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プロローグ
振り返ると、あれは、幼稚園のときだった。
当時、『カンチョウ』といって、服越しではあるが人の肛門に人差し指を突き立てる遊びがやんちゃな子の間で流行っていた。
あるとき、お調子者のたかし君が俺に仕掛けてきた。
不意に後ろから「カンチョー!」と言いながら、ピストルの形にした指を俺の肛門に突き立ててきた。
驚きと痛みで振り返ると、そこには、両手の人差し指から血を流し、茫然としているたかし君の姿があった。
最初は俺の肛門から出血したのかと思った。しかし、よく見ると違った。“たかし君の人差し指の先端が無かった”のだ。第一関節の先、半分ほどが完全になくなっていた。
指から血を流しながら大声で泣き出したたかし君のおかげで大ごとになった。また、カンチョウは危険だからと禁止になった。
その後、帰宅して、連絡帳を見た両親が心配して医者に診せに行ったが、特に異常はなかった。
さて、時は現在に戻る。
俺の手には根元しか残っていないディルドが握られていた。