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絶望に抗え

───地球にて

「榎谷くんが……消えた!?でも、確かに首を吊っていた。だとしたらどこへ?」

唯は混乱していた。

混乱していたが思考回路は冷静だった。

「彼は監視対象・・・・。それが接触する前に防げるのなら……命を捧げるほかない!」

唯も鞘のあとを追うため、首を吊った。

そして彼女は……───


サラテミス

「あの仮面はなんですか?ピエロ?」

「あー、あれは昔からうちにあるのよ。なんでも適合者は絶大な力を得ることが出来るらしいわよ〜」

「絶大な……力」

「そ、でも適合者以外には何も起きない。適合者はつけた瞬間に黒い糸のようなもので縫い付けられる。それに、あれには目を出す穴がないでしょう?けれど適合者はそれでも見えるらしいわ」

「適合者……」

と、まぁレキウナの長ったらしい説明を聞いていた。

異世界コッチへ来て一週間ほど経つ。

僕もこの家の手伝いをして、たまにレキウナさんと実践練習。

0勝18敗。

強すぎて全然勝てない。

「つけてみる?」

「あっ、いや僕はいいです。きっと適合しないでしょうし」

「そっか」

皿洗いに戻った。

絶望の幕開けはとうに過ぎていた。

ピンポーン

コールが鳴った。

「僕、出てきます!」

玄関へ駆け足で向かい扉を開けた。

立っていたのは男。

30代前半くらいだろうか。

赤く長い髪、黒い眼帯に黒いマント。

まるで不審者だ。

「あの〜、どちら様で」

「なんだ貴様魔力が全く感じられん」

「えっ?魔力?」

「雑魚に用はないどけろ」

「え、いや、ちょっと!用件は!?」

僕の叫び声に反応したのか、母のランフィリアが部屋から出てきた。

「どうしたの?お客様?」

「そうさ、神より参った客なり」

「神!?あなた!」

「爆ぜろ〝崩壊デストロイ〟」

男が手を銃の形にして、撃つ仕草をした。

2秒後。

足、腕、体、頭の順に破裂した。

「ランフィリア……さん?」

僕は腰が抜けて立てなくなってしまった。

「何事だ!」

破裂音がしたことで父クランも出てきた。

「クランさん!逃げて!」

僕が叫んだその時にはもう遅かった。

「〝崩壊〟」

先程と同じように破裂した。

ここまで来ればやはりレキウナさんも出てくる。

「どうしたの!?……お父さん?お母さん?」

残っていた指輪でわかったのだろう。

「レキウナさん!早く能力を!」

レキウナさんは唇を噛み締め、詠唱を始めた。

「あの女には思い入れがあるのか。仕方がない」

「〝我が身に宿りしアテッ〟」

そこまでは言った。

間に合わなかった。

足、腕、体が破裂。

「ほら、頭だけは残してやったぞ」

「レキウナさん!」

残ったレキウナさんの頭を取りに走った。

あと、1ミリ。

「〝崩壊〟」

破裂した。

目玉が空中を舞っている。

僕は……ただ普通に暮らしたかったのに。

「クソったれが!お前は僕がこの身に変えてでもぶち殺す!!」

「ほぅ、面白い。魔力のないその体で何ができる」

「ないからこそできることだってある!」

僕の目からは涙が流れていた。

悲しみの、哀しみの涙が。

「貴様は面白いな。正々堂々戦おう。我が名はフィフティファーレ・ナジェリア・クルークラウ。遣神けんしんの者なり。能力は〝強奪〟だ。かかってこい少年!」

「うあぁぁぁぁぁぁ!」

僕は叫びながら走った。

奴に拳を向けて。




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