反撃の狼煙は道化の仮面
「ああぁぁぁぁ!」
外れる。
「そろそろ諦めたらどうだ?10分以上突っかかってきているが一発も当たらないではないか」
「ハァハァ……諦めてたまるもんか……ハァハァ……お前は僕が殺す!」
「ふっ、ふはははははっ!その心意気気に入ったぞ!我が究極の技で倒してくれよう!」
そう言うと外へ出た。
「くそっ!外へ逃げる気か!」
僕も慌てて追いかける。
外へ出ると……奴の手には炎が集まっている。
「昔〝火術〟の仙人から奪ったこの力で焼き尽くしてくれよう」
目の前に広がる絶望に人は何も出来ない。
僕は結局なんの役にも……。
───適合者には絶大な力を───
まだ!あの仮面がある!
急いで応接間へ向かう。
「逃げても無駄だ、直に詠唱も終わる」
僕は逃げない!
戦うんだ!仇を討つために!
急いで仮面を顔に付けた。
「ピエロよ!僕に力を!前座だろうと、引き立て役だろうと関係ない!奴を殺す力を僕にくれ!」
仮面に全てをぶつけた僕に待ち侘びた希望の光。
その嘲笑うような顔の仮面から黒い影が僕の顔に縫い込まれた。
「いぃっ!たくない?」
『はぁ、やっと来たのか適合者が。さて道化師の力で処刑を始めるとしよう』
僕とはほぼ正反対の性格の仮面に体が乗っ取られた。
「さぁ!詠唱の終了だ!死ぬがよい少年!」
ゆっくりと放たれた炎の塊に生身で突っ込んだ。
「あの炎に突っ込むとは頭が逝ったか!」
『逝ってるのはお前だよ。キャハ☆』
「あ?」
奴の疑問の言葉と共に右腕が飛んだ。
「なっ!?」
『今回の〝鞘〟はいい能力だな。〝バランス〟ならゼウスも倒せそうだ』
「その少年が〝バランス〟だと!?さっきまで魔力はっ」
『黙れよ☆』
次は左腕が飛ぶ。
「ぐあぁぁぁぁっ!」
〝バランス〟とは存在する物全ての比を変える。
自分の筋力や、重力を変えることで自分自身の強化をすることも出来る。
全能神ゼウスの持つ〝全能の雷〟と紙一重の能力。
『まだ足も体も頭も残ってる。くたばるなよ?』
ピエロはほぼ遊び。
なぶり殺すつもりなのだろう。
「わ、わかった!俺が悪かった」
この言葉には僕の感情が揺らいだ。
悪かったことを後から思っても奪った命は戻らない。
心の底から沸き上がる怒りを覚えた。
『おっと〝鞘〟が怒ってやがる。早急に終わらすか』
ピエロの体は瞬く間に消え、次に出てきたのはフィフティファーレの頭上。
『重力制御はこうも使えるのさっ』
重力を元の15倍にし、フィフティファーレの頭を踏み潰した。
飛び出た目も残さず踏み潰す。
グチョグチョと音を立てる、その音にピエロは歓喜した。
それと同時に失望した。
『あーぁ、久しぶりだったのにもう終わっちまったよ。あっ、そうだ』
家自体は炎が当たることはなかったので残っている。
僕の体を家の中へ動かしたピエロは、レキウナさんの目を拾い僕の目と変えた。
普通なら見えないはずだが、それも能力を行使することで神経すらも変換できるのだという。
『さて、俺はこのくらいで戻るぜ』
仮面はそう言うと、影のようなものを顔から抜き床へ落ちた。
「かはっ!ハァハァ……レキウナさん……ごめん。でもせめて仇を討ち終わるまでは見守っていて」
この日僕は決めた。
僕を受け入れてくれたこの世界を穢す、遣神という奴らを全て殺すと。
そして、僕は道化師の手駒になる。




