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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

EVERYTHING IS IN MY DREAM

作者: 鹿間 颯
掲載日:2026/06/14

三島由紀夫という太陽が日本から消えた5年後


日航機123便が御巣鷹山に消えた10年前


あの夏の日


あのこは僕に秘密基地で教えてくれた


神社の裏の、藪の中の秘密基地


中学に入ったらオーディション番組に出る ということを


あのこは赤いワンピースと白いソックスと、キャメルの靴でひらりと回って


流行りの歌手の曲をカセットと一緒に歌って見せた


あのこは黒目がちな目を細めて笑った


その目はぼくの左手が上手く動かないことを笑ったあのときと同じだった


ぼくは野球の約束があったから、また今度といって走って逃げた


あのこはその後、秘密基地にきた知らないおじさんについていって


そのまま帰らなくなった


ぼくは家に帰ってそのことを聞いて秘密基地にいった


やけにでかい夕日が神社の境内を照らしていて気持ちが悪かった


ひぐらしの声がした


秘密基地には、カセットが残されていた


どうしてついて行ってしまったんだろう


あのこはぷっくりとした可愛い体をしていた


まだ子供用の下着だからかせり出した胸の形と


ヒラリと舞ったスカートの裾から覗いた白い腿の


魅力的だったことを覚えている


それから10年が経ってぼくは大学生になった


引きこもってばっかだったぼくは


半ば追い出されるように大学にいった


大学の人たちはとても冷たかったけど


1人だけ良くしてくれる女の子がいた


彼女はぼくを映画に誘ったり、クラブに連れ出したりしてくれた


けれどもぼくは彼女に対してexcitation sexuelleを感じることが出来なかった


そしてぼくは彼女に部屋の棚を埋め尽くすビデオのことを話せなかった


彼女は時折ぼくに寄りかかったり、ぼくの目を覗き込んだ


黒目がちな目で見つめられた時


ぼくは責められているように感じた


どうして、普通の人のように、成体の女を欲望することができないのか、どうして、私を欲望しないの、と


ぼくは自分が不能者のように感じた


彼女は何も知らないふうにしてぼくの周りを蝶のように飛んだ


ぼくは彼女の撒き散らす鱗粉に充てられたようになってビデオを増やしていった


そして街を歩く少女たちに目を奪われた


そうだ


あの時からだ


ぼくのなかで何かが変わっていったのは


赤いスカートの中に覗いた本当に求めていたものがいつの間にか姿をかえて


ねずみのような顔をしてぼくを見ていた


覚えているかい?


きみはひとりでマンションの前にいたね


ぼくはその手を取ったね


そしてきみはあのこと同じようにぼくの手を笑ったんだ

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