「三人の役割」
「三人の役割」
シンゴ・タフ・ミノの三人は、10分休憩した後、
【GMミヨシ】にタウンの説明を受ける、
「このタウンには、
最低限の武器防具・回復ポーション等の販売、そして不要なアイテムの買取をする、「ショップ」
冒険中に倒れたキャラクターを、お金を払うことで復活できる、「教会」
HPとスキルポイントを回復させられる「宿屋」
3つの施設があります。必要に応じて、ご利用ください」
その説明を聞いて、シンゴ達は、ショップで不要なアイテムを売り、
そのお金で回復ポーションを補充すると、ダンジョンへ出発した。
「13時にスタートしてから、既に1時間半経過している、急がなければ…」
シンゴはそう言ってダイスを振ると、
タフがシンゴに心配そうに言う
「部長、急ぐのはわかるが、地図の作成を忘れないでくれよ?」
タフにそう心配され、シンゴは答える
「ああ大丈夫だ、地図はちゃんと書き込んでるよ、終了の19時まであと4時間半、頑張ろうぜ」
シンゴはそう返答し、地図を書きこむ、
横で二人の会話を聞いていたミノは、スタート直後のごたごたを思い出し苦笑すると、何か思い出す
「あっ、そうだ、部長にタフ、「薬草」と「清水」を持ってないか?」
ミノに質問され、シンゴはアイテム欄を見る
「ああ、「薬草」と「清水」は使用すれば、ほんの少しだが回復する、だから処分せずにとってあるよ」
シンゴがそう答えると、ミノは続ける
「じゃあ、全部渡してくれないか、試したいことがあるんだ」
そうミノに言われ、部長とタフは、持っていた「薬草」と「清水」を、ミノに渡すと、
タフがミノに質問する
「ミノ、それをどうするんだ?」
そう言われ、ミノはニコリと笑う
「まぁ、物は試しだ」
ミノはそう言うと、【GMミヨシ】に告げる
「この「薬草」と「清い水」を、えーと…、スキル「調合」で、全部組み合わせる」
【GMミヨシ】は頷き、
奇数偶数の目で、不運幸運を決める、運命のダイスを振る。
「偶数の6がでました、「調合」成功です、シーフは回復のポーションを5個手に入れました、」
ミノはガッツポーズする、
それを見てシンゴとタフは感心するが、
シンゴはあることに気付き、ミノに言う。
「おいおいミノ、その「調合」ってスキルが、その名の通り、なにか素材を組み合わせて
アイテムを作るスキルだってことは、なんとなく想像はつく、だが、成功するかどうかわからないのに、全部つぎ込むとはギャンブルだったな」
シンゴにそう問われ、ミノは苦笑する
「まぁそう言うなよ、成功したんだし、ただ次からは分けて調合するよ」
ミノはそう言って、頭を掻いた。
「調合」を試してから、3人は移動・戦闘・調合を繰り返しつつ、
一時間ほどマップを進み、どうにか4階まで到達する。
「よし、レベルアップ」
戦闘が終了し、ミノはシーフのレベルが上がったことを喜ぶ、
この時点でのシンゴ・タフ・ミノの、各キャラクターのステータスは次の通りである。
シーフ LV15 腕力12・体力8・知力4・運10、スキルポイントは20
ナイト LV11 腕力13・体力12・知力2・運3、スキルポイントは15
ロード LV9 腕力4・体力4・知力4・運16、スキルポイントは12
「レベルアップの必要戦闘回数3回で、シーフは一番少ないんだよな、俺も今レベル上がったけど、まだレベル10にもなってねぇよ、ったく」
シンゴは、レベル15になったシーフと同じだけ戦ってるのに、
ロードのレベルがまだ9であることを嘆く、すると【GMミヨシ】が言う
「シーフはこの戦闘で、上限レベル15に到達しました」
それを聞いて、ミノが【GMミヨシ】を見る
「上限レベル?」
ミノが質問すると、【GMミヨシ】が答える
「はい、現時点での上限レベルの事です、さらにダンジョンを進んで行き、上限が解放されない限り、どんなに戦闘回数をこなしても、レベル15以上にはなりません」
さらに【魔王(副長)】が続ける
「まぁあれだ、このレベルの上限が無いと、1階層の雑魚相手でも、戦闘回数さえ稼げば、レベル99にできるからな」
その説明を聞いて、ミノは納得し頷くと、シンゴが提案する
「どうだろうか、一旦タウンに戻らないか」
その提案を聞いて、ミノも同意する
「賛成だ、「調合」しまくって、スキルのポイントが少なくなってる、タウンに戻って「宿屋」で回復したい、タフはどうだ」
ミノがそう言うと、タフも同意する
「ああ俺も賛成だ、1時間も没頭してたんだ…、10分くらい休憩したい気分だ」
タフとミノの了承を得ると、シンゴは移動ダイスを振り、タウンへの帰還を開始した。
帰還を開始して、何度目かの戦闘中に、
シンゴはアイテム欄を見つつ、【魔王(副長)】に質問する
「魔王よ、一つ質問していいか?」
そう聞かれ【魔王(副長)】は行動順ダイスを振って、シンゴを見る
「急になんだ、部長?」
副長がそう言うと、シンゴは質問をする
「そういやさっき、道中でミノが【星2・木の弓・全職業装備可能・攻撃力10・重量15】をドロップしたんだが、
RPGでよくある、前列とか後列みたいなのはないのか?、弓は後列からでも攻撃できるとか…?」
シンゴの質問を聞いて、【魔王(副長)】はハッとして答える
「そうだそうだ、すまない、隊列について説明するのを忘れてたよ、隊列は前・中・後の三列あって、各列三人まで配置できる、
あと「木の弓」は、すべての列から攻撃できるよ」
そう説明すると、続けて【魔王(副長)】はシンゴ達に謝る、
「いやぁ、三人で進んでたから、説明する機会が無くて失念してたよ…、いやホントすまない」
【魔王(副長)】が頭を下げると、シンゴは苦笑いする、
「いや気にしないでくれ、三人で進むことになった原因はこっちにもあるしな、それで、隊列はどうやって変更する」
シンゴはそう答えながら、ダイスを振ろうとすると、
【魔王(副長)】は静止する
「ああ、待ってくれ部長、移動中はいつでも隊列変更できるが、戦闘中の隊列変更はロード系の職業にしかできないんだ、隊列変更するなら【GM】に申告してくれ、」
そう言われシンゴは、【GMミヨシ】に言う
「じゃあ、隊列変更する、えーと前列ナイト中列ロードとシーフ」
シンゴがそう言うと、【GMミヨシ】は確認する
「隊列変更で、ロードのターンは終了になりますが、よろしいですか?」
そう言われ、シンゴは了承すると、
さらに【GMミヨシ】は聞く
「あとクレリックとウィザードはどうしますか?」
そう聞かれ、シンゴは頭を掻いて答える
「おお忘れてた、クレリックとウィザードは後列でお願いします」
それを聞いて【GMミヨシ】はPCに隊列を打ち込む、
シンゴ達もPC画面のマップ表示の横にある、隊列欄で確認する、
するとタフが不満そうに言う
「なんで俺だけ前列なんだよ?、なんか恨みでもあるのか?」
タフがそう言うと、シンゴは手を横に振って否定する
「違う違う、今は戦闘中なんだぞ?、ロードやシーフと比べて、抜群に回復力が高いナイトを、前列に残したんだよ」
そうシンゴに説明され、タフは得意気に言う
「そうだよな、ナイトは「体力」の数値が高いからな、よくわかってるじゃないか部長、フフフ」
そんなタフを見て、シンゴは嫌味っぽく続ける
「まぁ「知力」はどうせ無いんだし、「腕力」「体力」で役立ってもらわないとな」
タフはそう言われて、顔を真っ赤にし部長に掴み掛る
「今のは、ナイトじゃなく、俺に言ったんだろ!?」
部長はとぼけた調子で言う
「何言ってるんだタフ、お前が勝手に図星だと思ったから、頭にきてるんじゃないのか?」
そんな二人を見かねて、【魔王(副長)】が止めに入る、ミノはそれを見て呆れる
「やれやれ」
ミノはそう呟いた後、「木の弓」を装備した。




