準不良少女タクミ
今回はゲームは無しです
朝のホームルーム前の時間にファイルに入れたプリントを火星は眺めていた
「よう火星!」
隣から佐治の声が挨拶をする
「あぁ、佐治⁉」
隣に居るはずの人物はウニみたいな髪型をしていた
「あの~、ここは学校ですよウニが卸される場所じゃ無いです」
「お前なかなかひどい事言うな」
昨日までの佐治はワックスなんて少なくともきのうまではつけていなかった、髪型も普通だった
「どうしたんだその頭?」
「もちろんキメてきたんだぜ!」
Vの字にした手を顎に当てて言った
「キメたって言われても、俺はファションに疎いからな…」
服なんてただの布と思っている火星にファッションなんて分かるわけが無いがあまり似合ってなさそうとは思っていた
「それなりのテカリ具合、50点」
いつの間にか佐治の後ろに立っていた志乃が採点した
「なかなかいいワックスを使っている」
志乃は考えてることは分からないがやはり女の子である、流行のファッションは常にチェックしている。
少なくとも服はスーパーのセールで買った事しか無い俺よりかは遥かに理解しているだろう
「よく分かるなお前、良かったじゃないか女子目線で50点だぜ⁉」
「なんかワックスしか褒められてない気がする、もっと髪型とかネックレスとか褒める場所があるだろ⁉」
どうやらワックスしか褒められないのが不満のようだが、わからない人に褒めろと言ってもどう褒めるか、そしてどうダメ出しするかも分からない火星は黙るしかない
「「………................................」」
志乃まで黙りこんだ
(お前はフォローいれられるだろうが!)
「せめてどこが悪いかぐらいおしえてぐれよぉ‼」
沈黙に耐え兼ねたのか掴みかかってきた
「佐治…アクセサリーは校則で禁止されてるぞ?」
「ここに来てのダメ出し⁉」
この学校の校則ではネックレスやその他アクセサリー類は基本禁止である、まぁ無視する生徒も多数いるが
「せっかく持ってきたなら出しておけよ、あいつらみたいに」
廊下でたむろしていた不良を指差した
「やだよ、取られたくないもの」
意外に高いものだったみたいだ
廊下で大きな音がした
「「「⁉」」」
「なんか外が騒がしいな」
「やじ馬しに行こうぜ?」
(やじ馬とはこいつらしい)
「賛成」
(志乃は賛成か)
「お前はどうする」
「確かに気になるし、ちょっくら行ってみるとすっか」
三人は廊下に向かう、既に廊下には何人か集まっていた視線の先には男三人に殴りかかられている女子がいた
「あれが騒ぎの種って訳だ」
「不良の喧嘩だな、でも女子に三人掛かりとは情けないヤツらだな」
「ずごい身のこなし、儂は磨く所の無いダイヤモンドを拾っかのようじゃった」
「どこのセコンドだよおまえ………」
殴りかかられていた女子はパンチを交わしているが、顔には疲労が見えていた
他にもやじ馬が居たが皆いつ女の子が殴られてしまうのか心配しているようだったが、志乃は好きなボクシングの試合をみてるかのように肩を震わしていた
「やばいね、三人のパンチを避け続けているせいで反撃どころか逃げる事もままならん、このままでは避けきれなくなるのも最早時間の問題ッ!」
「そうなる前に止めるぞ!行くぜ佐治!」
火星はウニみたいな頭を鷲掴みにして男達にむかって突撃する
「ちょ、せっかく早起きしてセットした髪がぁぁぁぁぁあ!」
佐治は固めた髪が鷲掴みされぐちゃぐちゃになった事を嘆いていたが、火星はウニを無視して拳を振り上げた不良に体当たりをして吹っ飛ばした
残る二人に体を向け、昨日見たボクシングのファイティングポーズを取った
「おい、おm「おうおうおうおう‼野郎三人で女一人囲むなんてひきょうじゃねえか!てめぇらみてぇな卑怯なビチクソ野郎はたとえお天道様と大仏様が許してもこの火星様が許さねぇぞオラ!まとめてかかって来いや‼」
(志乃………女の子がビチクソなんて下品な事言っちゃいけません、あと微妙に上手い声真似止めてくれよ、完全に俺が不良共に喧嘩売るかんじになってるじゃん)
当の本人は少し離れた安全地帯で観戦している、おまけにヘルメットまでして
「てめえらなんぞ二人や三人まとまろうが俺様の敵じゃねぇ‼」
(だから止めろって‼)
志乃はベストな空気を作ってやったぜ、とでも言いたげな顔で親指ポーズを決めていた
しかし、言い方は悪いが火星も言いたい事は同じなので止める訳にもいかない
「あぁ?なんだテメェ?」
「喧嘩売ってンなら買い取るぜ?」
ただし、高くつくがな、と火星の顔を見て不良達は笑った
(なんか喧嘩慣れしてそうな感じだよな...............)
志乃は遠くで何処からか持ってきた旗を振っており、佐治は髪型が崩れたショックで廊下のすみで縮んでいる
相手は二人もちろん火星に武術の心得は無いためニ対一では勝てるはずがない、後ろにいる女の子に助っ人を頼むのも割り込んだ手前出来そうにない
(どうしようか、本格的にヤバイぞ………)
不良達は腕を鳴らしながら近づいて来た今にでも殴りかかって来そうだ
(覚悟を決めてやるしかなさそうだな、カウンター狙いで行こうか、怪我したく無いなぁ)
火星がガードを固め、相手の出方を見ていると後ろからゆらゆらっと影が見えたその影は燃えないゴミのゴミ箱を担いだ佐治だった
「お前らがこんな所で喧嘩なんてするからあぁぁぁぁあ!」
燃えないゴミのゴミ箱を振りかぶり、上から振り下ろす
「俺の30分を返せえええええええええ‼」
ボン、っという音と共に不良Aにゴミ箱が装着される、予想外の出来事に不良Aも驚いているらしく、ゴミ箱を外そうとするもパニックになっているのかなかなか外れない
「今だ!志乃やれ!」
佐治が後ろを向いて叫ぶと安全地帯にいた志乃がクラッチングスタートの構えをしており、廊下を走りながら踏み切り、宙を飛びながら身体を斜めにし、両足を揃えて不良Aに激突する
綺麗なドロップキックだった
不良Aはゴミ箱ごと遠くに吹っ飛んでしまう
「ミッションコンプリート、早急にこの場から退避する」
志乃と佐治はスタコラサッサしてしまった
残された不良Bは何が起きたのか理解出来ていないらしく、ポカンとしていた
(今なら行ける!アレがノーガードだ)
肩幅に足を開き、脇をしめて力を絞る
「食らえ必殺ハメドアッパー‼」
もちろん、ただのアッパーでハメドはあまり関係ないが、顎にアッパーをもろに食らった不良Bは仰向けに倒れた
「-------------------------
その後、体当たりで伸びていた不良Cが目覚めてAとBを連れて帰るのを見送り、襲われていた不良女に事情を聞いていたのであった、まる」
「何言ってんの?」
「ところで、貴方はなんで不良トリオに囲まれてたの?」
空いていた席に座らせて、志乃が事情聴取をしていた
「うるせぇ、どこで何をしようが俺の勝手だろ」
「いや、助けならいた筈だ!」
「巻き込みたくないんだよ、ほっておいてくれ」
「お天道様は見ているぞ!」
「関係無いし、危なくなったら逃げるし」
「いやと言おうと君の力になってみせる!」
「だから、巻き込みたく無いんだって」
「そんな事を言ってても、君の心は叫んでるよ!」
「いや、だから!」
「なんか会話つながって無くね?」
なんだかごちゃごちゃでつながっているようなつながって無いような繋がっている会話だ、だけども不良女が押されている
「志乃に任せたのが間違いだったな、やはり常に女心を研究している俺が匠な話術で落とすしかないな」
「お前もあんまり期待出来そうに無いけどなぁ…」
不良女の前に座っている志乃の肩を叩き俺に任せろと言い場所を交代する
志乃が机を離れて少し残念そうにしている、遊び足りないのかそれとも何か気に食わないのか
「どうだ、何か解ったんか?」
「星野学園一年六組、そこまで悪くなさそうだけど、一匹狼だったみたいだねぇ、あとどこかのグループと揉めてるみたいなかんじ」
名前は解っていたらしい、佐治が武田に何か問いただしているようだがうまく行ってないようだ
「何か聞き出してくれると思うか?」
「希望は薄い」
ここまでキッパリと言われてると流石に弁護したくなるが、そこまで口が上手いとは思えないが、話がかみ合って無かったこいつがなんで少し解ったのか不思議でもあった
「なんでそこまで解ったんだよ?」
「まず、クラスは校章から解った」
たしかに制服に在籍を表す校章を付けるのは特に厳しく取り締まられている、あふれる程生徒がいるから一目で在籍位は把握出来ないといろいろと問題があるのからだろう
「それに仲間がいるかと聞いたらすぐ巻き込みたくないと言った」
「たしかに、そう言ってたな」
「仲間の心配より他人の心配をするなんて余程仲間を信頼して居るか、居ないかのどっちか」
「なる程ねえ、あの会話のなかにそんなのが隠されていたなんてな
」
フフン、と少し誇らしげに志乃が胸をはった、あんまり無いなぁー
「最後にあの子は三人組に襲われていた、そしてあの三人はあの子を探していたみたいだった」
「何かちょっかいでも出したんじゃないか?」
「だとしたら巻き込みたくないなんて赤の他人に言うと思う?入り込まれたら困る何かがあるのよ…」
志乃は真剣な顔持ちになり、何かを考え始めた
(目の前に居るから本人に聞きた............こいつがそんなヘマするわけないか)
すると、さっきまで話を聴いていた佐治が戻って来た、しかも涙目で
「チェ、チェンジだって…」
いろいろと厳しいツッコミを受けたんだな、髪型とかネックレスとか
「仕方ねぇな、ここはおれに任せとけって」
(こちとら顔もしらないようなやつとデュエルしてんだ!)
「なんで、絡まれてたんだ?」
「巻き込みたくないから、もうやめにしてくれ」
「俺はもうまきこまれているけど?」
「そ、それは勝手に飛び込んでできたのはそっちだろう⁉」
「あのまま一人で対処出来るともおもえなかったぜ?」
言い返ないのか、下を向いてしまった
「なぁ、どうしても駄目なのか?俺たちは何か力になれると思うぜ?」
「……気持ちは嬉しいが、どうしてもだ」
椅子から立ち上がり教室を出ようとしたが、火星は逃がす気は無いと言うかのように立ち塞がった
「そこをどいてくれ」
「悪いがそれは無理な相談だね、自ら危険に飛び込むやつはほっとけないんだ、どうしてもというなら俺を倒してからにするんだ」
「なら、手加減はしないぞ?」
彼女はボクシングのファイティングポーズをとる
「いや、女子を殴るのはジッちゃんがゆるさないからな、ここは別の勝負にしよう」
「じゃあ何か持って来る」
志乃が手を振りながら教室を飛びだして行った、不良少女はファイティングポーズを解いていた
「お前、変わったヤツだな」
少し呆れたように言った
「お前さん今頃気付いたの?それに俺はお前じゃない、火野火星って名前が有るの」
「私もお前さんでは無い、武田 未知瑠という名前がある」
「じゃあお前はいまからタクミな」
「………………はぁ?」
タクミはぽかんと口を開けた
「武田のタと未知瑠のチそれとクで、タクミだぞ?」
「いや、待て!クは何処から来たんだ⁉」
タクミはあだ名は初めてなのか慌てている
「良いと思うけどな、タクミって」
いつの間にやら復活した佐治が感想を言った
「タクミね、フフフ」
「お前はなんで笑っているんだ?」
帰って来た志乃も気に入ったらしい、こいつにネーミングセンス無いしな~
「帰って来たって事は何か持って来たのか?」
「はいこれ、野球部の部室にあったのを拝借してきた」
二つくっつけた机の上に乗せたのは銃の形をしたオモチャと四角い箱のようなものだった
「何コレ?」
佐治が銃をいじくりながら志乃にきいた
「わからない、そこにあったから持って来た」
「使い方もわからないなら勝負も出来ないじゃないか」
志乃が一歩後ろに銃を握りながらさがったそして
「\(^o^)/」
「今気付いたの⁉」
タクミは志乃のペースにはまってるなぁ~と火星と佐治はどうするか策をめぐらしていた
「野球部の人なら知ってるんじゃないか?」
「まぁ、野球部の部室にあったものだしな……」
「なら、野球部員~野球部員~直ちに出て来なさ~い、さ~い、さ~い、出て来ねぇ‼」
それもそのはず、一年二組に野球部員はいなかったそれに気付いたのは、隣のクラスの野球部員、貴之君にあってからだった
佐治が一番書きにくい