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23.アイス

「ちゃん。ちょっとアイス切らしたから買うてくるわ。」

「うん。」

暫くして、神代は持ち帰った書類仕事を終えた。


========== この物語はあくまでもフィクションです =========

============== 主な登場人物 ================

戸部(神代)チエ・・・京都府警警視。東山署勤務だが、京都市各所に出没する。戸部は亡き母の旧姓、詰まり、通称。

神代宗佑警視正・・・京都府警東山署署長。チエの父。

藤原真吉・・・チエの幼なじみ。チエは弟分のように思っている。


=====================================


午後9時。神代家。

「ちゃん。ちょっとアイス切らしたから買うてくるわ。」

「うん。」

暫くして、神代は持ち帰った書類仕事を終えた。

警察官は公務員とはいえども、区役所職員とは違う。残業も持ち帰りもする。

ふと、冷凍庫を開けると、まだアイスは3個ほどあった。

神代は,思いついて、チエのスマホに電話した。

午後9時半。神代家近くのコンビニ。

「シンちゃん、警察に電話して。」

コンビニ内に声をかけ、チエはスマホに出た。

「ちえ。あずきバー。買ってきて。抹茶とな。」

「了解。」

チエがスマホをしまうと、店から真吉が出てきた。

以前、「シンキチ事件」の時、怯えていたが、「ウチが守ってあげるサカイな。」と勇気づけたことがあった。

チエの足下には、3人の若者が「寝ていた」。股間に何かを滲まして。

「レイプ未遂や。これで、当分騒ぎは起らんやろ。」

「すまんな、チエちゃん。」真吉は、110番をした。

実は、真吉が経営するコンビニは、フランチャイズで、家族が中心になって仕事をしている。

真吉は、親の代の八百屋を潰してコンビニにしたが、ノルマがきつく規則がうるさく、家族はろくに休めないので、悩んでいた。

まだ,24時間のところよりマシとは聞いているが、閉業しようかとも考えていた。

そこへもってきて、最近レイプ未遂事件が連続した。

レイプは、よく知られるように「親告罪」で、「泣き寝入り」が多い。

そして、「成功」するかどうかはともかく、すぐに犯人は逃げてしまう。

犯人はゲーム感覚だ。コンビニは交番ではない。

災害時には「拠点」にはなるが、普段はモノを売る商売だ。

困った真吉は、時間帯が固定なので、チエに相談した。

チエは、ものの10分で「片づけた」。

真吉は、袋を2つチエに渡した。

「1個は賄賂か?」「うん。おじさんの好きなあずきバー、多めに入れた。はい、レシート。」

確かに、レシートより多い商品だ。フランチャイズだから融通が利く。

チエは、足早に家に戻った。

午後10時。神代家。

冷凍庫にアイスを入れているチエに、「何人や?」と神代はそれとなく尋ねた。

「3人・・・あ。」

「この頃の『天狗』は、コンビニでアイス買うんやな。また、明日、茂原に嫌味言われるな。」

全てをお見通しの父親に、衣類を脱ぎ捨て、「ちゃん、抱っこ。」と「おねだり」をするチエは、計算高い、「お嬢」だった。

神代は、チエを抱っこして、風呂に向かった。あずきバーを食べる自分を想像して。

―完―



「1個は賄賂か?」「うん。おじさんの好きなあずきバー、多めに入れた。はい、レシート。」

確かに、レシートより多い商品だ。フランチャイズだから融通が利く。

チエは、足早に家に戻った。


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