僕は死にたい
いつも通りの学校生活。
朝、僕の机には花が置いてある。
花はスノードロップ。
花言葉は“あなたは死を望みます”。
こんなことをされても気にはしない。
このスノードロップという花はなかなか綺麗だ。
「やぁ、鞘くん。1万出してもらおうか?」
僕、榎谷鞘が一番嫌なことはこれだ。
「あ、あのうちは生活が厳しくて……」
「そんなことは聞いてねぇの!とっとと1万出せや!」
「……はい」
机を蹴られ、出す他に選択肢はない状態。
あざなどが残ってたった1人の母親に心配なんてかけたくないんだ。
しぶしぶと財布を取り出すと、強引に財布を盗られた。
「おっ!5万も入ってるじゃん!ありがとね〜、俺らの財布君」
「待って!1万円だけだって言ってたじゃん!」
「あ?」
「ッ…………わかりました」
「いい子だね〜」
そう言ってどこかへ行ってしまった。
授業中は、頭にシャーペンの芯を投げられて背中には“僕はATM”という貼り紙を貼られる。
昼休み
僕には食べるものがない。
何かを買うお金がない。
そんな僕は中庭にある大きな木の下でボーッとするのみ。
「榎谷くん、あの……これでよかったら食べて?」
カレーパンを差し出してくれた。
彼女は…。
「諸刃さん?」
昔からのクラスメイト。
特にこれといった関わりはないけれど、ずーっと同じクラスだったし、すごく美人だから覚えている。
黒い髪のポニーテール、整った顔立ちに凛としたスタイル、優しい性格。
誰にでも平等に接する彼女。
諸刃唯さん。
たくさんの人に慕われ、友達も多い。
「ごめんね、私料理とか出来ないから買ってきた物だけど……」
本当に優しい。
だからこそ僕は受け取っちゃいけない。
受け取る資格がないのだ。
「ありがと……でも、僕は大丈夫だから諸刃さんが食べてよ」
「えっ、でも」
「それじゃ、僕はこれで」
避けるように校舎へ入った。
午後もまた貼り紙と芯に耐えるのみ。
放課後は頭にコーラをかけられ、バッグにも入れられる。
そんなことをもう7年。
今は17歳高校2年。
小学の頃に父親が事故死。
それからは家を捨て小さなアパートに変えた。
母も働き僕もバイトを始めた。
その頃からちょうどいじめも始まった。
最初は母に相談した。
しかしそれが心配をかけると知った中学1年。
話すことをやめた。
これ以上お金を盗られて迷惑をかけるなんて嫌だ。
「ただいま……」
家には誰もいない。
前々から考えていたことだった。
今日こそは……覚悟を決める。
誰の目にもつかないところで死ぬ。
いい場所も知っている。
近くの廃墟へ向かった。
静かだ。
ここで僕は死ぬ。
縄を結び天井にある針金に引っ掛ける。
後は高さにあう椅子を持ってくるだけ。
「ちょっと、君!」
まずい誰かに見つかった!?
「こ、来ないでください!」
「もしかして……榎谷くん?」
「えっ」
驚いて後ろを向いてしまった。
諸刃さん。
「最後が諸刃さんに見られてなんて……僕も本当についてない」
「考え直して!」
「ありがとうございました。……さよなら」
縄を首にかけ、足場から飛んだ。
苦しい。
でもそんな痛みもすぐに消える。
「榎谷くん!あなたは……」
それ以上は聞こえなかった。
最後までありがとう諸刃さん。
目を覚ましたのは……ある家の庭。
「ここは……天国?」
天国っていうのはもっと雲の上みたいなイメージがあったのだけれど。
こんなに地上みたいなところなのか?
目の前にあった家のドアが開いた。
「本当だって!変な音したも……ん?」
「へっ?」
「きゃぁぁぁぁ!変質者ー!」
勢いよく扉を閉めて戻っていった。
僕ってそんな悪い顔してるかな……。
僕の体を見回すと原因がわかった。
着てるものがない!
「えええぇぇぇ!?」




