蜜のように濃い過去
これで……良かったんだ。
そう。
僕は裏切られた側だ。被害者だ。
何も悪いことなんて……ない。
『いやぁ、お前が諸刃との縁を切ってくれて助かったぜ。あの三家だけは関わりたくないからな』
「君はなんで諸刃さんを嫌うの?それに三家って何?」
『諸刃を嫌う理由は色々あるけども、それより三家の話を先にした方がいいな。三家ってのは、諸刃家、槍摩家、鎖弓家のことだ』
「ふーん。で、その三家がなんなの?」
『まぁ、そう焦るな』
そう言ったということは長い話になるってこと。
それはもう覚悟の上で聞いてるから特に気にはしない。
『その三家は昔、俺を殺した三家だ』
「殺した!?君ってもう死んでるの!?」
『あぁ、そうだが?言ってなかったか?』
1度も聞いてないよ……。
というか過去について聞いたのは初めてだよ。
「う、うん。まぁいいとして続けて」
『俺は昔、終焉論になったことがある。論というよりそのものの存在だった。俺自身が終焉を意味したことがあった』
「終焉ね……」
『その時に力を合わせて俺を殺したのがその三家。代々受け継がれてきた、戦士、槍兵、弓兵の血筋だ』
諸刃……戦士の血筋ってことか。
他にも2人いるなんて……。
そんなことになったら僕は死ぬほかないんだな。
『嫌う理由はそれに伴って、殺されるからってことだ』
さっき言ってた敵の意味もようやくわかった。
ん?待てよ。
じゃあさっき諸刃さんが僕に刀を向けたのは家柄に習ったということか?
なら諸刃さんは悪くないじゃないか。
悪いのは…………僕?
アレ?アレアレ?
ナンデ?
ボクハウラギラレタンダ。
ジャア、ドウシテボクガワルイ?
ボクハ……ワルクナイ!
ボクハワルクナイ!
ボクハワルクナイ!
ボクハワルクナイ!
「きゃあぁぁぁぁ!!!」
「この声……諸刃さん!?」
僕はその声と同時に走り出していた。
全てを知ったから。
そう思っていた。
でも、それは全てじゃない。
知ったのはピエロの過去だけ。
この時、既に僕の中の怪物は目を覚ましていた。
ただ、キッカケがなかっただけの……虚ろな存在として、存在していたんだ。




