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44.正義の味方

チエは、楠田と警邏で市内をパトロールしていた。

チエのスマホが鳴動した。

「お嬢。今、どこです?」「もうすぐ・・・何かあったん?ばらさん。」


 ========== この物語はあくまでもフィクションです =========

 ============== 主な登場人物 ================

 戸部(神代)チエ・・・京都府警警視。東山署勤務だが、京都市各所に出没する。戸部は亡き母の旧姓、詰まり、通称。

 白鳥純一郎・・・チエの許嫁。京都府警勤務の巡査。実は、大前田警視正の息子。母の旧姓を名乗っている。

 小雪(嵐山小雪)・・・チエの小学校同級生。舞妓を経て、芸者をしている。

 神代宗佑警視正・・・京都府警東山署署長。チエの父。

 茂原太助・・・東山署生活安全課警部補。

 船越栄二・・・東山署副署長。チエを「お嬢」と呼んでいる。

 大前田弘警視正・・・京都府警警視正。大きな事件では本部長を勤める。

 中町圭祐・・・下鴨署からの転勤。巡査部長。

 楠田幸子・・・チエの相棒の巡査。

 灘康夫・・・京都府知事。元作家。「康夫ちゃん」のニックネームがある。

 金平桂子・・・京都市市長。


 =====================================


 午後4時。ミニパトの中。

 チエは、楠田と警邏で市内をパトロールしていた。

 チエのスマホが鳴動した。

「お嬢。今、どこです?」「もうすぐ・・・何かあったん?ばらさん。」

「今、芸者ネットワークから連絡が来て、『不正請求詐欺』らしい電話がかかってきた高齢者が困っているらしい。」

「場所は?」「高速入り口のガソリンスタンドの隣の乾物屋さん、山崎さん。」

「了解。」

 午後4時半。山崎家。

 山崎の『ガラホ』に電話がかかってきた。

 山崎は、一度ショートメールにあった電話に電話したことがあり、自動音声や生の声で『脅し』を受けていた。

 チエは、受話器を預かって、応答した。

 オレオレ詐欺同様、『警察官』役が出てきた。

「お電話変わりました。蓮沼と申します。」

「蓮沼君は、どこの署の、どの課の所属?」

「東山署です。生活安全課です。」

「ウチには、その名字のもんはいない。本名を言いなさい。」

 いきなり、電話が切れた。

「まず、不審に思ったら、相手が自分の名前を知っているか確認してください。それと、初めての電話かどうかを着信履歴で確認してください。」

「電話中なら、番号が分かりません。」

「一旦、切ればいいんです。相手がカモだと思い込んだら、もう一度かかってきます。最初メールの電話にかけたことで、相手は『無効』ではない電話として登録します。切り抜けた積もりでも、別の番号からかかってきます。迷惑電話として『着信拒否』の登録をしても、相手の『カモ』登録は消せません。後のことは、このチラシを読んで下さい。不安なら、赤い丸がついている『本物の警察の番号』に電話して下さい。」

「分かりました。」「仲のいいお友達は?」「いません。」

「電話出来る親族・親類は?」「皆、遠いので。」「電話は距離、関係ないですよ。かけにくい親族・親類なら、この赤い丸の番号に。24時間対応はできないけど、味方は、います。」

 午後5時半。

 ミニパトから下りて、チエは署長である神代に報告した。

「お前の進言が通ったぞ。府庁の協力で、府民に『対策アイデアコンテスト』をすることになった。詳細は後日発表。明日、記者会見をやるそうだ。本部長が指揮を執る。」

「やるやん、康夫ちゃん。」

「こら。気安く呼ぶな。市長も乗り気や。お前は、味方が多いな。」

「うん。正義の味方やもん。」

「自分で言うか?」

 副署長の船越も、茂原も中町も小雪も、そして、白鳥も笑った。

 チエは、納得した。チエがいない間に、小雪が頭を下げて回ったのだ。

 確かに、味方が多い、チエだった。

 -完―



「電話出来る親族・親類は?」「皆、遠いので。」「電話は距離、関係ないですよ。かけにくい親族・親類なら、この赤い丸の番号に。24時間対応はできないけど、味方は、います。」

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