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交易路の守護者!~理想の国づくりと貿易で無双したいと思います~  作者: 塩野さち
第三章 熱砂の姫君

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熱砂の姫君来る!

【レオンくん15歳視点】



『リベルタス歴17年、フェリカ歴136年、5月22日 午前8時頃』



 僕は広間の使用許可を取るために、現地にある役人のテントへ入った。


 ここでお金を払うと、広間の利用ができる。


 価格はそんなに高くない。


 役人はいろいろな客に応対するため忙しそうだ。


 僕の番が来ると、昨日と同じように自分の名前と出身地を言い、ペンネの実演販売をしたいと告げた。


「お前がオーロラハイドのレオンか。それでペンネを売りたいと……通りにある一番広い場所を使え!」


「えっ、でもそんないい場所使っても良いのですか? 昨日はもっと端のほうでした」


 役人は周囲を見て、こちらに手招きする。


 僕が近づくと、役人も顔を寄せてきた。


(ナイショの話でもあるのかな?)


「ここだけの話だが、昼前に熱砂の姫君がお前のペンネを食べに来る。実演販売するならその時間にしろ」


 僕は黙ってうなずくと、広間の使用料を支払う。


 少し多めに渡すと、役人はニンマリと懐へ入れた。


(う~ん、リヴァンティアでは役人の規律が乱れているかな? オーロラハイドだと、ちゃんとお釣りをくれるのにね!)


 心の中で故郷の自慢をしつつ、リヴァンティアの役人の不正を嘆く。


 テントを出て、そのまま指定の場所へ向かう。


 僕が場所取りを終えると、セリウスくんが燃料やら水やらを運んできた。


 燃料はラクダのフンを乾燥させたものだ。


 リヴァンティアではよく使われる燃料らしい。


 それから二人で、場所を確保しつつ、交互に材料を運んだ。


 肝心のペンネは『交易都市メルヴ』の名義で借りている倉庫に置いてある。


 メルヴの兵もいるので、安心安全だ。


 メルヴの兵も何人か手伝ってくれた。



 それから昼を待つ。


 砂漠の気温はどんどん上がっていく。


 いつでもペンネを作れるように、火種を絶やさずに見張っているのはなかなか苦労した。


 昼になってしまうと、暑すぎるのでバザールは休憩になる。


 そして、また夕方近くに再開される。



 セリウスくんが買ってきたソースの材料は、ニンニクとオリーブオイルと唐辛子だった。


 セリウスくんのほうも、包丁を研ぎながら待機していた。



 やがて昼前になり、暑くなるとバザールも空いてくる。


 そろそろ休憩の時間だ。



 そんな中、宮殿の兵と思われる人たちが、僕の販売スペースを取り囲んだ。


 兵たちは頭に白い布を巻いていた。


 おそらく暑さ対策だろう。


 皆が白い服を着ており、皮鎧にシミター(三日月のように反りのある剣)を腰につけている。


(明らかに重要人物の護衛だろうな)


 その兵の中に、赤と白のサリーを着て、口元を赤い布で隠した少女がいた。


 少女は護衛の兵士を何人か連れて、ペンネを茹でる鍋の前にくる。


「妾はペンネを所望するっ!」


 間違いない、今朝聞いたファリーナちゃんの声だ!


 普通の人には見えないようだけど、青白い権能のオーラもある。


「わかりましたっ! このオーロラハイドのレオンの実演販売、とくとご覧あれっ!」


 僕は鍋の火力を上げるために燃料を足した。


(たのむよっ! ハッサンさんから教わった実演販売!)



 サリーの下からのぞくファリーナちゃんの目が、好奇心で輝いていた。


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