感情の力
「あ〜あ、結構期待してたんだけどなぁ。こんなのがレプリカなんじゃ俺も甘く見られちまうじゃねぇかよ」
あくまで自分の心配か。
さすがは神ってところだな。
体が痺れて……全く動かない。
電流が体に流れたんだ、生きてるだけマシな方か。
「どちらにしようかな〜、俺様の言う通り〜。はい、そっちの弱そうな君!おめでとうございまーす!次に死ぬのは君に決定しましたー!」
ゼウスが指さしたのは、諸刃さん。
それもその筈だ。
彼女はこの世界においての能力を所持していないのだから。
「唯はん!逃げえ!はよ、鞘はんのところへ!」
タルトさん……。カッコイイな。
僕があぁなるべきなのに。
「よぉ、アスタルト久しぶり」
「せやなぁ、うちは出来ればアンタの顔なんか二度と見たくなかったんやが……こうなってしまったもんはしゃあないな」
「いいご挨拶じゃないか。楽しませてくれよ」
だめだ、タルトさん。
貴女じゃアイツには勝てない。
頼む逃げてくれ。
「行くで!クソゼウス!」
地面から生まれる植物がゼウスの足元に刺さる。
しかし当たることはない。
「口が悪いな、目上の人への言葉遣いを叩き込んでやろう」
「誰が部下や。負けへんよ」
七本以上の植物をゼウスは一人で捌いている……。
速い。そして何より正確だ。
「榎谷くん!だ、大丈夫?」
大丈夫に見えないでしょ。
諸刃さんは面白いこと言うなぁ。
仮面を付けてほしいんだけど……口は動かないし……。できる術がない。
「あぐっ……」
「お前を遣神に入れなかったのは正解だったみたいだ。あまりにも弱い」
「なに……言うとるんや。うちに断られただけやろぐぅぁっ!」
「黙れ」
あのタルトさんがほんの数秒で……。
負ける。
このままだとタルトさんも死。
ダメだ、なんとかしなければ……。
なんで動かないんだ、こんなに祈っても願っても力には平伏すしかないのか。
「守りたかった女が目の前で殺されるのを見れるなんて運がいいな」
「なっ!や、やめ……あぁぁ!」
首を絞められ、そこから電流が流れる。
多分もうタルトさんも喋れない。
「さぁ、娘よ。蛮勇な選択をし死ぬか、愛した者と死ぬか。選べ」
「私は」
逃げて諸刃さん。
「私は戦う!榎谷くんとタルトさんをこんなにしたアンタを許さない!」
「ふっ、戦士よ。では共に死ぬが良い!」
ゼウスの手には〝神王の雷槍〟。
まずい、範囲攻撃が来る……。
僕はまた目の前で大切な人が殺されるのを見てることしかできないのか?
違う!今はあの頃とは違う。
力がある。
動け体!それでこの命が絶えようとも。
守るべきは今だ!
「死ね」
「動けえええええええええええっ!!」
動い……た!
動かなかった、寝たきりだった体が一瞬のうちにゼウスの目の前へ。
「何っ!?」
ゼウスは瞬時に槍で防御の態勢をとる。
「目には目を!歯には歯を!雷には雷を!」
バランス起動、体内蓄電終了、散雷収集、放電準備完了。
「吹き飛べぇぇぇぇぇ!」
バランスによる右手の再生、喰らった電気を集め死力を尽くして雷槍とぶつかる。
「なん……だとっ!?この力はぁぁぁあ!」
競り勝った。
ゼウスはそのまま扉へと激突。
「がはっ!」
「最強は神じゃない!最も強いのは仲間を守る力、この僕だ!」
僕は二度と大切な人を無くさない。
そう誓ったんだ。
「図に乗るなよ!レプリカ!」




