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21.チエのお手柄

チエは、目を覚ました。

何故か病院らしきところのベッドに寝ていた。

小町は、すぐにナースコールを押し、間もなく看護師の衣笠が『とんで』きた。

医師もとんで・・・走ってきた。

「神代さん、起きた?状況、分かる?斎王さん。」


 ========== この物語はあくまでもフィクションです =========

 ============== 主な登場人物 ================

 戸部(神代)チエ・・・京都府警警視。東山署勤務だが、京都市各所に出没する。戸部は亡き母の旧姓、詰まり、通称。

 神代宗佑警視正・・・京都府警東山署署長。チエの父。

 茂原太助・・・東山署生活安全課警部補。チエを「お嬢」と呼んだり、「小町」と呼んだりしている。

 楠田幸子巡査・・・チエの相棒の巡査。

 堂本剛志・・・堂本クリニック院長。

 衣笠温子・・・堂本クリニック看護師。

 小雪(嵐山小雪)・・・チエの小学校同級生。舞妓を経て、芸者をしている。

 白鳥純一郎・・・チエの許嫁。京都府警勤務の巡査。実は、大前田警視正の息子。母の旧姓を名乗っている。


 =====================================


 チエは、目を覚ました。

 何故か病院らしきところのベッドに寝ていた。

 小町は、すぐにナースコールを押し、間もなく看護師の衣笠が『とんで』きた。

 医師もとんで・・・走ってきた。

「神代さん、起きた?状況、分かる?斎王さん。」

 チエが戸惑っていると、「この看護師さん、チエちゃんの後輩らしいわ。」と、小町が言った。

 脈や瞳孔を確認した医師は、「だい、じょう、ぶっ!!」と言った。

「先生、相変わらずやなあ。」と、チエが言うと、堂本医師は、チエの頭を撫でた。

「人命救助は、立派な警察官の仕事や。でも、民間人やないから、表彰状は要らんな。」

 笑いながら、堂本は衣笠と病室を出た。

「先輩。小雪さんが、近くの人に助けてー!!」って声かけたんです。」

 チエは思い出した。河原で遊んでいた親子が、ゲリラ豪雨で水かさが増えた為流されたのだ。ミニパトで通りがかったチエは、咄嗟に飛び込んだ。

 どうにか、親子を岸まで運んだのだが、気を失った。

 楠田が救急車を呼んだ筈だが・・・そうか。

「親子は?」

「大丈夫や、お嬢。子供は点滴打ったけど、父親は岩で肩を打って、脱臼や。1キロ先の水上病院で精密検査をしてる。」

 茂原の陰から、子供が顔を出した。

「おねえさん、ありがとう。お父さんが、もう帰るでて言うてるのにグズグズしてたさかいに・・・。」

「今度から、お父さんのこと、よう聞きや。」「うん。」

「ほな、お嬢。この子、水上病院に連れて行くわ。」「ありがとう、バラさん。」

「いつものことや。」笑いながら、茂原は、子供と出て行った。

 入れ替わりに、副署長と、所長である神代が入って来た。

「今日は、誰もパンツ濡れさ・・・あ。」

「船越のオッチャン、セクハラとパワハラやで。」

「ほな、罰を与えよう。コーヒー買ってきて。」と、神代は船越に言った。

「軽い罰やな。」「パンツ、サラの買ウテやるよ。」と、さらっと、神代は『流した』。

 入り口に、白鳥が現れた。

「今から、ラブシーンするから、皆帰って。」と、チエが言うと、神代は船越と、部屋の隅の椅子に座って、「いつ開演かな?」と、惚けた。

 白鳥は、ベッドに近寄り、黙ってチエの頭を撫でた。

 チエは、皆に愛されていた。

 ―完―




「今度から、お父さんのこと、よう聞きや。」「うん。」

「ほな、お嬢。この子、水上病院に連れて行くわ。」「ありがとう、バラさん。」


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