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交易路の守護者!~理想の国づくりと貿易で無双したいと思います~  作者: 塩野さち
第三章 熱砂の姫君

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熱砂の姫君再び

【レオンくん15歳視点】


『リヴァンティア歴208年、リベルタス歴17年、8月29日 昼前』


 僕たちは岩石と砂の海を越えて、リヴァンティアまでやってきた。


 サラーブ川と街が見えると、ラクダたちも元気が出たようで、足が速くなるのは前回同様だった。


 途中、メルヴでは狐のハッサンさんが相変わらず歓待してくれるし、娘のサフィーナちゃんはグイグイと胸を押し付けてくるし、躱すのに一苦労だった。


 ロヴァニア伯にも面会しようとしたけど、相変わらず衛兵さんが僕を皇帝の弟(レオン)として認識してくれず、塩対応であった。



「セリウスくん、リヴァンティアが見えてきたよ」


「そうですね……ついたら水を補給したいですね……」


 道中は前回とあまり変わらなかった。経験済みとは言え、砂漠の旅はやはり(こた)える。


(メルヴのラクダ騎兵のみなさんにはお世話になりっぱなしだなぁ……)


 僕が皇帝の弟のせいか、メルヴでつけてもらったラクダ騎兵たちは、精鋭なのだろう。規律が良いように思える。


(うーん、なんと言うか、強そうなカンジ? 盗みとか乱暴もしないし)


 リヴァンティアの街へ入るために並び、順番が来ると荷物を検査されて、税金プラス心づけを渡す。


 受け取った役人たちはホクホク顔である。


(リヴァンティアのこういうところ、良くないと思うんだけどなぁ。オーロラハイドで役人がこれやったら、皇帝(お兄ちゃん)に処刑されちゃうよ……)


「赤毛のお前は人相書きが出回っているぞ。たしかオーロラハイドというところのレオンとかいう小僧だな? このあとすぐ宮殿へ行くように!」


(なんだろう? ぼくなんかしたっけ?)


 よくは分からないが、水屋さんから水を買って飲むと、メルヴで借りている倉庫にショートパスタとラクダたちを預ける。それからセリウスくんと数人の護衛で宮殿へ向かった。


 砂岩でできた街並みは相変わらず暑い。昼ということもあって、あまり活動している人はいなかった。この時間帯はバザールも休みのはずなので、みな日陰や家の中でゆっくりしているはずだ。


 僕とセリウスくんは、なるべく日陰を歩きながら、宮殿の前につく。


 そこには、腕を組み不機嫌そうな熱砂の姫君(ファリーナちゃん)が居た。


「遅い! 遅いのじゃ! (わらわ)を待たせてはならぬのじゃ!」


 ファリーナちゃんは口をとがらせて頬をふくらませている。


「あはは、ごめんよファリーナちゃん、オーロラハイドから四十九日もかかるんだ。許してくれよ……」


「『ちゃん』とはなんじゃ? 『ちゃん』とは? 『さん』じゃろうが?」


 ファリーナちゃんは白目多めでこちらを睨む。


(あっ、いけない! つい僕の中ではファリーナちゃんだから、忘れていた!)


「ごめんよ、ファリーナさん。ショートパスタをいろいろ持ってきたからさ。これから一緒に食べようよ!」


 ファリーナちゃんの顔がパアアアッと明るくなる。胸の前で両手を握り、その場で飛び跳ねる。暑いのに元気な女の子だ。


「それは(まこと)かえ? 今すぐ調理させるのじゃ! ほれ、行くぞ!」


 彼女は僕の手を引くと、宮殿の中へ駆け出す。鼻歌まじりで楽しそうだ。後ろから、セリウスくんが慌ててついてきた。


 ちょうどサラーブ川から、涼し気な風が吹いてくる。天頂へ登ろうとしている太陽は、まるで僕たちに微笑んでいるかのような気がした。


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