74.ボヤ
発見が早く、ボヤで済んだが、鑑識がチエに報告した。
「警視。これ、放火かも。タバコ店の前にタバコの吸い殻。そんで火だねらしき欠片。」
チエの顔が歪んだ。
========== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 ================
戸部(神代)チエ・・・京都府警警視。東山署勤務だが、京都市各所に出没する。戸部は亡き母の旧姓、詰まり、通称。
神代宗佑警視正・・・京都府警東山署署長。チエの父。
船越栄二・・・東山署副署長。チエを「お嬢」と呼んでいる。
茂原太助・・・東山署生活安全課警部補。
小雪(嵐山小雪)・・・チエの小学校同級生。舞妓を経て、芸者をしている。
白鳥純一郎・・・チエの許嫁。京都府警勤務の巡査。実は、大前田警視正の息子。母の旧姓を名乗っている。
弓矢哲夫・・・京都府警捜査四課刑事。警部。ひげ面で有名。
中町巡査・・・茂原の交代要員だったが、そのまま勤務している巡査。
楠田巡査・・・チエの相棒。
大前田警視正・・・京都府警本部長。白鳥の父。
船越紅葉・・・副署長の娘。巡査。結婚していたが、離婚して復職。
遊佐圭祐・・・チエの幼なじみ。大学同級生。CATV『きょうとのテレビ』課長。
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午後1時。東山署。会議室。
パトロール中の中町から電話が入った。
「西ノ京円町のタバコ店から出火。今、警視と楠田巡査が消火を手伝っています。」
「了解。進捗を報せてくれ。」と、船越が対応した。
「やっぱり、火事が多いな。遊佐君とこのテレビでも特集してたわ、栄ちゃん。」
「あの辺は、古い民家が多いから類焼が心配ですね。」
午後2時。西ノ京円町。
発見が早く、ボヤで済んだが、鑑識がチエに報告した。
「警視。これ、放火かも。タバコ店の前にタバコの吸い殻。そんで火だねらしき欠片。」
チエの顔が歪んだ。
応援に到着した茂原が報告した。
「お嬢。経営者のご婦人は、近所の法事に出掛けていました。」
「すんません。私がうっかり・・・。」泣く老婦人を楠田が慰めていた。
「どれくらいの時間です?」
「30分位。娘に呼ばれて、かぎかけんと・・・。」
午後3時。東山署。会議室。
「極めて悪質、計画的やな。」と署長が言った。
紅葉が電話をチエに回した。「弓矢さんからです。」
「警視殿。そこらの土地、那珂国人が買い占めに回っているらしい。昔、地上げ屋やってた奴からのタレコミです。よっぽど腹照ってるんでしょうね。車両ナンバー言って来ました。今、手配しました。番号は・・・。」
「ヤクザも余所モンより、警察と組んだ方がマシか。時代やな。チエ、見つかり次第ふん縛れ。」
署長の檄に応え、チエは浅川運輸に電話した。
「東山署の戸部警視です。協力お願いします。」
チエは、弓矢から聞いたナンバーをオペレーターに伝えた。
「よっしゃ、いくで。」
茂原、中町、楠田が続いた。
紅葉が続こうとするので船越が「ウチのオペレーターは誰がやるん?」と言って、止めた。
午後4時。ある、貸しビル、
那珂国人が入り込むので、他のテナントは皆、引っ越したビルだ。
インターホンを押して、浅川運輸の制服を着た楠田が言った。
「どうぞ。」
弓矢を先頭に、警官達は、雪崩込んだ。
チエは、『暴れん坊小町』の名前通り、あっと言う間にマフィアの連中の拳銃を叩き落した。
午後6時。東山署。取り調べ室。
実行犯の3人のみチエが取り調べし、組織の他の者は、府警に移送された。
嗚咽が止み、出てきたチエと入れ替わりに、茂原と中町がオムツを持って入った。
白鳥は、小雪が持って来た、たこ焼きをチエに渡した。
「いいの?クリスマス。ウチで。」
「どうせ、嫁に行くんやから、花嫁修業やな。」
女性警察官達が、そっと様子を伺っている。
午後8時。神代家。
「最近な。那珂国語のスラングも覚えてんや。」
「で、イチコロか。」
「3人やから、サンコロやな。」
今夜も仲の良い親子だった。
―完―




