感動の再会に裏切りなんか求めてなかった
予想外の出来事におどおどしてしまう。
「えぇと、どうして諸刃さんが異世界に?」
少しの沈黙。
「いや!そんなことはいいから助けて!」
「あっ!そうですね!ごめんなさい」
急いで仮面を取り付ける。
『アイツ助けんの?諸刃家とか敵なんだけど』
敵?
良く分からないけど、早く助けなきゃ!
『チッ……今度お前の頭乗っ取ってやるから覚悟しとけ』
なんかめちゃくちゃ怖いこと言われた。
それでもピエロは木の怪物へ正面から突っ込んだ。
「榎谷君!その姿は!?」
そりゃ驚くよね。
でも今は説明してる場合じゃないんだ。
諸刃さんを掴んでいる枝の場所まで行くと、勢い良く飛び上がり空中で旋回する。
手刀。
言葉通りの手の刀、皮膚の硬化をしながら高速で回転することにより鋭利な刃物と同様の効力を発揮する。
「ギギャァァァァ!!?」
一気に枝を切り落とされた怪物は悲鳴のような声をあげた。
「きゃあぁぁぁぁ!」
そして本当の悲鳴。
諸刃さんは枝が切れたことで地面へと落下している。
とどめを刺すより助ける方が優先だ。
脳の共有をしているピエロはきちんと救助へ向かった。
地面につく寸前、なんとかお姫様だっこでキャッチできた。
「ありがと榎谷君、でもその仮面……」
『黙れ、雑魚諸刃』
「なっ!?」
ピエロに雑魚と言われた諸刃さんは驚きながらも怒っている様子だった。
少しした所で下ろし、とどめを刺しに行く。
『メガプラント程度自分で倒せるようになってくれ。つまらなすぎるんだ』
そう言ったピエロは高速で怪物の横を通り過ぎた。
手の形はもちろん刀。
スパッという綺麗な音と共に怪物は上下半分に割れた。
「ふぅ……はっ!リンゴ!」
木に実っていたリンゴを取って諸刃さんの所へ向かう。
「諸刃さーん、リンゴ取ってきたんだ……けど?」
首筋にひんやりとした物が突きつけられている。
長刀……剣だった。
「諸刃さん、どうして?」
「その仮面を捨てて」
「僕の質問に答えて。どうして僕に刀を向けるの?」
「どうしてもよ」
「答えに……なってないよ」
そうか。やっぱり。
人間なんて所詮みんな同じなんだ。
地球で僕をいじめてた奴らだって昔僕に借りがあるんだ。
それを返すことが出来なくていじめへ走った。
僕は報酬なんて……望んでないのに。
「諸刃さんも結局は人なんだね」
「えっ?」
疑問が浮かび、油断した瞬間。
仮面を付け体勢を低くした後、足を引っ掛けた。
「きゃっ!」
小さな悲鳴と共に僕が押し倒すような形で手刀を首へと向ける。
『〝鞘〟からの伝言だ。今すぐ目の前から姿を消してくれ、でないと貴女を殺してしまう。だってよ』
僕はゆっくりと仮面を外した。
「早く消えてください。僕には目的があるんです」
諸刃さんへの手刀を普通に戻してから歩き始める。
「待って榎谷君!目的って!?」
「消えろって言ってるだろ!!」
思わず大きな声を出してしまった。
「ッ……ごめんなさい」
そのまま次の村へと足を進めた。




