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70.紅葉

「今?よし、分かった。」

「比叡山延暦寺で、紅葉の木を許可無く切っている外国人がいるらしい。ばらさん、楠田、町ヤン、いくで。」と言って、チエは跳びだした。

「栄ちゃん、所轄に電話や。」と神代所長は言った。


 ========== この物語はあくまでもフィクションです =========

 ============== 主な登場人物 ================

 戸部(神代)チエ・・・京都府警警視。東山署勤務だが、京都市各所に出没する。戸部は亡き母の旧姓、詰まり、通称。

 神代宗佑警視正・・・京都府警東山署署長。チエの父。

 船越栄二・・・東山署副署長。チエを「お嬢」と呼んでいる。

 茂原太助・・・東山署生活安全課警部補。

 小雪(嵐山小雪)・・・チエの小学校同級生。舞妓を経て、芸者をしている。

 白鳥純一郎・・・チエの許嫁。京都府警勤務の巡査。実は、大前田警視正の息子。母の旧姓を名乗っている。


 中町巡査・・・茂原の交代要員だったが、そのまま勤務している巡査。

 楠田巡査・・・チエの相棒。

 畑山紅葉もみじ・・・副署長の娘。巡査。亡くなった夫の姓のまま、復職。

 弓矢哲夫・・・京都府警捜査四課刑事。警部。ひげ面で有名。


 =====================================


 午後1時。東山署。会議室。

 久しぶりにGeikoネットワークからのホットラインが鳴った。

 紅葉が受話器を取り、チエに取り次いだ。

「今?よし、分かった。」

「比叡山延暦寺で、紅葉の木を許可無く切っている外国人がいるらしい。ばらさん、楠田、町ヤン、いくで。」と言って、チエは跳びだした。

「栄ちゃん、所轄に電話や。」と神代所長は言った。


 午後2時。比叡山延暦寺。

 何台ものトラックに切った紅葉の木を乗せている外国人達。

 中町が、運輸局に車両照会をしている。

 チエは、いきなり、トラック全部のタイヤを撃った。

 リーダーらしき男が英語で何か言った。


 "No rights for fake truck drivers" (偽物トラックのドライバーに権利は認めない)


 午後3時。東山署。取り調べ室。

「呼ばれてました?」と言って入って来たのは弓矢だった。

「どのガイジンも、頼まれただけだ。自然に自生した木に所有者はいない、って教えられたらしい。弓矢さん、これ。」

 チエが出した名刺を見て、「成程。黒幕は反社・半グレ・那珂国マフイアのオールスターか。この反社は、新京極で騒ぎ起こした組の系列か。了解。調べます、警視殿。」と、弓矢は、ベソかいてる外国人達を尻目に、跳びだした。


 午後5時。山科区。矢追組事務所。

「あーきのゆーひーに」

 どこからか、歌声が聞こえる。

 出てきた反社の連中をチエは「パン。パン。」と叫びながら素手で倒して行く。

 中にいた半グレ、投信買います社の連中は、裏口から逃げようとして、『熊湯用のケージ』に入ってしまった。

 後から来た、チャイナ・マフィアの連中が機関銃をぶっ放した。

 中町は、教えられた通り、マフィアの自動車のタイヤを撃ち抜いた。

 自動車に戻ろうとした数人が、もんどり打って倒れた。

 手製の『まきびし』が転がっていたからだ。

 その『まきびし』は、中町が撃った直後、楠田と紅葉と白鳥が蒔いたものだ。

 マフイアがヌンチャクを出した時、チエは既に反社30人を倒していた。

 マフイアと闘い、ヌンチャクを奪ったチエは「アッチー!!:」と叫びながら、マフイア15人を倒した。

 チエは、マフイアに向かって言った。

 "Dusk comes early in autumn. Remember that." (秋の夕暮れは早い。よく覚えておけ。)


 午後6時半。東山署。取り調べ室。

 嗚咽が止むと、チエが出てきて、中町が取り調べ室に入って行った。

「チエちゃん、弓矢さんから後で引き取りに行きます、って電話あったわ。」

「ありがとう、小雪ちゃん。今夜、お座敷ないんやったら、ウチに泊まりにけえへん?」

「お邪魔虫やから、遠慮しとくわ。あまえたのチエちゃん。」

「おおきに。」


 午後9時。神代家。

 一緒に入浴しながら、神代は言った。

「ガイジンにチエ付けたんは、半グレらしい。あの紅葉は、麻薬の実験用やて?」

「紅葉の色は決まってんねん。アホや。」

「アホやな。」

 2人の親子は、チエが小学生の時のままである。


 ―完―








チエは、いきなり、トラック全部のタイヤを撃った。

リーダーらしき男が英語で何か言った。


"No rights for fake truck drivers" (偽物トラックのドライバーに権利は認めない)


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