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リポエ村の優しい偽善者

「はぁはぁ……やっと出れた」

「疲れたぁ」

すぐさま、暗かった辺りは明るくなった。

同時に天地も元に戻った。

4時間も歩き回ったのだ。

やっと出られた先は小さな村。

どこでもいいからまずは休みたい……。

「それじゃあ、これはもう要らないや」

そう言うと諸刃さんは手に持っていた剣を森へ投げ捨てた。

「あれ?諸刃さんってあの……おにまるなんとか使えないんじゃないの?」

「〝鬼丸国綱〟。あれは違うよ?森にたくさん刺さってたじゃない。そのうちの一本」

言われてみれば至る所に剣が刺さっていたな。

全然気にしてなかったけど……。

「あ、あんたら!」

疲労困憊の僕達に話しかけてきたのは村の方から来た老人だった。

「あんたらはあの森を抜けたのかい?」

「えぇ、まぁ」

4時間ですよ4時間。

言いたいけど言う必要なさそうだし……言わなくていいかな。

「あの大きな地震はなんだったのじゃ?」

「あー、えっと……それはですねぇ」

僕が言葉に詰まっていると諸刃さんのフォローが入った。

「大きな地震でしたね〜、私達もビックリしちゃって」

視線で「ありがとう」と送る。

僕はまだ遣神と闘った回数が少ないので特徴がわからないのだ。

もしかしたらこの村は遣神の人間が住んでいる村かも知れないと思ったら事実を言うことは避けたかった。

「あんたらじゃないのだな?」

「当たり前ですよ。あんな大きな地震誰も起こせませんって」

老人は首を傾げながら少し考えた後、僕達を歓迎することを選んだらしい。

「ようこそ、リポエ村へ。わしが村長のブルズ・エドウィンじゃ」

名前めっちゃかっこいい。

外見としてはいかにも老人。

髪が薄く、残っている髪は白髪。

顔にはシワがあり緩めの服に曲がった腰。

なのに名前だけはすごくかっこいい。

「エドウィンさんよろしくお願いします」

「こちらこそ、見た限り旅人さんのようですがどうぞごゆっくり」

エドウィンさんのその一言と同時に拍手があがった。

まずは宿がほしいかな。

あと食料も。

「それじゃあ諸刃さん、行こっか」

返事はない。

「諸刃さん?」

「うわぁ〜、これ美味しそう!」

野菜を売っている店の前。

そこには、よだれを垂らしながら目を輝かせる諸刃さんの姿があった。

「諸刃さん……」

「あっ!ご……ごめんなさい」

「大丈夫。じゃあそれ買おうか」

首をブンブンと縦に振る諸刃さんはまるで子供のようでとても可愛かった。

そしてここで、重大なことに気付く。

「あ……僕達、お金持ってないじゃん」

2人の心には北風が吹いたことだろう。

そうだよ、森には食料があったんだ。

あの激辛リンゴとか。

でも村とか町に来たらお金がいるんだ……一番大事だよねこれ。

「あの〜、よかったらこれどうぞ?」

後ろから声をかけられた。

真っ白に燃え尽きたような2人だったがその声には瞬時に反応した。

「こ、これ……私が作った野菜なので味はあんまり保証出来ないんですけど」

「「ありがとうございますっ!」」

僕達2人は声を揃えて礼を言った。

「それと……宿がないのでしたら、うちとか……寝心地は悪いかもしれないですけど」

「「本当にありがとうございますっ!」」

思いっきり頭を下げた。

こんなに優しい人がいるなんて……異世界コッチへ来て2人、いや正確には4人目だ。

「あ、申し遅れました。私、ユウカ・サリエといいます」

「えっと、僕は榎谷鞘といいます。お世話になります」

先に僕が挨拶を済ませ、軽く握手。

「私は諸刃唯です。色々ありがとうございます」

諸刃さんも握手。

「では、ご案内しますね」

サリエさんについて行った。

その時はまだこの村のことについてほとんど知らなかった。

でも……ついて行くべきじゃなかったかもしれない。



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