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10.円山公園

楠田とミニパトでパトロール中だったが、小雪の要望で、途中で拾い。祇園に届けた。

「チエちゃん、ごめんやで。タクシー代わりに使ウテしもて。」と、小雪は謝ったが、「かめへんかめへん。どうせ市内循環するンヤから。」


 ========== この物語はあくまでもフィクションです =========

 ============== 主な登場人物 ================

 戸部(神代)チエ・・・京都府警警視。東山署勤務だが、京都市各所に出没する。戸部は亡き母の旧姓、詰まり、通称。

 神代宗佑警視正・・・京都府警東山署署長。チエの父。

 船越栄二・・・東山署副署長。チエを「お嬢」と呼んでいる。

 茂原太助・・・東山署生活安全課警部補。チエを「お嬢」と呼んだり、「小町」と呼んだりしている。

 小雪(嵐山小雪)・・・チエの小学校同級生。舞妓を経て、芸者をしている。

 白鳥親吉巡査・・・警邏課巡査。

 楠田幸子巡査・・・チエの相棒の巡査。


 =====================================


 午後4時。祇園。

 楠田とミニパトでパトロール中だったが、小雪の要望で、途中で拾い。祇園に届けた。

「チエちゃん、ごめんやで。タクシー代わりに使ウテしもて。」と、小雪は謝ったが、「かめへんかめへん。どうせ市内循環するンヤから。」

 小雪が去った後、警察無線が入った。

 丸山公園で、人質を取って、男が暴れているということだった。

「先、行くで。」そう言ってチエは走りだした。

 午後4時半。丸山公園。瓢箪池近く。

 覚醒剤でもやっているのか、明らかに尋常で無い様子だった。

 チエは、小石を拾って、『ど真ん中』にアンダースローでストレートを投げた。

 男は、もんどりうって、倒れた。

 付近に異臭が流れた。

 午後5時半。東山署。取り調べ室。

「まだ痛いか。そらあ、痛いよな。普通なら、即病院やけどな。クスリで麻痺してるんやな。住所と名前だけでエエで。救急隊員さんも待ってるし。」

「田ノ上啓介。東山区山科・・・痛い、痛い、痛い!!」

 取り調べ室にチエが入って来た途端に田ノ上は痛みを訴えた。

 間もなく、田ノ上は担架で救急車に運ばれ、救急車は発車した。

 多分、救急車の中では、あまり痛い痛い言わんやろな。」見送った、茂原が言った。

「相乗効果か。人質になった娘さんは、左腕を切られてたが、軽傷や。ほな、茂原刑事。出張、頼むで。」と、副署長は言った。

 午後7時。神代家。

 夕食と食べながら、神代は言った。「コントロールがええノンも、考えモンやな。他のとこ狙う気にはならへんかったんか、チエ。」

「何も考えへんかった。結果オーライやろ。薬物は、どっから?」「拾ったんやて。」

「んな、アホなあ。」「親子漫才やってるとこはウチくらいやろな。小雪ちゃんは、パトロンいてへんのか?」「知らん。」「ふうん。」

「ちゃんは、再婚セエへんの?」「相手、おらんがな。ヘンな瘤、おるし。」

「ウチ、肥えてへんで。」「小太りねえさん、てか。みんな、こんなチエ知らんからなあ。『暴れん坊小町』って、京都府警で知らん人間はおらん。」

「自慢の娘やろ。」「はいはい。明日も活躍しておくれやす。」「へえ、おおきに。」

 今夜の漫才は、長くなりそうだった。

 ―完―



夕食と食べながら、神代は言った。「コントロールがええノンも、考えモンやな。他のとこ狙う気にはならへんかったんか、チエ。」

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