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30.鳥居事件

会議中、チエのスマホが鳴動した。

皆、固唾を飲んで見守った。この場合、チエの親友小雪を通しての『通報』だ。


 ========== この物語はあくまでもフィクションです =========

 ============== 主な登場人物 ================

 戸部(神代)チエ・・・京都府警警視。東山署勤務だが、京都市各所に出没する。戸部は亡き母の旧姓、詰まり、通称。

 神代宗佑警視正・・・京都府警東山署署長。チエの父。

 茂原太助・・・東山署生活安全課警部補。

 小雪(嵐山小雪)・・・チエの小学校同級生。舞妓を経て、芸者をしている。

 船越栄二・・・東山署副署長。チエを「お嬢」と呼んでいる。

 白鳥純一郎・・・チエの許嫁。京都府警勤務の巡査。実は、大前田警視正の息子。母の旧姓を名乗っている。

 楠田幸子・・・チエの相棒の巡査。

 大前田弘警視正・・・京都府警警視正。大きな事件では本部長を勤める。白鳥の父。

 灘康夫・・・京都府知事。元作家。「康夫ちゃん」のニックネームがある。

 金平桂子・・・京都市市長。


 =====================================


 ※伏見稲荷には千本鳥居が何本あるか知っていますか?

 鳥居の数は,数え方にもよりますが,稲荷山全体で約1万基,そのうち千本鳥居は約800基といわれています。

 昨今、鳥居で懸垂したり、脚広げて踏ん張ったり、の外国人観光客。TikTokやInstagramで配信して、問題になっている。TikTokの方は東京の根津神社で、既に謝罪しているそうです。日本に永住しているフランス人は「恥ずかしい行為」だとYouTubeで言っています。


 さて。。。


 午前10時。東山署。会議室。

 会議中、チエのスマホが鳴動した。

 皆、固唾を飲んで見守った。この場合、チエの親友小雪を通しての『通報』だ。

「『芸者ネットワーク』からです。昨日、京都市在住の帰化フランス人が、たまたま、お参りした伏見稲荷神社で、『迷惑系New tuber』が下見していた事を聞き、どうにか出来ないか、と言ってきたそうです。」

「芸者ネットワークの情報か。それなら確かやな。チエ、行って来い。茂原、後でフォロー。」

 神代警視正は即断した。

 午前11時。伏見稲荷神社。

 2人の外国人と1人の日本人が、ロープの束と釘とハンマーを用意していた。

 そこに、白鳥が運転するマウンテンバイクでチエが駆けつけた。

 “What Are You Doing?” チエが尋ねると、日本人が外国人と何やらしゃべってから「鳥居の計測をするだけです。」と応えた。

 “Using Rope and nails? How?”

 日本人がまた外国人と何やらしゃべっていたので、チエは、3人とも平手打ちした。

 そして、小雪が差し出したピコピコハンマーで叩いた。

「何をする!」怒って、反応したのは、外国人の1人だった。

「反応が違う。猿芝居はせんでええ。日本語ペラペラの外人さん。台本通りに行かなかった事を後悔するんやな。」

 午後2時。東山署。取り調べ室。

「すると、ながーーーーーい、鳥居やから計測してみようと思った。で、直線や無いから中継地点に釘打つことにした。3人とも、日本語読めるよな。」

 船越は、京都のガイドブックの伏見稲荷のページを見せた。

「これ、本屋さんやコンビニで買ったもんやないで。君らの所持品や。ここに、鳥居の凡その長さも本数も書いてある。計測は要らんやろ。」

 外国人は、本に手をかけようとした。

「証拠隠滅?テロ準備罪に、罪が増えたな。さて、良い刑事悪い刑事普通の刑事、どれにする?交替するから。」

「ふ、普通の刑事。」

 船越は、笑いながら、取り調べ室を出た。

 替わって入って来たのは、彼らを逮捕した女性警察官だ。

 その女性警察官は、スカートをたくし上げて、ニッと笑った。

 午後3時。取り調べ室外。

 茂原と署長、副署長の船越が自販機前でコーヒーを飲んでいたが、取り調べ室の断末魔の声が途絶えたので、茂原が、「そろそろかな?」と言って、楠田の差し出した『オムツ』を持って、取り調べ室に入って行った。

 白鳥がやって来た。「済みません、白バイが間に合わなかったので。」と、マウンテンバイクの件を署長に謝罪した。

「まあ、白バイでは、あの坂はきついかもな。清水寺の参道ほどやないが。」と、署長は笑った。

「しかし、芸者ネットワークって凄いですな、署長。」と船越が言うと、「うん。監視カメラより人の目の方が確かやからな。主な神社仏閣の近くの店や住人、永住した外国人もネットで募集して参加している。大したもんや。京都は古い街やけど、人間は、いつまでも古くはないで。」と、笑った。

 そこに、大前田、灘、金平の大御所三人がやって来た。

 署員が、総立ちした。

「ああ。今、『完落ち』したとこですわ。黒幕も、これから引っ張ります。」と署長が良い、白鳥は、自販機から3人分のコーヒーを買って渡した。

 午後7時。神代家。

「やっぱり、半グレが噛んでたわ。ちゃんのカンもまんざらやないな。」

「それ、褒めてるんか?で、どんなパンティ見せてやったんや。」

「これや。」チエはスカートをたくし上げた。ナナホシテントウ虫の柄のパンティだった。「フリーズしてたで。」

「白鳥は、幸せ物やな。」

 ―完―


そこに、大前田、灘、金平の大御所三人がやって来た。

署員が、総立ちした。

「ああ。今、『完落ち』したとこですわ。黒幕も、これから引っ張ります。」と署長が良い、白鳥は、自販機から3人分のコーヒーを買って渡した。


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