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ゼウス来雷

「う、あ、あれ……僕」

「榎谷くん!よかった」

あれ、僕……確かカオスを倒して……気を失ったんだっけ。

「鞘はん、目覚めたんか」

タルトさんも普通にいる。

でも、なんでこんなに揺れてるんだ?

「ゴァァァ」

「うわぁっ!?」

コイツ確か木の怪物!

「トレントや、人は襲わんから気にせんでええ」

襲わない……?

ペットみたいなものかな?

とりあえず降りよう。

「それでここは?」

「天冥の境界」

ここが……。

目の前にそびえる大きな扉。

「ここを通るには儀式がいるらしいの」

「儀式?」

「そうや、敵意の儀。互いに戦い闘士を示すって儀式やな」

2人と戦わなきゃいけない!?

それはダメだ!

「でも、まぁ、殺す必要はない。敵意を扉が認めれば開くようになっとるんよ」

よかった。

「しかしそれでは面白みがない」

いや別に……面白くなくても……。

「誰ッ!?」

明らかに女性の声じゃない。

金髪で……若い、こんなところで何を。

「やあ、俺はゼウス。俺のレプリカがいるって聞いてね。ここで待てば来ると信じてたよ」

彼が…………ゼウス。

予想よりはるかに若い。

でも、威圧感や口調から見える彼の強さ。

今までの敵とは比率が違う。

「僕がそのレプリカ、榎谷鞘だ」

「ふむふむ、そうだなぁ……儀式始めようか」

まさかコイツ!

「始まったよ、ほら。早くしないと死ぬよ?」

瞬時に目の前まで来ていたゼウス。

速い!目にも止まらぬなんて比じゃない。

「はぁぁっ!」

でも僕だって負けてな……。

「全然なってないな」

嘘だ……そんな。

腹を守った右手の折れる音と共に、飛ばされる。

「グガッ!?」

右腕が……使えなくなったみたいだ。

ありがとうトレント。

勢いを止めてくれたのは助かった。

「まだまだ、ね?」

「くっそがぁぁっ!」

もちろん拳を交えて当たるのは僕の頬だけ。

相当な激痛。

「なーんだ、こんなもんか。殺そ」

奴はまだ……能力を使っていない。

僕もまだ使うわけには。

「〝神王の雷槍〟死ぬといい」

お、おかしい。

体の周りに電流が漂うほどなんて……。

力の差なんてもんじゃない。

でも……。

「負けるかぁぁぁ!」

せめて一発当たれば……。

しかもこの近距離じゃ槍なんか使えない!

「電域、解」

「あっ、ぐぁぁぁぁぁぁっ!!」

体を巡る電気。

こんなの……反則だろ。

「がっ、あぁ」

「はぁ〜、つまんね。女でも殺すか」

やめろ……。

動いてくれよ、体。

頼む、たとえ今命が絶えたとしても彼女達だけは。

〝夢見タ体ヨ、愚カナ脳ヨ、儚キ命ヨ。ツマリ我ハ人ナリ、ソシテ人ハ神ヲ討ツ力ヲ得タ。覚悟ハヨイカ、神ヨ。墓ハ此処ナリ〟

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