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60.甘い誘惑

「レンタカーで誘拐ってことは、どこかで乗り換える予定ですね。非常線やな。」と、副署長の船越は言った。

署長は、直接チエのスマホに電話をした。


 ========== この物語はあくまでもフィクションです =========

 ============== 主な登場人物 ================

 戸部(神代)チエ・・・京都府警警視。東山署勤務だが、京都市各所に出没する。戸部は亡き母の旧姓、詰まり、通称。

 神代宗佑警視正・・・京都府警東山署署長。チエの父。

 茂原太助・・・東山署生活安全課警部補。

 小雪(嵐山小雪)・・・チエの小学校同級生。舞妓を経て、芸者をしている。


 中町巡査・・・茂原の交代要員だったが、そのまま勤務している巡査。


 白鳥純一郎・・・チエの許嫁。京都府警勤務の巡査。実は、大前田警視正の息子。母の旧姓を名乗っている。


 島代子しまたいこ・・・有限会社芸者ネットワーク代表。元芸者。元プログラマー。小雪の先輩。芸者の時の芸名は『小豆こまめ』。


 小梅・・・小雪の仲間の芸者。

 小菊・・・小雪の仲間の芸者。

 畑山紅葉もみじ・・・副署長の娘。巡査。亡くなった夫の姓のまま、復職。

 遊佐圭祐・・・チエの幼なじみ。大学同級生。CATV『きょうとのテレビ』の広報課課長。



 =====================================


 ※葛餅くずもちとは、葛粉を主原料とした和菓子で、透明感のあるプルプルとした食感が特徴です。一方、関東地方で「くず餅」と呼ばれるものは、小麦粉を乳酸菌で発酵させて作られる和菓子で、白っぽい色と独特の食感が特徴です。関西では「葛餅」として広く知られ、葛粉を主原料とした和菓子を指します。葛餅くずもちは、わらび餅や寒天など、他の和菓子と材料や製法が異なります。



 午後1時。東山署。会議室。

 電話を終えた署長は皆に言った。

「みんな、芸者ネットワークの情報や。祇園の甘み処『お得やんか』さんの前で誘拐事件発生、被害者は女性のお客2人、被疑者は日本人男性。東西レンタカーでやってきて、道案内を尋ねた。被害者の1人が同乗を嫌がったので、男は後部座席に2人を乗せて逃走。水打ちしていた従業員が通報。レンタカーのナンバーも報せてきた。」

「レンタカーで誘拐ってことは、どこかで乗り換える予定ですね。非常線やな。」と、副署長の船越は言った。

 署長は、直接チエのスマホに電話をした。

「今、どこや。」手短に事情を話すと、「京都文化博物館過ぎたとこ。先周りするわ。」と、応えた。

「え?どこに?」「ちゃん。今な。『翠泉抹茶寮』言う店がナンバーワンやねん。クマとか兎の抹茶ラテとかパフェとか有名やねん。」

「ひょっとしたら、楠田とそこに向かう途中やったんか?仕事中やぞ、仕事優先せんかい!!」

「そこ、行列出来る店でな、女子しか入られへんねん。代子さんは、途中まで仲良う話してた、って言うたんやろ?」「ああ。」

「着いたわ。」

 電話は切れた。

「お嬢の山勘ですか。しかし、甘味処で男子禁制、って時代なんか。」

「そうどす。遅れてるなあ。」

 お茶をドンと置いて、女性警察官は出て行った。副署長の娘、紅葉だ。

「すんまへん。」船越は、ドアに向かって謝った。

 午後1時間半。烏丸御池。『翠泉抹茶寮』。

 表には、200メートル以上行列が出来ている。

 楠田が、行列の先頭から、確認しながら進んで行く。

 150メートル先に、問題の女子2人がいた。甘み処『お得やんか』から出てきた女性2人だ。

 楠田は、茂原とチエに合図した。

 午後4時半。東山署。取り調べ室。

「誘拐する積もりは無かったんですけど。」と、被疑者の真田宏明は言った。

「そんなに食べたかったん?」「『お得やんか』さんのわらび餅・くず餅は食べたことはあるんですけど。」

「わざわざ東京から取材ですか。でも、強引なことしたらあきませんな。あの2人にも確認・証言は取れたし、遊佐君が後見人になる、と言うてるし。書類送検でいいですか。ちゃ・・・署長。」と、チエは神代署長に尋ねた。

「男子禁制にしたのは、去年の夏らしいですわ。性犯罪についての法律の改正があった後。そういう情報は全国ネットでは流さないんですな。」と、横から茂原がアシストした。傍らにオムツを置いて。

 午後5時。取り調べ室外。

 小雪、小梅、小菊、紅葉、楠田、白鳥、中町が仲良く、『特別持ち帰り』のパフェを食べている。

「そら、あの子らもびっくりするわなあ。替わりに取材してくれ、言われても。」と、小梅が言い、小菊が頷いた。

「カメラ、どうするんですか?隠しカメラ?」と中町が尋ねると、「スマホで撮って、後でコピーさせてくれって言ったらしいですよ。それでも違法ですけどね。店の許可なしじゃ。」と白鳥が応えた。

「それにしても、チエちゃん、なんでそこに向かってたん?」と小雪が尋ねると、「行列並びに・・・。」と言って、楠田は首を竦めた。

 一拍おいて皆が笑っていると、チエと茂原、被疑者の真田が出てきた。

 茂原と真田は、目を丸くした。

 ―完―


 ※烏丸御池の「茶寮翠泉」と祇園四条の「ぎおん徳屋」さんは、実際の、有名なお店ですが、慮って、変名にさせて頂きました。

【ぎおん徳屋】

 ・ジャンル甘味処、和菓子、かき氷

 ・予約不可。

 ・営業時間12:00 - 18:00(売り切れ次第終了)

【茶寮 翠泉 (さりょう すいせん)】

 ・予約不可。

 □残念ながら、2024年12月22日(日)で「茶寮翠泉 烏丸御池店」を閉店しています。

 尚、作中にある「男子禁制」は架空の設定です。クライングフリーマン



「そら、あの子らもびっくりするわなあ。替わりに取材してくれ、言われても。」と、小梅が言い、小菊が頷いた。

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