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41.赤ベコの会

という訳で、東山署遺失物保管庫はボヤで済みました。年末に、警視庁遺失物センターに当署で保管していた遺失物は転送したところでした。

 ========== この物語はあくまでもフィクションです =========

 ============== 主な登場人物 ================

 戸部(神代)チエ・・・京都府警警視。東山署勤務だが、京都市各所に出没する。戸部は亡き母の旧姓、詰まり、通称。

 白鳥純一郎・・・チエの許嫁。京都府警勤務の巡査。実は、大前田警視正の息子。母の旧姓を名乗っている。

 小雪(嵐山小雪)・・・チエの小学校同級生。舞妓を経て、芸者をしている。

 神代宗佑警視正・・・京都府警東山署署長。チエの父。

 茂原太助・・・東山署生活安全課警部補。

 小雪(嵐山小雪)・・・チエの小学校同級生。舞妓を経て、芸者をしている。

 船越栄二・・・東山署副署長。チエを「お嬢」と呼んでいる。

 大前田弘警視正・・・京都府警警視正。大きな事件では本部長を勤める。

 中町圭祐・・・下鴨署からの転勤。巡査部長。

 楠田幸子・・・チエの相棒の巡査。

 小鹿・・・小雪の仲間の芸者。

 小夏・・・小雪の仲間の芸者。

 小梅・・・小雪の仲間の芸者。

 小菊・・・小雪の仲間の芸者。

 灘康夫・・・京都府知事。元作家。「康夫ちゃん」のニックネームがある。

 金平桂子・・・京都市市長。

 島代子たいこ・・・芸者ネットワーク社長。

 貴志塔子・・・代子がプログラマー時代、組んでいた相棒。ネットワークシステムは、2人の合作だ。

 西川稲子・・・代子と塔子の、プログラマー修行時代の仲間。

 橘吉右衛門・・・府会議員。芸者ネットワークのスポンサーの1人。


 =====================================

 ==========「芸者ネットワーク9」から続く==============

 ※警察用語で「人定じんてい」とは、まちがいなくその人であるかどうかを確かめることを意味します


 翌日。午前11時。京都府立文化芸術会館。大ホール。

 府警本部長の大前田は、記者会見を開いていた。

「という訳で、東山署遺失物保管庫はボヤで済みました。年末に、警視庁遺失物センターに当署で保管していた遺失物は転送したところでした。問題の遺失物は、発見者が『遺骨』が気持ち悪い、と届けたもので、円山公園で拾得したものでした。飛び散った破片を調査した所、入っていたケースや箱は本物でしたが、遺骨と思われたモノは、レプリカ、つまり、偽物でした。」

「届け出た人が、悪戯を仕掛けたんですか?」「届出人は、善意の第三者です。」

 大前田は、この記者が嫌いだった。何かと粘る癖がある。そのくせ、記事は短い。

「何故、そう思われるんですか?犯人の『一味』かも知れないじゃありませんか?」

「名前は、個人情報なので、申し上げられません。だが、『人定じんてい』はしてあります。善意の第三者です。」

「本部長。他の質問、いいでしょうか?」「なんでしょう?」

 別の記者の質問で救われた、と大前田は思った。

「四条烏丸の『立てこもり事件』、爆発があった頃に投降してますよね。何か関連性は?」

「鋭い質問ですね。目下、取り調べ中です。詳細・進捗は追ってお知らせしますが、被疑者の名前・年齢は別府敏也。37歳です。動機その他はこれからです。では、今日の会見はこれくらいで。ああ、今の記者さんは、どこ新聞でしたかな?」

「TOKIO新聞です。横川です。」「ありがとう。横川記者のように、質問は簡潔に願います。では・・・。」

 正午。東山署。署長室。

「お嬢の罠にかかってくれますかな?」と、副署長の船越が言った。

 電話を切った、茂原は署長に「別府はまだ、口を割らんそうです。持久戦ですかね。」と言った。

 午後1時。京都府立文化芸術会館から『下った』荒神口通り付近。

 2人の芸者が、TOKIO新聞の横川がリムジンに乗る所を、こっそり撮影、メールで送った。

 2人の芸者は、小鹿と小夏だった。

 京都市役所前。

 待機していた白バイが出発した。

 午後2時半。

 リムジンが、八坂神社手前、『男坂』付近の屋敷に入って行った。

 白バイが屋敷に入ると、反社、いや、ヤクザが白バイ警官を取り囲んだ。

「スピード違反は、してへんでえ、お巡りさん。」と、ドライバーは凄んだ。

「ほな、ほかの違反で捕まって貰おうか!!」と、チエは言った。

 5分と経たない内に、白鳥とチエは連中を地面に転がした。

「なんや、騒がしい。」と、家の主人の赤穂虎吉が秘書と出てきた。

「観念しいや、オッチャン!!」

 チエが言うと、秘書が「げっ!!暴れん坊小町!!」と息を呑んだ。

「ウチも有名になったもんやな。『赤ベコの会』も、有名になるなあ。中途半端な反社の生き残りと半グレの生き残り使って、『赤ベコの会』を批判した橘議員に、『警察と裏取引』があるという噂広めて、府知事や市長と同じ党に疑惑を持たせる記事、書かせようとしたのは、『法律違反』やなあ。別府も鴻巣も吐いたで。『赤ベコの会』も解散やな。」

「今回はやり過ぎたな、TOKIO新聞の横川さん。」と、白鳥が言った。

 中町や茂原が、警官隊を連れて雪崩込んだ。

 午後5時半。東山署。

 小梅、小菊が代子と共に訪れた。

「ホンマにチエちゃんは天才やわ。芸者やったら、却って目立つことがないって、考えるなんて。」

「いつも、お世話になってるからなあ。塔子さんと稲子さんが『赤ベコの会』や政治関係の噂、ネットで拾い集めてくれたお陰や。ウチらだけで解決したんと違う。皆の力や。」と、チエは誇らしげに言った。

 午後7時。神代家。

「良かったな、解決して。ああ、変装した鴻巣の目撃者も出てきた。『お裁き』は、これからや。」

「ちゃん。今夜の『読み聞かせ』は『赤ずきん』がええわ。」

「お前、洒落がきついな。」

 2人は心底笑った。

 ―完―



「ホンマにチエちゃんは天才やわ。芸者やったら、却って目立つことがないって、考えるなんて。」

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