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現代ダンジョン奮闘記  作者: だっち
第3層“承” 魔素修行

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第60話 空間魔法

是非、ブックマークか評価を。

私にガソリンをください!!

超巨大ゴーレムとの激闘から一夜が明けた。

直哉と武虎はまだ体に残る疲労を感じながらも、第3層の研究所を目指して歩き始めた。


「お前……昨日の探索で魔素どれくらい上がった?」

「俺は11。いや、正直びっくりしたよ」

「俺は10だ。……おかしいよな。

強敵は強敵だったけど、そこまで桁外れってほどでもなかったはずだ」


2人は首をひねりながら進む。

魔素がこんなに一度で跳ね上がるなんて、今までなかった。


その時、イチカの念話が響いた。

(『昨日の超巨大ゴーレムを破壊した際、膨大な魔素が周囲に放出されました。

おそらく体内に魔素を溜め込んでいて、魔石化していなかったのでしょう』)

(なるほど……だから魔石は小さかったのか)


直哉が武虎に伝えると、武虎は腕を組んでうなった。

「つまり、あのゴーレムは歩く魔素タンクだったわけだな。……そりゃ俺らも一気に増えるわけだ」


* * *


第3層の入り口近く。

昨日手にした石碑には研究所までの道が記されていた。

イチカが念話で案内を始める。

(『石碑の内容はすでにマップに反映させています。

私が道順を示しますので、そのまま進んでください』)


「トラ、石碑に書いてあるのだとこっちだ」

武虎も頷き、2人はマップを確認しながら進む。


入り口が巧妙に隠されていた通路を発見する。


中に入ると通路は狭く、曲がりくねり、時折岩がせり出していて進みにくい。

「これ、方向音痴だったら一生出られないやつだな」

「お前が迷ったら俺も迷うからやめろ」


やがて通路の先に、山肌を削って作られた洞窟の施設が姿を現した。

外観は自然の岩壁に溶け込み、まるで山そのものが研究所を抱え込んでいるようだ。


* * *


研究所の内部は石造りで整然と区画が分けられていた。

だが机や棚は風化し、紙片は粉々になっている。

「うわ……廃墟感すげぇな」

「ホラー映画のセットみたいだな」


数時間かけて探索したが、まともに残っていたのは本2冊だけ。


「これだけか……」

武虎が肩を落とす。


「逆に言えば、超レアってことだな」

直哉は本を抱えながら答えた。


* * *


夕食を終え、3人でくつろぐ。ヤスが身を乗り出し、目を輝かせる。

「で、その本には何が書いてあるんですか?」


本をめくりながら、直哉が言葉を続ける。

「えーっと、空間処理と連結について……だってさ」


イチカの念話が響く。

(『速読します。ページを全部パラパラとめくってもらえますか?』)


直哉が一通り本をめくると、イチカがさらに念話を送る。

(『82ページを開いてください。

そこにアイテムバッグのようなアイテムを作る参考例が書かれています。

安田様に伝えてください』)


直哉は思わず息を呑み、ページを指で押さえながら声をかけた。

「……なぁヤス。

ここなんだけどさ、アイテムバッグを作る参考例が載ってるっぽいぞ」


驚きを隠せない直哉の言葉に、ヤスは眼鏡の奥の瞳を大きく見開き、勢いよく立ち上がった。

「おおっ! それは素晴らしいですぞ!

拙者もずっと試行錯誤しておりましたが、完成には程遠く……

しかし参考例が読めませんな。

ナオヤ氏のように魔石を使ってみたのですがダメでした。

相性でしょうか……」


ヤスの声には悔しさと期待が入り混じっていた。

研究があと一歩で届かないもどかしさ、それを突破できるかもしれない希望が胸を震わせている。


「そっか、そしたら後でデータ化しとくよ」

直哉が軽く笑って答えると、ヤスは両手を合わせて深々と頭を下げた。

「それは助かるでござる!」


その様子を見ていた武虎が、豪快に笑いながら肩を叩いた。

「お前ら、そんなん作ろうとしてたのか、すげーな!

なぁなぁ完成したら俺にもくれよ」


「もちろんですとも!

タケトラ氏にも、必ずお届けいたしますぞ!」

ヤスは胸を張り、眼鏡の奥で瞳を輝かせる。


* * *


談話がひと段落すると、3人は布団に横たわった。

部屋は一つで、灯りを落とすと薄暗い静けさが広がる。


(『本のデータ化は私にお任せください。スマートフォンにデータを入れておきます』)

(サンキュ)

直哉は心の中で短く返す。


「なぁみんな。明日どうしようか?」

直哉が布団に横になりながら問いかける。


ヤスは寝返りを打ち、興奮を抑えきれない声で答えた。

「拙者は滑る予定でしたが、アイテムバッグの研究をしようと思います。

先程、挿絵を見てからインスピレーションが止まらないのです」

その言葉には、夢中になれるものを見つけた喜びが溢れていた。


武虎は枕に頭を沈めながら笑う。

「そしたらよ、神谷。

俺らはまた超巨大ゴーレム行かないか?

あいつって毎日リホップすんだよな。

魔素訓練にちょうどいいんじゃないか?」


直哉も目を閉じながらうなずく。

「だな、コアの場所もわかったし、次はそこ集中的に狙ってみようぜ」


「じゃあ、また明日の朝な」

武虎もヤスも同じように返事をし、やがて部屋は静寂に包まれた。

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