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「わあ...」
フローレスはテーブルいっぱいに並んだ料理を見て目を丸くした。
サラダやパンはもちろん、煮込みハンバーグやロティサリーチキン、グラタンといったメインディッシュから、アヒージョや生ハムとチーズの盛り合わせにといったお酒のつまみまで。
ガルドが腕を振るった豪華な料理はどれも湯気を立てて、食欲をそそる香りを放っている。
さすが勇者パーティー、量も桁違いだ。
「イムラ、カイ、フローレスもお疲れ様。
教会じゃ中々食えんだろうから肉料理中心に作ってみた。
いっぱい飯食って体力回復してくれ。」
ガルドがスープを豪快に皿によそい、配っていく。
「ガルドは、レストランを開くべき。」
フローレスが瞳を輝かせてそう言うと、ライオネルがすかさず止める。
「ダメだぞ。俺がガルドの料理にほれ込んだんだから」
ライオネルがニシシと笑う。
「それに体力回復効果抜群なんだ。ガルドの料理は。」
ガルドが料理人なのに勇者パーティにいるのは理由がある。
彼のユニークスキル――「シェフのきまぐれ」。
料理によって、体力回復、魔力回復、状態異常回復など多様な効果を付与できる唯一無二の能力だ。
普段はタンカーとしての役割から戦いの支援、罠の解除、簡単なアイテムの製作など色々と器用にこなすことが出来る。
司祭やヒーラーは強力であるが故に他の戦闘能力に劣ることが多い。単純なダンジョン探索などならまだしも、魔王を倒すためにはそんなお荷物を抱えてはいられない。
ガルドがいるおかげで勇者と戦士、魔術師を入れた高火力のパーティが成立していると言っても過言ではない。
「お腹すいた!!!もう待ちきれないよーーー!!!」
ミアがフォークを握りしめて叫ぶと、ガルドは笑いながら飲み物を用意する。
ミアは慣れた手つきで全員のグラスに飲み物を注いだ。
「それじゃあ、みんな今日はーーー!!!」
「「「「「おつかれーーーーーーーい!!!」」」」」
突然の大声にフローレスはびくっとしながらもみんなに合わせる。
ガチンとジョッキが重なり、グイッとお酒を喉に流し込む大人組。
そのうちミアがカイに絡み始める。
「ねーーーねーーー、そのお酒も一口ーーーー!唐揚げも食べさせてーーー!!!」
ピョコピョコと耳をうごかしながらカイになだれ込むミア。上目遣いで大きく口を空けた姿が無防備でとても可愛い。
「もうアンタは、だからいつも飲みすぎないでって言ってんでしょーが!」
と口では言いながら、カイは苦笑しつつも嬉しそうに、唐揚げをつまんで食べさせてやる。
ミアはお酒を飲むと少し幼児退行して甘えたになる。
そのことを知ってから、毎回カイはちゃっかりと隣を確保している。
一方――
フローレスは夢中でパンを齧り、グラタンを飲み、目をキラキラ輝かせていた。
「ガルドの、ごはん……おいしい……すごい……しあわせ……!」
その無垢な反応に、ガルドは照れくさそうに鼻をかいた。
「そんなに喜ばれると、作った甲斐があるな。サラダも食えよ。」
「それはや。」
デザートが出てくる頃、外のテラスではライオネルとイムラが腰を下ろし、夜風を吸い込みながら煙草に火をつけていた。
「教会から指令を受けてな。しばらくお前らに同行しろと。
……まあ、あの嬢ちゃんがいれば俺の力なんか必要ないかもしれないが。」
ライオネルが煙を吐きながら言うと、イムラは小さく首を振った。
「宿に帰ってから、彼女は軽い熱を出していた。
今までの生活が生活だ。身体にも心にも負担が大きい。
だから、お前の力が必要だ。……よろしく頼む。」
ライオネルは火を指で弾きながら、空を見上げた。
「スタンピードが起きる前に対処しなければ。」
sスはテーブルいっぱいに並んだ料理を見て目を丸くした。
サラダやパンはもちろん、煮込みハンバーグやロティサリーチキン、グラタンといったメインディッシュから、アヒージョや生ハムとチーズの盛り合わせにといったお酒のつまみまで。
ガルドが腕を振るった豪華な料理はどれも湯気を立てて、食欲をそそる香りを放っている。
さすが勇者パーティー、量も桁違いだ。
「イムラ、カイ、フローレスもお疲れ様。
教会じゃ中々食えんだろうから肉料理中心に作ってみた。
いっぱい飯食って体力回復してくれ。」
ガルドがスープを豪快に皿によそい、配っていく。
「ガルドは、レストランを開くべき。」
フローレスが瞳を輝かせてそう言うと、ライオネルがすかさず止める。
「ダメだぞ。俺がガルドの料理にほれ込んだんだから」
ライオネルがニシシと笑う。
「それに体力回復効果抜群なんだ。ガルドの料理は。」
ガルドが料理人なのに勇者パーティにいるのは理由がある。
彼のユニークスキル――「シェフのきまぐれ」。
料理によって、体力回復、魔力回復、状態異常回復など多様な効果を付与できる唯一無二の能力だ。
普段はタンカーとしての役割から戦いの支援、罠の解除、簡単なアイテムの製作など色々と器用にこなすことが出来る。
司祭やヒーラーは強力であるが故に他の戦闘能力に劣ることが多い。単純なダンジョン探索などならまだしも、魔王を倒すためにはそんなお荷物を抱えてはいられない。
ガルドがいるおかげで勇者と戦士、魔術師を入れた高火力のパーティが成立していると言っても過言ではない。
「お腹すいた!!!もう待ちきれないよーーー!!!」
ミアがフォークを握りしめて叫ぶと、ガルドは笑いながら飲み物を用意する。
ミアは慣れた手つきで全員のグラスに飲み物を注いだ。
「それじゃあ、みんな今日はーーー!!!」
「「「「「おつかれーーーーーーーい!!!」」」」」
突然の大声にフローレスはびくっとしながらもみんなに合わせる。
ガチンとジョッキが重なり、グイッとお酒を喉に流し込む大人組。
そのうちミアがカイに絡み始める。
「ねーーーねーーー、そのお酒も一口ーーーー!唐揚げも食べさせてーーー!!!」
ピョコピョコと耳をうごかしながらカイになだれ込むミア。上目遣いで大きく口を空けた姿が無防備でとても可愛い。
「もうアンタは、だからいつも飲みすぎないでって言ってんでしょーが!」
と口では言いながら、カイは苦笑しつつも嬉しそうに、唐揚げをつまんで食べさせてやる。
ミアはお酒を飲むと少し幼児退行して甘えたになる。
そのことを知ってから、毎回カイはちゃっかりと隣を確保している。
一方――
フローレスは夢中でパンを齧り、グラタンを飲み、目をキラキラ輝かせていた。
「ガルドの、ごはん……おいしい……すごい……しあわせ……!」
その無垢な反応に、ガルドは照れくさそうに鼻をかいた。
「そんなに喜ばれると、作った甲斐があるな。サラダも食えよ。」
「それはや。」
デザートが出てくる頃、外のテラスではライオネルとイムラが腰を下ろし、夜風を吸い込みながら煙草に火をつけていた。
「教会から指令を受けてな。しばらくお前らに同行しろと。
……まあ、あの嬢ちゃんがいれば俺の力なんか必要ないかもしれないが。」
ライオネルが煙を吐きながら言うと、イムラは小さく首を振った。
「宿に帰ってから、彼女は軽い熱を出していた。
今までの生活が生活だ。身体にも心にも負担が大きい。
だから、お前の力が必要だ。……よろしく頼む。」
ライオネルは火を指で弾きながら、空を見上げた。
「スタンピードが起きる前に対処しなければ。」
二人の声は夜に溶けていった。
*
翌朝――
フローレスが目を覚ますと、身体に違和感があった。
(……視線が、ちがう。)
手足がすらりと伸びている。
立ち上がると、窓の外の景色がいつもより少し高い位置から見えた。
身長が、五センチほど伸びていたのだ。
これは――
彼女の内に眠る本来の力が、静かに目覚め始めている兆しだった。




