「合流」
「合流」
シンゴ達はミノの身を挺した作戦で、副長となんとか合流し、タウンへの帰還について相談する。
「副長、まずは地図を見せてくれ」
シンゴがそう言うと、副長は頷き、古い手書きの地図を見せる
「この地図を既にPCに打ち込んである、PCのマップを見てほしい」
副長の返答を聞き、シンゴはPCのマップを見て眉をしかめる
「おいおい副長、地下7階の地図を見ているが、半分以上埋まってないぞ、どうやって帰還するんだ、6階への階段もないぞ?」
とシンゴが聞くと、副長は笑い
「まぁまぁ、6階の地図を見てくれよ」
そう言うと、全員がマップを見る、そしてハッちゃんが気付く
「ああ、6階の7階へ降りる階段がありますね、位置は…横45縦31ですね」
ハッちゃんが納得すると、ユキが顎に手を当て
「でも副長さん、階段の座標はわかったけど、地下7階で埋まっていない部分になります、まずルートを探さないといけないですね」
と副長に質問すると、シンゴも時計を見て続ける
「既に残り時間は一時間しかないし、スキルポイントも回復ポーションも心もとない、道に迷ったら終わりだぞ、副長どうする」
二人の質問を聞いて、副長は頷く
「心配するな、地図には書き込めないが、10年も救出を待ってたんだぞ、ここにルートは入ってるさ」
と答え、自分の頭を人差し指でチョンチョンと突く、
それを見てタフどういうことか気づく
「なるほど、踏破してないからマップに書き込めないが、頭に入ってるってわけか、じゃあ副長にナビゲートを頼もうぜ、部長?」
タフがそう言うと、シンゴは副長を見る
「じゃあ、頼むよ副長」
シンゴに頼まれ、副長は了承すると、古いキャラクターカードをデスクの上に置く
「その前に、【GM】これは私のキャラクターカードで、間違いなく当時のものだ、これをPCの6人目の欄に入力ある、確認してくれ」
副長がそう言うと、【GMミヨシ】は頷き確認し、キャラクターを説明する
「キャラクター名「ミユ」、職業はサモナーでレベルは30です、 腕力2・体力2・知力30・運24・スキルポイントは45です」
キャラクターの内容を聞いて、シンゴは驚く
「なんだサモナーって?、ステータスめちゃくちゃ強いじゃないか」
シンゴを見て、副長は答える
「ああ、上級職だからな、みんなも別のダンジョンとかにチャレンジして、レベルをどんどんあげれば転職できるようになるよ、因みにサモナーはウィザードの上級職でボス戦用の決戦職と言われている」
副長の説明を聞いて、ユキの目が輝く
「私もサモナーに転職できるんですか?」
ユキに質問され、副長は笑顔で
「もちろんです、ユキさん」
と返答すると、ユキも笑顔になる、
そして【GMミヨシ】が説明を続ける
「サモナーは行動順が4番なので、クレリックの行動順が5番、ウィザードの行動順は6番に下がります」
行動順の説明を聞き、ユキとハッちゃんは頷くと、ハッちゃんが副長を見て
「副長さん、サモナー強そうだし、希望が出てきましたね」
期待を込めて言う、しかし副長は顔を曇らせる
「いやそれがハッちゃん…、私のサモナーは、HPもスキルのポイントも底をついてるから、役に立てないとおもうんだ…」
副長がそう言うと、ハッちゃんはがっかりし、
そのやり取りを見て、タフは苦笑いし
「まぁ、そうだと思ったよ…」
と呟くと、ユキが何かを思い出す
「そうだ、思い出しました、これ使えるんじゃないですか?」
そう言ってユキは、「エリクサー」のスターカードを副長に見せる
「すごい、いつ出したのこれ?」
副長が驚くのを見て、シンゴも思い出す
「そうだ、副長が席外してる間に、ユキが出したんだよ」
シンゴが経緯を説明すると、ユキは副長に「エリクサー」のスターカードを渡す
「ぜひ使ってください」
ユキからカードを受け取ると、副長の顔に生気が満ちる。
「【GM】、エリクサーを使用する」
副長はエリクサーの使用を申告すると、【GMミヨシ】が頷く
「エリクサーの使用により、サモナーのHPとスキルポイントは全回復しました」
【GMミヨシ】はそう説明すると、PCのデータを変更する、
そして副長はパーティメンバーを見る
「よし、これで希望が出てきた、エリクサー使う前は、かなりやばいと思っていたが、これで1回位ならイフリートと遭遇してもいけるぞ」
副長は一呼吸おいて、さらに説明を続ける
「よし、作戦を説明するぞ、部長、まずは隊列を変更してくれ、前列ロードとナイト、中列サモナーとクレリック、後列ウィザードだ、あとロードは装備変更、コンバージョンソードに変更だ」
副長の指示を聞いて、シンゴは驚く
「おいおい、ロードに攻撃が来たらどうするんだよ、クレリックのスキルも残り少ないんだぞ?」
不安そうなシンゴを見て、副長は答えると
「わかってるよ部長、対策は考えてある、タフこれを装備してくれ、星5の装備だぞ」
そう言ってスターカードを一枚タフに渡す、
タフは喜んで受け取るが、カードを見た瞬間顔をしかめる
【大星(星5)・ひょっとこ面、ナイト系防具・体力+7・重量10[敵を挑発し、自分に攻撃を集中させます]】
「なんなんだこれは…」
タフは何とも言えない表情で質問する、
シンゴは笑いをこらえながら言う
「その「ひょっとこ面」をつけて、敵と戦うのかタフ、ククク」
ユキとハッちゃんも笑っている、副長も半笑いで答える
「タフ、装備の名前はともかく効果を見てくれ、装備するだけでナイトに攻撃が集中するんだぞ、部長が前列に出られれば、火力がかなり引きあがると思うんだ……クッククク」
副長も含め全員の反応を見て、タフは不機嫌に答える
「半笑いで言うなよ!、まったく…まぁしょうがないか…」
タフが諦めて装備を変更すると、シンゴが【GMミヨシ】に隊列変更を申告する
「【GM】、副長の言った隊列に変更してくれ」
シンゴの申告を聞いて、【GMミヨシ】は隊列変更を了承する、
そして、ユキが副長に確認する
「副長さん、もし…イフリートに遭遇したらどうしますか?」
心配そうにユキを見て、副長はニコリと笑い
「そのときは私が何とかするよ、1回なら何とかなると思う」
と副長が返答すると、ハッちゃんが質問する
「1回なら何とかって?」
そう言って首をかしげるハッちゃんに、副長は答える
「ああ、サモナーはボス戦用の決戦職なんだ、その時になったらわかるよ、まぁイフリートに出会わずに7階を突破するのが一番だけどね」
そう言って副長が苦笑いすると、パーティ全員も苦笑いした。
そして、時計は18時10分、ゲーム終了まで50分となり、シンゴ達はダンジョン出口へ向け出発した。




