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sinθが分からない  作者: y42ks
cosθ編
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cosθ≒0.940

京都の夏はとてつもなく暑い。盆地になっていて夏の太陽に温められた空気が抜けていく先がないからだ。8月なんか人間が暮らしていける環境とは思えない。大学生は8月から夏休みなのが助かった。三ノ宮家にも断りを入れ、オンラインでの授業に切り替えてもらい宮城へと帰省していた。宮城ももちろん夏なので暑いは暑いんだが、時たま吹く風は爽やかで心地よい時もある。特に今俺が来ている山の中まで来てしまえば夏とは思えないほど清々しい気持ちになれるものだ。マイナスイオンは非科学的で信じてはいないが、何かしらの作用がある物質がありそうだなとは思っている。なぜ俺が山の中へ来ているのかと言うと、たつ兄を探すためである。子供の頃来たキャンプ場の近くにある集落。きっとそこに居るだろうと当たりをつけてきていた。問題は詳しい場所を知らない事であるが。今どき電波が届かない場所など国内にはなく、回線が遅くともインターネットを使えないところは無いだろう。合宿で取った免許で初心者マークが貼ってあるレンタカーは田舎では目立つ。まぁ人がいればなんだが。琴葉は置いてきた。あいつは巻き込めないし、長旅になるからきっとうるさいし。でもなぁ、置いてきたこと自体もうるさそうなんだよなぁ…。専門学校は大学より夏休みが短いので課題に追われているだろう。大丈夫大丈夫と自分に語り掛ける。


そんなこんなで目的の集落に着いた。初心者には厳しい山道だったので思ったより時間かかってしまったが日が出ているうちにたどり着いたのでよしとする。たつ兄の名付け親のことは知らないので、二階堂龍騎について歩いて聞き回るしかないんだが…。誰も歩いていない…。どの家が空き家でどの家が住民がいるのかすら分からない…。段々畑の1番上。その端に座り景色を見る。田んぼにはられた水に太陽が反射しキラキラ光っている。風が吹く度に稲穂が揺れる。畑に植えられているものは何かわからなかったけど、あれはトウモロコシかな。それだけは分かる。よしっ。と重い腰をあげ住民探しに行こうとした時。


「よいしょーーっ!!」


声が聞こえてきた。それほど遠くない。山の中に声が響くので細かい位置までは分からないが方向くらいはわかる。人が住んでいる。その情報だけで元気になる。それより、とても若々しい女の人の声だった気がするし、なんか聞いたことがある声質な気がする。しかし、俺の知っているその声はもっと奥ゆかしい話し方しか知らない。こんな男勝りな声を出すような子じゃ…。


「よいしょーーーーー!!!」


鉞担いだ金太郎ならぬ、鍬を担いだ三ノ宮菜花。うーん。似合わない。顔や服は土まみれだ。しかしその顔はイキイキしている。無事であったことに安堵しつつ、何があったのか聞かないと俺の腑に落ちない光景だった。


「よう。りんたろー。来たか。」


咄嗟に後ろ回し蹴り。しかし既に避けられていた。


「気配を消してくるな。()()()


そこにいたのは何年かぶりに会うたつ兄の姿があった。

ちょっと落ち着いたので少しずつ投稿します。

毎日投稿は無理かなー。

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