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フェブラリーオブラウンド  作者: 超人テリー
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「仕事人のフラグ」

     「仕事人のフラグ」



 シンゴ達は突然のフロアボス戦に苦戦し、戦闘開始から既に8ターンが経過している


「先輩、次の攻撃は私ですがどうしますか?、ウィザードのスキルポイントが残り10、イフリートに効くアイスロックだと後2回しか使えません」


 ユキがそう言うと、シンゴは答える


「ナイトのHPは大丈夫だ、攻撃してくれユキ」


 シンゴの返答を聞いて、ユキは頷く


「【GM】さん、攻撃魔法アイスロックを使用します」

 

ユキは攻撃魔法を申告しダイスを振る、【GMミヨシ】は答える


「出た目は2です、火系モンスターに特効ダメージ+30、イフリートに合計68のダメージ、


「イフリート」は倒れました」


 戦闘終了を聞いて、シンゴ達は安堵する


「はー、やっと倒れたか、トンデモねぇぞこいつは」


 タフがそう言うと、ハッちゃんも頷く


「攻撃力も高いですが、HPがすごく高いですね、おかけで長期戦になっちゃったから、クレリックのスキルポイントがあと10…」


 ミノもアイテム欄を見て表情を曇らす


「回復ポーションも相当消費しちまったな、ちとこの先がやばいかもな、どうだ部長」


 ミノに聞かれ、シンゴは答える


「かなり消耗はしたが、まぁ勝ったんだしよかったじゃないか、とにかく副長と合流しよう」


 それを聞いて、ユキがシンゴを見て


「副長さんのところまで、あと何マスですか?」


 と確認すると、シンゴは地図を見て


「途中に壁とか障害物が無ければ、7マスかな」


 と返答すると、ユキがため息をつく


「何とか、障害物が無いことを祈りましょう」


 ユキがそう言って苦笑いすると、シンゴも苦笑いすると、


 ミノが移動ダイスを手に取り。


「おし、じゃあ振るぞ」

 

 ミノはダイスを振る、ダイス目が赤6黄1が出る、シンゴは安堵する


「おぉ、一気に近づいたな…」


 シンゴがそう言うと、パーティメンバーも安堵するが、


 【GMミヨシ】の発した言葉で状況は一変する


「赤6黄1合計7、特殊エンカウントです、敵はフロアボス、イフリート、移動は戦闘終了後に行えます」


【GMミヨシ】が、フロアボスとの戦闘開始を告げると、


 それを聞いて、全員が愕然とする


「えっ!?、フロアボスは今倒したじゃないか!?」


 シンゴが【GMミヨシ】に確認する


「このフロアでは1と6の組み合わせを出すと、何度でもフロアボスと遭遇するルールになっています」


 【GMミヨシ】の返答を聞いて、タフは立ち上がる


「そんな、難易度高すぎるだろ!、俺たちのレベルじゃとても…、あぁ…そういうことか…」

 

 タフはそう言って崩れ落ちる、ユキが顔を曇らせる


「「獅子の泉」のパーティは、このルールに帰還を阻まれたんですね…」


 ユキがそう呟くと、副長が申し訳なさそうに口を開く


「そうだ、このルールを教えたかったが、合流するまでは言えなかったんだ、それでももしかしたらと思ったが、すまない…」


 副長が申し訳なさそうに言うと、シンゴ達は「全滅」を目前にし一様に暗くなる、


 そしてしばらくの沈黙の後、ミノが口を開く


「【GM】さん、今ダイスを振ったのは俺だ、俺だけ移動するよ、それはできるかい?」

 

 ミノの質問を聞いて、【GMミヨシ】は答える


「可能ですが、よろしいのですか?」

 

 ミノとGMのやり取りを聞いて、シンゴは驚きミノを見る


「おいミノ、シーフ一人でイフリートなんて自殺行為だぞ」

 

 シンゴがそう言うと、ミノは答える


「そうさ、それでも全滅は避けれるだろ?」


 ミノの考えがわかり、シンゴは真面目な顔をし


「なら、せめて影縫いの弓だけでも預かっとこう」


 とシンゴはミノから、「影縫いの弓」のスターカードを受け取ろうとする、それを【GMミヨシ】が止める


「移動後のアイテム移動はできません」


 【GMミヨシ】が申し訳なさそうに言うと、ミノは苦笑いする


「だ・・・そうだ、部長」

 

 ミノが軽く答えると、ミノ以外のメンバーは何も言えず、下を向く


「よし、やるか」


 ミノは気合を入れてそう言うと、【魔王ミナミ】が申し訳なさそうにダイスを振る


「出た目は4、魔王の行動順は4です」


 【GMミヨシ】が行動順の結果言うと、ミノはダイスを振らず


「【GM】さん防御だ」

 

 と防御の申告をする、それを聞いて【GMミヨシ】は頷くと、


 続いて【魔王ミナミ】が攻撃ダイスを振る


「ダイス目2、シーフは75のダメージ」


 魔王の攻撃結果を聞いて、ミノはホッとする


「よし、何とか生き残ったな」


 そう言ってミノがダイスを振ろうとするが、【GMミヨシ】が制止する


「1ターン経過しました、戦闘に参加していないパーティは移動ダイスを振ってください、魔王がシーフと戦闘中ですので、エンカウント無しで進めます」

 

 【GMミヨシ】がそう説明すると、シンゴはあることを思い出し


「そうだ思い出した、戦闘していないパーティは、戦闘中のパーティがターン数を重ねるたびに一回ダイスを振れる、しかもエンカウント無しだ」

とシンゴは言って【GMミヨシ】を見ると、【GMミヨシ】はニコリと頷き


「はい、魔王役が一人しかいないので、エンカウントしても戦えないための処置です」


 と返答する、そしてミノはニヤリとする


「俺が、魔王の攻撃に耐えれば耐えるほど、その分副長に近づけるんだ、あと7マス位か…、少なくとも、もう一ターンは耐えないといけないな」


 ミノがそう言って顎に手を当て考える、シンゴはミノを見る


「頼むぞ、ミノ」


 そう言ってシンゴが、まず移動ダイスを振る


「ダイス目4です、進んでください」

 

 移動ダイスの結果を聞いて、タフが嫌な顔をする


「…微妙な数字だな」


 タフが神妙に言うと、ミノはダイスを振らず


「残りHP75か、防御しても魔王がダイス目1か2を出したら終わりなのか…、博打だが【GM】さん防御だ」


 ミノが防御を申告すると、【魔王ミナミ】が攻撃ダイスを振る


「ダイス目3、シーフは50のダメージ」


 魔王の攻撃結果を聞いて、ミノを含めパーティ全員が安堵する


「あぶなかったなミノ」


 タフにそう言われ、ミノは苦笑いする


「よし振るぞ」


 シンゴはそう言って、移動ダイスを振る


「ダイス目2です、進んでください」


 副長まであと一マスという結果を聞いて、シンゴ以外のパーティメンバーはズッコケる


「おいおい、まぁダイスだからしょうが無いけど、あと1マスって…、そうだあと一マス、目の前の副長との間に、壁とかはないよね?」

 

 ミノは呆れつつ障害物が無いか確認すると、ユキが答える


「魔法「ライト」を使ってますので一マス先はわかります、壁はないので、間違いなく後一マスで合流できます」

 

 ユキが返答すると、シンゴはミノに合掌して謝る


「すまん、本当にすまん」


 そのやり取りを見ていたハッちゃんが、絶望的な状況のミノに話しかける


「でも…、ミノさんどうするんですか?、もう防御しても…」


 ハッちゃんにそう心配され、ミノは吹っ切った顔で答える


「任しといてくれよハッちゃん、キャラクターのHPは風前の灯、命がけで仕事を成し遂げるフラグは立ってるんだ」


 ミノがそう返答すると、ハッちゃんは不思議そうな顔をする


「そのフラグが立つとどうなるんですか?」


 ハッちゃんが首をかしげると、ミノはダイスを手に取り自信満々に答える


「俺はきっと6を出せる!」


 ミノはそう言うと同時にダイスを振る、シンゴ達は、意図がつかめずポカンとする、


「ダイス目6です、イフリートに7のダメージ…」


 【GMミヨシ】が結果を言うと、あまりのダメージの低さに、シンゴが呆れて言う


「7って…」


 呆れるシンゴを尻目に、ミノはニヤリとすると、


 【GMミヨシ】は続ける


「加えて、影縫いの弓の特殊効果「影縫い」が発動、敵の攻撃をキャンセルします」


 【GMミヨシ】が「影縫いの弓」の特殊効果の発動を告げると、シンゴ達はミノの狙いがわかり驚嘆する


 そして、シンゴ達はダイスを振り、副長との合流を無事に果たし、


 仕事をやり遂げたシーフは、次のターンで倒され


「じゃあトイレ行ってくるから、後はよろしく」


 ミノはそう言うと、ノートPCを閉じて席を外した。






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