表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フェブラリーオブラウンド  作者: 超人テリー
27/34

「エッセンス」

     「エッセンス」


 シンゴ達は「地下大空洞・深層」を1時間40分探索し、


 各キャラクターのステータスは、次の通りとなった。

シーフ  LV20 腕力16・体力9・知力4・運10、スキルポイントは25

ナイト  LV18 腕力16・体力16・知力2・運3、スキルポイントは22

ロード  LV18 腕力4・体力4・知力4・運25、スキルポイントは21

クレリック  LV18 腕力4・体力3・知力15・運15、スキルポイントは25

ウィザード  LV17 腕力2・体力2・知力17・運15、スキルポイントは26



レベル上げを終え、シンゴ達はタウンに戻り、最後の補給を済ませ、


いよいよ救出作戦に出発、というところだ


「よし、このまま一気に7階に降りて、副長と合流だ」


 シンゴはそう言って、副長を見るが、副長は目を閉じ何も言わない、


 ユキはそんな二人を見て、一瞬間をおいて【GMミヨシ】に伝える


「【GM】さん、リターンで5階のセーフティゾーンに行きます」


 それを聞いて【GMミヨシ】が頷く、時計の針は17時00分を指し、救出作戦は開始された。


 シンゴ達は2度の戦闘を経て、先の探索で見つけておいた、


 B7縦14横13の真上に、一番近い6階の崩落個所に到着する。


「よしみんな、行くぞ」


 シンゴがそう言ってダイスを振ろうとするが、


 そこまで何も言わなかった副長が口を開く。


「待ってくれ部長、本当にいいのか?、失敗すれば確実に全滅だぞ?」


 それを聞いてシンゴが答える


「だろうね、「獅子の泉」のパーティが挑んで、副長を一人残し帰還不能に陥った場所だ、俺達みたいに昨日今日始めたパーティでは、救出成功の望み薄いかもな」


 あっけらかんと答えるシンゴを見て、副長は困惑して質問する


「なっ…、わかっているなら何故救出にくるんだ?、そもそも私が取り残された時の冒険は、実況動画や公式の大会でもないんだ、なかったことにしてやり直すことだってできるんだぞ?」


 副長がそう提案すると、シンゴは答える


「そうか、ならタウンに戻ろう」


 シンゴが軽く返答すると、ユキは驚く


「先輩、ここまできて帰るんですか?」

 

 ユキが焦って言うと、シンゴは答える


「だってさ副長が、やり直したっていいって言うんだ、それならやり直した副長とタウンで合流しよう、きっとめちゃくちゃ強いぞ副長のキャラクター」

 

 シンゴが何の気なしにそう言うと、副長は声を荒げる


「何も事情を知らないで、勝手なことを言うな!」


 シンゴは怒る副長を、なだめるように言う


「そうなんだよ副長、その事情についてわからないんだ、なぜいままでやり直さなかったんだ?事情を話してくれないか?」


 シンゴがそう言うと、副長はうつむいて少し考えた後、話し始める


「私は大学に入る前からゲームが好きで、大学に入ったら当然ゲームに関係するサークルに入りたいと思っていたんだ、

そして、体験でサークルを色々回っているうちに、TRPGのサークル「獅子の泉」を見つけたんだ…」

 

 副長は一瞬間をおいて続ける


「その時に私は、経験ついでに一回はやってもいいかなと、軽い気持ちでTRPGを先輩達とプレイしたんだが…」


 副長は笑顔になる


「ところが、ついでどころか、その雰囲気にどっぷりさ、冒険の中で起きる事を、いちいち仲間達と共有し実感する…、それが新鮮でリアルで楽しくてな…、ずっと続けばいいと思ってたんだが…」


 副長の顔が曇り、口ごもるのを見て、シンゴが続ける


「新入生が入らなければ当然サークルは解散する…」


 それを聞いて副長は苦笑いする


「そうなんだ、次世代ゲーム機にオンラインゲームの時代さ、TRPGのサークルなんて誰も集まらなかったんだ、私も先輩達も勧誘を頑張ったんだけどな…」


 そこまで言って、副長の顔が険しくなる


「そして「獅子の泉」の解散の日、当時アップデートされたばかりの「地下大空洞・深層」にチャレンジしたんだ…」


 副長はさらに続ける


「クリアーできなかったんだ…、先輩たちは何とか私だけでも帰還できるようにと、頑張ってくれたけど、結局はB7縦14横13で、私だけを残しパーティは壊滅してしまったんだ」


 ミノは呟く


「なるほどな…、自分だけではなく、先輩たちの「思い」もその冒険にはあるんだろう、やり直せないって気持ちもわかるな…」


 副長は、ミノを見てほほ笑む


「まぁ私の感傷だよ、ハハハ、なんか話したらスッキリしたよ、やり直すのもありかもしれないな」


 副長が無理やりに笑うのを見て、ユキはシンゴを見る


「そんなこと言わないでください副長さん、先輩も何とか言ってくださいよ…」


 タフ、ミノ、ハッちゃんもシンゴを見る


「副長、今の話を聞いて気付いたんだが、、副長と共に、重要な物を救出することになりそうだな」


 シンゴが何か考えながらそう答えると、副長は不思議そうな顔をする


「重要な物?」


 副長がそう聞くと、シンゴはまず質問をする


「副長、「獅子の泉」の先輩達は、何とか副長だけは帰還させようと、頑張ったと言ってたよな?」


 それを聞いて副長はコクリと頷く、シンゴはそれを見て話す


「それって、「獅子の泉」というサークルの、最後のエッセンスとして、副長を何とか守りたかったんじゃないか?」


 それを聞いて副長は考え始める、それを見てシンゴはさらに続ける、


「そして、「獅子の泉」の先輩達が出したであろう、この救援要請は、

 副長が救出されることで、「獅子の泉」の最後のエッセンスも救われるという、

「思い」あっての事なんじゃないか?」

 

 副長はそれを聞いて、顎に手を当てる


「そうか、私が救出されることで、解散によって一度は失われた「獅子の泉」も救われるってことか…」


 ユキは副長を見る


「これでは副長さんの一存で、やり直せませんね」

 

 ユキにそう問いかけられ、副長は笑顔になり答える


「まぁ100%そうじゃないにしても、今の部長の解釈が、私が一番のめり込めるシチュエーションなのは間違いないね」


 それを聞いてシンゴはニヤリと笑い、副長を見る


「お、いつもの副長が戻ってきたな」


 シンゴにそう言われ、副長は苦笑いする


「全く…しょうがない人だ、とにかく…、まぁ救出されてあげるよ」


 副長はそう言ってシンゴを見ると、シンゴは頭を掻いて、


「ああ、任せてくれよ副長」


 シンゴはそう笑顔で答えると、ダイスを振り、


 パーティは崩落個所から地下7階へ降りた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ