポイントを2倍消費します、召喚魔法「氷の竜」のスキル消費は10ですから、サモナーはスキルを20消費します」
【GMミヨシ】の説明を聞いて、シンゴは副長を見る
「おいおい、最大スキルポイントの半分を消費してるぞ、つか「ファストキャスト」ってなんだ?」
心配そうにシンゴが言うと、
副長が質問に答えるより先に、【GMミヨシ】が続けて説明する
「「ファストキャスト」の効果により、詠唱必要ターンが1ターン減り、召喚魔法「氷の竜」に必要なターン数が2から1へ減ります、
召喚魔法「氷の竜」は次のターンで使用可能です」
【GMミヨシ】が結果を説明し終わると、副長がサモナーについて説明する
「サモナーの召喚魔法は強力だが、発動までにターン数が必要となる、そのターン数を短縮できるのが「ファストキャスト(高速詠唱)」なんだ、
ただ、それでなくても召喚魔法は、スキルポイントを消費するのに、「ファストキャスト」で、さらに倍のスキルポイントを消費するのが難点なんだよ…」
副長がそこまで説明すると、ユキはあることに気づき
「それで、ボス戦用の決戦職なんですね…、なんかロマンありますね、サモナーって…」
とユキが納得するのを見て、
副長はニコリと笑うと、ハッちゃんに指示をする
「にしても先制攻撃が痛かったね、ハッちゃんはアドバンスヒール、ユキさんもヒールワンドでヒール、二人でナイトの回復をお願いします」
副長の指示を聞いて、ハッちゃんとユキは頷き、【GMミヨシ】にナイトへのヒールを申告すると、
その結果、ナイトのHPは満タンまで回復する、
そして、2ターン目に入り、【魔王ミナミ】はダイスを振る
「出た目は4、ナイトは38のダメージです」
【GMミヨシ】が攻撃結果を言うと、
それを聞いてタフは安堵しつつ、副長に質問する
「副長、召喚魔法がどのくらい強力なのかわからんが、次のターンで倒せるのか?」
タフが疑わし気に聞くと、副長は答える
「大丈夫だよタフ、次のターンで倒せるよ、よし、タフは続けて防御だ、部長はクロススラッシュを」
副長の指示を聞いて、タフは防御、シンゴは攻撃をする、
そして副長の攻撃順になり
「よし【GM】、召喚魔法「氷の竜」を使う」
副長は召喚魔法の使用を申告すると、【GMミヨシ】はそれを聞いて頷く
「召喚魔法「氷の竜」を発動、固定ダメージ200、加えて、火系モンスターに特効100ダメージ、イフリートに合計300のダメージ、イフリートを倒しました」
それを聞いて全員がどよめき、【魔王ミナミ】は文句を言う
「ちょっとぉ、強すぎると思うんですけど?」
【魔王ミナミ】はブスッとする、副長は苦笑いする
「フクヤマさん、そんな顔しないで、サモナーはボス戦でしか活躍できないんだからさ、
それに、ここのイフリートは、ダイス目によっては、何度も遭遇してしまうボスだから、
本物のイフリートより、若干だけど弱めに設定されてるんだよ」
そう説明され、【魔王ミナミ】はしょうがなく納得する、
そんな【魔王ミナミ】とは正反対に、ユキは目をキラキラさせている
「すごい、サモナーって…スキルポイントを犠牲にして、一撃300の固定ダメージって…、本当にロマン砲ですね、私転職したら絶対サモナーになるわ…」
ユキがそう言うと、ハッちゃんはユキを見て
「ユキちゃん、そんなに焦らないで、他にも職業あるみたいだし、ですよね副長さん?」
ハッちゃんはそう言って副長を見ると、副長はユキを見て
「ユキさん、ハッちゃんの言う通りですよ、サモナーはボス戦以外では、本当に役に立たないし、ウィザードの職業には他にも色々かっこいいのあるから、例えば…マジックスレイヤーとか…」
と副長がそこまで言うと、ユキの目がさらに輝く
「マジックスレイヤー!」
ユキが「マジックスレイヤー」に食いついてしまい、副長が苦笑いすると、
ハッちゃんがユキを止める
「ユキちゃん、とにかく先ずは帰還しましょう」
ハッちゃんはそう言って、ユキに時計を見るよう促すと、ユキは気を取り直す
「あ…ゴメン、そうでした、時間が無いんでした」
ユキがそう言って反省すると、
シンゴは頭を一度掻いて、副長を見る
「副長、進もう」
シンゴが副長に出発を促すと、副長は頷きダイスを振った、
そして、出た目を見て、シンゴ達は愕然とする、
「そんな…」
シンゴがそう呟くと、パーティメンバー全員が、ダイス目を見て固まってしまう、
そんなシンゴ達を見て、申し訳なさそうに【GMミヨシ】が
「なんというか…、出た目は赤6黄1合計7、特殊エンカウントです、敵はフロアボス、イフリート、移動は戦闘終了後に行えます」
と戦闘開始を告げると、それを聞いた瞬間、シンゴ達はミノを睨む
「いやいやいや、今のは流石に、俺のせいじゃないから…、いや…もう俺のせいでいいです、はい、すいません」
ミノはがっくりとした。




