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彼女は僕のお姫様(もとい魔王様)  作者: 一葉
3章:(仮)なんか学院の仕事に推薦されました
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15.『推薦』

時は2章の最終話の前、7月のこと。


「うーん・・・

 困ったわね。」

廊下を歩きながらヘイゲル先生はどこともなしに呟いた。


「どうされたんですか?先生。」

偶然通りがかり、耳に入ったリセリアがヘイゲル先生に声をかけた。


「あら、ルーベンスさん。

 実は来週予定している冒険実習で雇う予定だった冒険者が一人都合がつかなくてね。

 連絡してみたら引退しちゃってたのよ。

 今からギルド経由で依頼を出してもすぐ見つかるか分からないし・・・

 どうしようかと思ってね。」


「あ、それでしたら、私の知り合いの冒険者に連絡してみましょうか?」


「それって、あなたが初めて寮に来た時に一緒にいたあの子?」


「はい。」


「でも、Dランク以上じゃないと雇えないのよ。」

ちょっと困ったように声に出した。


「じゃ、大丈夫ですよ。クライフはDランクですから。」


「あれから3~4ヶ月なのにもうDランクなのね。」

ヘイゲル先生も驚いた顔をしている。


「・・・・・

 じゃぁ、お願いしようかしら。

 内容の説明をしたいから近いうちに私を訪ねるように連絡してもらえる?」


「分かりました~」


そこで、早速リセリアはクライフへPMプライベート・メッセージを送ることにした。

PMとはギルド証の機能の一つで、フレンドリスト登録者に16文字以内のメッセージを送ることができる機能だ。


『話があるから会いたい』

返事はすぐに帰ってきた。

『依頼なう4時戻り予定』


4時なら授業も終わっているのでこちらから会いに行くことにする。


『ギルドで待つ』

『おk』


授業後、ギルドへ赴くが時間が少し早い。

リセリアはお茶を飲みながら待つことにした。

暫く待っていると入り口からクライフが入ってくるのが見えた。

声をかけようと思い、立ち上がるが・・・




何あの女!?


くぅぅぅ、仲良さそうにしちゃって!

一緒に清算してるってことはパーティ組んでるってこと?

でも、パーティには・・・あああああ、いつの間にか増えてるぅぅぅ

どういうこと、私に何の相談もなしに!

ま、まさか付き合ってるなんてことは・・・

いやいや、そんな馬鹿な。

こんな美少女の熱視線に気付かない超鈍感男が彼女なんて・・・

待って、もしかしてあの女の方からとか・・・

それこそありえないわ。

あの程度の女の誘惑に乗るようだったらとっくの昔に私を押し倒してるでしょ。




等とごちゃごちゃ考えているうちにクライフが近づくが、リセリアは全く気付かない。

立ち上がろうとして椅子を引いた体制のままボーッとしている状態だ。


「リセリア・・・おーい聞こえてんのか?」


「そちらが師匠のお友達ですか?」


「ああ、そうなんだが・・・」

クライフをリセリアの目の前で掌をヒラヒラ振るが、それでもリセリアの魂は戻ってこなかった。


「たまにこうなるんだよ。

 気にせず茶でも飲もう。

 そのうち戻ってくるよ。」


「はぁ・・・」


お茶どころか、2人がケーキセットを消費して雑談に興じ始めて漸くリセリアは戻ってきた。


「ハッ!?

 く、クライフ!」


「よぅ。

 トリップすんのは構わんが、なんか用事あったんだろ?

 済ませてからにしてね?」


「そ、そんな事より、何この女?

 いつの間にかパーティにも入ってるし!」


(ああ・・・なるほど、そう言う事ですか(苦笑))

リディエールはリセリアの気持ちを敏感に察していた。


「お初にお目にかかります。

 ベルクライム様に師事しております、リディエール・アルディエスと申します。」


リディエールが丁寧に挨拶をした。


「あ、え、えええと。

 クライフと同じ村の出身で、リセリア・ルーベンスです。

 魔導学院の1年です。」

多少どもったけど、無難に返す。


「師事って?」

リセリアがクライフに尋ねる。


「そのまんまだよ。

 アーツの使い方とか暇な時に教えてる感じ。」


「へ~、クライフがねぇ。」


「はい。

 ベルクライム様は得難い師です。」


「と、思い込んでるみたいだからあんまり突っ込んでやるなよ。」


「思い込みではありません。

 師匠のアーツ操作は匠の域です。

 まるで息をするように操る技は神業と言っても過言ではありません。」

リディエールが力説する。


「らしいよ?」

まるで人事なクライフ。


(ふーん・・・恋人とかってことではなさそうね。

 ま、私がいるんだから当然ね!)

リセリアは少し安心した表情になる。


「それは置いといて、なんか俺に用事あったんじゃないのか?」


クライフが脱線気味の話を元に戻す。


「あ、そうだった。

 あのね、今度学院で冒険実習があるんだけど、その護衛の冒険者が足りないらしいの。

 で、先生にクライフの事言ったんだ。

 どう?受けない?」


「護衛かぁ・・・」


「話だけでも聞いてみたら?」


「そうだな。

 ま、まずは話を聞かない事にはな。」


「わかったー

 じゃ、先生にはそう言っとくから明日にでも学院に行って。」


「あいよ。

 朝のうちに言っといてくれるか?

 昼前くらいに行くから。」


「了解~」


その後、リセリアに付き合わされて、買い物と食事に連れて行かれるクライフでした。


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