表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
交易路の守護者!~理想の国づくりと貿易で無双したいと思います~  作者: 塩野さち
第五章 フェリカ王国動乱

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

170/171

千客万来

【レオン教皇17歳視点】


『リベルタス歴18年、フェリカ歴146年 11月21日 昼』


 僕は、いつも通り往診を終えて家へ帰る途中だった。

 不意に、前方から交易騎兵隊のアスターさんが、息を切らせてこちらへ駆けてくるのが見えた。たしか、ファニルさんと一緒にリュミャラ王国へ向かったはずだ。彼がこんなに慌てているなんて、何かあったのだろうか。


「レオン教皇猊下! リュミャラ王国の移住希望者を、お連れいたしました!」


 アスターさんの隣では、ファニルちゃんが嬉しそうに尻尾を振っている。


「ニャニャ~ッ♪ レオン~♪ これからお世話になるニャ~♪ 一生懸命働くニャ~♪」


「わあっ! こんなにたくさん!」


 アスターさんたちの後ろに目をやると、そこにはおよそ三千人近くの猫人族の人々が、期待と不安の入り混じった表情でこちらを見ていた。


 その時、今度はシドさんが、いつもの黒いマントを翻し、どこからともなく静かに現れた。彼は滅多に走ったりはしない。だが、いまは早歩きだ。彼にしては急いでいる。


「……レオン、グラナリアのルーロフ将軍が、寄贈の小麦を持ってきているようだ。先ぶれの騎兵が、先ほどリバーフォード村に到着した……」


「ええええ~っ! 小麦の寄贈? いいの!?」


「……フッ、小麦があれば、貸し借りはナシだな」


 シドさんが口の端を吊り上げて笑う。その表情は、まるで何か悪巧みでもしているかのようで、僕には悪役にしか見えない。だけど、これがいつものシドさんなのだ。感情を表に出すだけ、まだ優しい方なのかもしれない。彼がその気になれば、まったくのポーカーフェイスを貫き通せるのだから。


 と、そこに、今度はファリーナちゃんが息を切らせて元気に走ってきた。


「レオン~っ! 大変じゃ! また南の方からチャリオットが来ておるぞ~っ!」


「えっ、えっ、ええ~っ! きっとガウェイン将軍だよね~っ? こんなにいっぱいお客さん、家には入らないよ~っ!」


 僕が悲鳴に近い声を上げると、シドさんが冷静に提案した。


「……ならば、オーロラハイドのヤキトリスタイルはどうだ? 広間で火をおこして、肉を焼こう……」


「うん、それがいいね! 手のあいてる人で、テーブルとかイスとか持ってきて! 僕はお客さんをお迎えしないといけないから!」


 秋晴れの空のもと、キュアリエ騎士団の兵士さんや村の人たちが協力して、広場に即席の宴会場の準備を始めた。炭火をおこし、近くの農家から分けてもらった鶏をさばいて串に刺していく。ヤキトリ文化は、ここリバーフォード村にもしっかりと伝わっているようで、村の人たちも手際よく手伝ってくれた。大きな樽で運ばれてきたエールやワインも並べられ、まるでお祭りの前夜のような賑やかな雰囲気になっていく。


「みんな~! お肉を焼いたりお酒を飲んだりするのは、お客さんが来てからだからね~!」


「「「あっはははははは!」」」


 僕の少し間の抜けた声に、準備をしていたみんなから、どっと笑い声が起こった。


「とても面白い」★五つか四つを押してね!

「普通かなぁ?」★三つを押してね!

「あまりかな?」★二つか一つを押してね!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ