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67.痴漢アカン

バス停でバスが止まり、慌てて降りて走る男。

その男を、女性が追い掛ける。「痴漢よー!!」

そこへ、チエの乗るミニパトが通りかかった。

男は、縦横無尽に走ったが、チエは、すぐに捕まえた。



 

 ========== この物語はあくまでもフィクションです =========

 ============== 主な登場人物 ================

 戸部(神代)チエ・・・京都府警警視。東山署勤務だが、京都市各所に出没する。戸部は亡き母の旧姓、詰まり、通称。

 神代宗佑警視正・・・京都府警東山署署長。チエの父。

 船越栄二・・・東山署副署長。チエを「お嬢」と呼んでいる。

 茂原太助・・・東山署生活安全課警部補。


 中町巡査・・・茂原の交代要員だったが、そのまま勤務している巡査。

 楠田巡査・・・チエの相棒。

 畑山紅葉もみじ・・・副署長の娘。巡査。亡くなった夫の姓のまま、復職。


 =====================================


 午前11時。河原町丸太町付近。

 バス停でバスが止まり、慌てて降りて走る男。

 その男を、女性が追い掛ける。「痴漢よー!!」

 そこへ、チエの乗るミニパトが通りかかった。

 男は、縦横無尽に走ったが、チエは、すぐに捕まえた。


 午後1時。東山署。取調室外。

「ばかもーん!!」

 チエは、すぐに出てきた。

「行くで、楠田。」

「先輩、取調は?」

「船越のオッチャンに任せた。」

 そこに、茂原が帰って来た。

「お嬢、山科南郵便局で強盗です。」

「っしゃ。行くで。」


 午後2時。取調室。

 電話を切って、船越が向き直った。

「余罪、あるらしいな。儲かるの?ヤラセの撮影って。まあ、後は府警でゆっくりしいや。あそこはね、恐い刑事おらんから。正直に言いや。」

 2人は、頬の『紅葉』を押えながら、頷いた。


 午後3時。山科南郵便局。

 チエは、入って行くと、強盗にまっすぐ向かった。

 強盗は、拳銃を持っている。

 チエは、強引に拳銃ごと、強盗の手を捻った。

「こわないんか?」と、茂原に手錠をかけられた男が言った。

「モデルガンが恐くて警察官が勤まるか!黙秘権告知は省略!!」


 午後5時。

 人家の木を伐ろうとした外国人を発見したチエは、ミニパトを降り、かかと落としをした。

 “Would you like to test its sharpness with your legs?” (切れ味をあなたの脚でためそうか?)


 楠田が警察無線で連絡をした。

 応援は、すぐにやってきた。


 午後7時半。神代家。

 食事をしながら眠ってしまったチエを神代はベッドに運んだ。

「誰が付けたか、『暴れん坊小町』。今日もよう暴れたな。」

 神代は、来年度からの修行のことは、言いそびれていた。

 でも、このままでいいかも知れない、と思った。


 そっとドアを閉め、神代はひとり食事をした。

 来年の今頃は、いつもひとりの食事だ。

 どの道、チエが嫁に行ったら、ひとりの食事だ。

 そう自分自身に言い聞かせた。


 ―完―








「ばかもーん!!」

チエは、すぐに出てきた。

「行くで、楠田。」

「先輩、取調は?」

「船越のオッチャンに任せた。」

そこに、茂原が帰って来た。

「お嬢、山科南郵便局で強盗です。」

「っしゃ。行くで。」


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