表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フェブラリーオブラウンド  作者: 超人テリー
17/34

「タイムアップ」

             「タイムアップ」



 午後18時48分、シンゴ達はボスの部屋の扉を開く


「ダンジョンボス戦です、敵は「魔王」、戦闘開始です」


 【魔王(副長)】はダイスを振る


「出た目は1、魔王の行動順は1番です、続けてダイスを振ってください」


 【GMミヨシ】が行動順の結果を言うと、【魔王(副長)】は続けてダイスを振る。


「出た目は1です、前列ナイトは90のダメージ受けました」


 【魔王(副長)】がガッツポーズすると


 タフは舌打ちをする


「ちっ、連続で1かよ!、全くついてるな魔王は…、部長、回復は大丈夫か?」


 タフがそう言うと、シンゴは頷く


「大丈夫だタフ、余裕だよ、今回の回復役は俺だけじゃない、ハッちゃんもいるんだ、ガンガン行けよタフ、あとミノも回復はいらないから、どんどん弓で攻撃しろ」


 シンゴはタフの質問に答えつつ指示を出すと、ミノがダイスを振る


「オーケーだ」


 ミノがそう答えると、シンゴは続いてハッちゃんに指示を出す


「ハッちゃんは、前列ナイトのHPを見ながら回復を頼む、足りなそうなときは俺もポーションで回復に回るよ」


 指示を聞いて、ハッちゃんは答える


「任せてください、ヒールと回復ポーションを使え分けて、前線を支えます」


 ハッちゃんの言葉を聞いて、タフはニヤニヤする


「支えるって、なんか・・・いいよな」


 そんなタフを見て、シンゴは呆れる


「攻撃しかしてないのに、羨ましいことだなタフ、ほらさっさとダイス振れよ」


 そう言われタフはムッとすると、シンゴを睨む


「そう言う部長は、回復以外で何ができるんだよ?」


 タフにそう聞かれ、シンゴは答える


「ロードが前列に出ると、回復がばらけるからな…、そこで俺は全職装備可能の「木の弓」で、シーフと同じく中列から弓で攻撃する、

 誰かさんと違って、俺は考えて戦ってるんだよ」


 不穏な応酬をする二人を見かねて、ハッちゃんが注意する


「もういい加減にしてください、時間が無いんですよ?、ねぇミノさん」


 二人を注意するハッちゃんに、


 急に話を振られ、ミノは驚き


「え?、あっああ、全くだ、困ったやつらだ・・・」


 とミノが答えると、タフは苦笑いしダイスを振った。



 戦闘が始まって10分が経過し、


 魔王は強敵ではあるが、ここまで特殊な攻撃をしてくる訳でもなく、


 単に5階のボスより1・5倍攻撃力が高いだけのようだ。


「攻撃力はともかく、あとは削り切れるかどうかだが…」


 シンゴはそう言って時計を見る、時計は19時まで残り2分を切っている


「大丈夫だ部長、5階のボス戦の時より、火力も回復力も上がってるんだ、行けるよ」


 ミノがそう言うと、シンゴは頷く、


 そして残り1分、タフがダイスを投げる


「出た目は2です、「魔王に」32のダメージ、「魔王」を倒しました」


 【GMミヨシ】が戦闘終了を告げると、シンゴ達はガッツポーズする、


 【魔王(副長)】はため息をつく


「はぁ…、まさか間に合うとはな、だがセーフティゾーンまで戻る時間はあるのか?、いや…間に合わなくてもいいのか…」


 そう言って【魔王(副長)】はPC画面の地図を見る、


 地図には、ボスの部屋にいるシンゴ達パーティの印とは別に、


 もう一つセーフティゾーンにもパーティの印がある。



 時間は戦闘開始前まで遡る


 シンゴは【GMミヨシ】に確認する


「【GM】、パーティを二つに分けることはできるのか?」


 シンゴがそう質問すると、【GMミヨシ】はシンゴを見る


「はい、できます」


 そう【GMミヨシ】が答えると、シンゴは続けて質問する


「では、片方のパーティが戦っている間、もう一つのパーティはどうなる?」


 シンゴの質問を聞いて、【GMミヨシ】は答える


「戦闘しているパーティがターン数を重ねるごとに、戦闘していないパーティはターン数ごとに、ダイスを振ることができます、

 このとき魔王役が一人しかいないため、戦闘していないパーティはエンカウント無しで進めます」


 その返答を聞き、シンゴは頷くと、ユキに指示を出す。


「ユキは戦闘が始まったら、一人でセーフティゾーンへ向かってほしい」


 シンゴにそう指示され、ユキは耳を疑う


「どういうことですか先輩?、冗談でしょ?」


 ユキが聞き返すと、シンゴが説明する


「心配するなユキ、戦闘が始まれば、ターン数ごとにエンカウント無しで進める、安全にセーフティゾーンまで戻れるよ」


 シンゴがそう答えると、ユキはさらに聞き返す


「戻れるかどうかじゃないんです、ウィザードの火力無しで勝てるんですか?」


 ユキがそう言うと、シンゴは説明する


「当然ウィザードの火力を失うのは惜しい、だが、ウィザードはここまで来るのにスキルポイントをかなり消耗してるし、だからと言って回復するために帰還する時間も無い、

 それに、明日の事もあるんだ、ボスを倒せなかったとしても、全滅だけは避けなければならない、

 だから「リターン」が使えるウィザードには、セーフティゾーンからタウンへ戻ってほしいんだ」

 

 ユキはやむを得ない状況を理解し、顔をしかめる、


 そんなユキを見て、ハッちゃんが言う


「「リターン」がある、ウィザードがいるから、攻略できるチャンスがあるんだよ?、そんな顔しないで?」


 ハッちゃんにそう言われると、ユキは渋々了承する


「先輩の言う通りセーフティゾーンまで戻ります、でもみんなで帰るのがベストだと思いますし、ギリギリまで待ちます」


 ユキが真剣な顔をするのを見て、シンゴがニコリと笑う


「あと、どうせ俺は弓で戦うことになるから、コンバージョンソードを持って帰ってくれ、死んだら間違いなく、失うことになるからね」


 シンゴのそれを聞いて、タフは脱力し怪訝そうに聞く


「おい部長、コンバージョンソードを失くしたくないってのが、本音じゃないのか?」


 タフにそう指摘され、図星をつかれたシンゴは、頭を掻いてごまかした。



 時間は戦闘終了後に戻る


「すまない、セーフティゾーンまで戻る時間が無い、ユキ、帰還してくれ」


 シンゴが指示を出すと、


 それを聞いてユキは頷き、一人だけセーフティゾーンから「リターン」でタウンに戻る、


 そして、時計の針が19時を回る、


「タイムアップ、ゲーム終了です、「はじまりの塔」クリアー、おめでとうございます」


 【GMミヨシ】がゲームクリアーを宣言すると、


 シンゴ達は席を立ちハイタッチした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ