第54話 冬休み遠征計画
是非、ブックマークか評価を。
私にガソリンをください!!
「……さて、現状整理だな。」
自室の机にスマホを置き、アプリのステータス画面を開いた。
レベル14。
イチカの最適化によって、筋力、敏捷、器用、知力、体力、それぞれ平均よりかなり高く、レベルで言えば16レベル相当だろうか。
まだ4層に行くには足りていないが、3層は問題ないレベルだ。
ステータスを見ると、これまでの努力が確かに積み重なっていることを感じる。
「このままゴブリンと戦うのもいいんだけど、なんか刺激が足りないよな。
城イベントとかは告知されてないんだよね?」
『はい、城イベントや砦イベントの告知はありません。
またイレギュラーの報告も上がっていません』
イチカの声が脳内に響く。
「うーん、魔素とレベルを上げるのがいいんだよな?」
『はい。魔素やステータスはレベルが上がった際に急上昇しますが、それまでの経験が反映されます。
そのため、ただ敵を倒すだけでは微量になってしまう可能性があります』
イチカの分析は鋭い。
俺も同意する。
普通の敵を倒しても、魔素はじわじわしか増えない。
効率を求めるなら、強敵と戦うしかない。
「そうすると、3層だとあとは集落ぐらいか?
あそこならそれなりに苦労すると思うけど」
『……遠征するのはどうでしょうか?』
「遠征?」
『現在、ダンジョン第3層にはイレギュラーモンスターの報告はなく、かつモンスターハウスなども存在しません。
効率的なレベル上げには、イレギュラーモンスターやモンスターハウスがあるダンジョンでの長期滞在が有効です』
「なるほど……モンスターハウスなら、敵がまとまってるし、強敵も混ざってる可能性が高い。」
『もうすぐ冬休みです。旅行を兼ねて遠征するのは合理的でしょう』
「旅行がてら……いいな、それ。」
頭の中でイメージが広がる。
冬。温泉、スキー。
そして、その裏でダンジョン攻略。悪くない。
「トラとヤスも誘うか。」
『彼らも休みですし、予定を合わせられる可能性は高いです』)
「よし、決まりだ。」
* * *
夜、スマホを横にして三者通話を開始。
画面に武虎とヤスの顔が並ぶ。
「よっす、トラ。」
「おう、神谷。
急に通話なんて珍しいな。」
「冬休み、遠征しないか?
スキー場近くのダンジョンで、モンスターハウスとかがありそうなところを選ぶ予定なんだけどさ。」
「ほー、いいな。面白そうじゃねえか。 神谷はスキーいけるのか?」
武虎の目が輝く。
こういう話には食い付きがいい。
「昔ちょっとだけね。
ずっとやってないけど、身体能力も上がってるし、大丈夫じゃないかな。
トラは?」
「こう見えて、大得意だ!
毎年行ってるぜ」
「そうなんだ、意外だな」
「意外とはなんだ、意外とは」
「ははは。
あともう1人誘いたくてさ。
ヤス、自己紹介頼む。」
「安田です。
ナオヤ氏の幼馴染みでござる。
発明品の提供などを担っておりますぞ。」
「発明品? お前がいっつも使ってる閃光弾とか煙幕弾とかか?」
「まあな。ヤスが作った変幻武器とか、かなり助かってる。」
「すげえな……てっきりどっかの工房のかと思ってたぜ」
「ふふ、魔石の応用は奥深いですぞ。」
画面越しに武虎が感心しているのがわかる。ヤスは得意げだ。
「で、移動手段だけど、探索報酬で懐も潤ってるし、快適に行こうぜ」
「賛成だ。宿は?」
「スキー場近くのホテルを探す予定」
(『報告します。スキー場に隣接するダンジョンを発見しました。
場所は会津で山岳タイプ、ゴーレム系が主体です。第3層にモンスターハウスの出現情報があります』)
「あー、会津にあるダンジョン。山岳タイプでゴーレムがでるらしいんだけど、ここでどう?」
「ゴーレムか、面白えじゃねえか。力比べだな。」
「山岳タイプですか。
もしかしたら魔石鉱脈が多くあるタイプかもしれませんな。」
「よし、決まりだな。冬休みはスキー&ダンジョン遠征!」
3人の声が重なる。画面越しに笑顔が広がった。
* * *
冬休みまであと1ヶ月だ。
「その間に、もっと強くならないとな。」
『藤堂様と共に、地元ダンジョンでレベル上げを継続するのが最適です』
「だな。基礎を固めよう。」
スマホを閉じ、拳を握る。
遠征、スキー、そして新たな戦い。胸が高鳴る。
『先日の戦いで上昇した魔素が滞留している箇所があります。
次の探索までに最適化を進めます』
イチカの声が、冷静なのに頼もしく響いた。
「頼むぜ、イチカ。」
窓の外には、冬の夜空。
遠くに見える街の灯りが、これからの冒険を予告しているようだった。




