表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
交易路の守護者!~理想の国づくりと貿易で無双したいと思います~  作者: 塩野さち
第二章 交易路の守護者

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

86/171

グラナリア出征

【カイル視点】



『リベルタス歴16年、フェリカ歴144年 8月10日 朝 ゼファーの没後1か月』


 今朝は特別な朝だ。


 いよいよ、グラナリアへ遠征する日。


 俺は珍しくユリアより早く起きる。


 出征に総司令官が遅れては、笑いものにされるだろう。


(ユリア、ちょっと出かけてくるよ)



 夏とはいえ、オーロラハイドの朝は冷える。


 横で寝ているユリアに、夏用の薄い布団をかけ直す。


 ユリアは最近『妃教育』とやらでお疲れの様子だった。



 シルクママからは、文字の読み書き計算を。


 リリーママからは、剣術と馬術を。


 エルミーラママからは、弓を教わっている。


 時折、学校へも通っているようだった。



 黒い軍服を着ていると、背後からモゾモゾと音がする。


「カイル様、行かれるのですね……」


「ユリア、まだ寝ていていいんだぞ?」


 ユリアが背後から抱き着いてきた。


 彼女は、そのまま俺の耳元に口を寄せる。


「どうか、ご無事で」


「分かった」


 短いやり取りだが、心にしみるものがあった。


 俺からも抱きしめたかったが、ここで振り返ると、グラナリア出征への決意が揺らぐような気がした。


「……行ってくる」


 それだけ言い残すと、部屋を出た。


 何かを感じたのか、ユリアはそれ以上追ってこなかった。



 部屋の外では、弟のレオンと妹のエリュアが待っていた。


「お兄ちゃん、ついに行くんだね」


「カイルお兄ちゃん、ま、負けたら許さないんだからねっ!」


 弟と妹は、普段着にきがえて、ずっと待っていたようだ。


「レオン、俺に何かあったら、お前が後を継ぐんだぞ……」


 俺が(レオン)の肩に手を伸ばそうとすると、『パシン』とレオンが手を合わせてきた。


 そのまま二人でガッチリと手を握る。


 下からエリュアも手を伸ばしてきて、三人は自然と手を重ねる。



 城の出入り口には、すでに指揮官たちが集まっていた。



 今回の行軍は、列が長くなるため、前衛・中衛・後衛とそれぞれ指揮官を置いた。


 前衛は宰相でもあるバートルが指揮する。


 中衛は本陣も兼ねており、指揮は俺ことカイルが執る。


 後衛は軍務大臣のヒューゴが指揮することになった。



 歩兵隊に守られるように、ロイドの指揮する重装騎兵が進む。


 さらにその内側に、シドが指揮をとる補給隊が置かれる。



 オーロラハイドの守備は、俺のママたちと、弟のレオンが担当する事になった。


 他にはドワーフのトーリン王の指揮する工兵隊と、ゴブリンのグリーングラス王の率いる斥候隊がいる。


 俺は、広間に集まった、総勢1万の軍勢を前に叫ぶように声をあげた。



「オヤジは、いや、ゼファー公王はグラナリアに討たれた! この中には親父と酒を飲んだ者もいるだろう! グラナリア公王ヴィレムの首をとりたい! 協力してくれ!」


 シドがいつの間にか、俺の横に立っていた。


 俺の右手を掴むと、黙って頭の上につきだす。


 その瞬間、軍勢から、ワッと声が上がった。


「ゼファー様の仇を!」

「俺はゼファー様と飲んだ事があるんだ!」

「カイル様のために!」

「リベルタス皇帝バンザイ!」


 俺たちリベルタス軍は、朝の涼しい時間に、オーロラハイドを進発する。


 これから昼にかけて暑くなりそうな晴天であった。


「とても面白い」★五つか四つを押してね!

「普通かなぁ?」★三つを押してね!

「あまりかな?」★二つか一つを押してね!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ