cosθ≒0.951
まず第1ラウンドはドローと言ったところか。お互い本心を出さず、かつボロも出さない。頬を一滴の汗が流れる。
「少し休憩しようか。」
三ノ宮家当主はそういうと手を2回鳴らす。扉が開かれ執事が入ってくる。
「梔子くんは何が飲みたい?あぁ警戒しなくてもいい。さすがに睡眠薬などいれないさ。信頼して欲しいね。」
「そうですね。12年の山崎で。」
「ははは。君も冗談が上手いね。だが、君はまだ未成年だ。大人としてここは断っておこう。」
「そうですか…。では、コーヒーでいいです。ブラックで。」
「承知した。では、私は12年の山崎で。」
おい!ツッコミたいがぐっと堪える。かしこまりました。と執事が部屋を出ていき、2、3分ほどでコーヒーが2杯運ばれてくる。流石にウイスキーは執事に止められたか…。
「ふぅ。いやはや、君はとても優秀だね。是非とも我が一族に入ってもらいたいものだ。」
「光栄です。それはまたの機会に。ところで、菜花さんはどこにいるか見当はついているのですか?」
「それがさっぱり。夜闇に乗じて攫われ、追跡はできなかったんだ。東京で見かけたという情報はあったが、正確な情報とまでは言えない。」
「そうですか。私から出せる情報は何もありません。九十九くんとはあの時遊んだ以来会ってませんし、連絡先も知りません。まぁ詳しく調べてもらえば私の潔白は証明されるでしょう。」
「そうか。そうか…。ちなみに、今日呼んだのはこれだけじゃない。おい。入ってきてくれ。」
そういうと再び扉は開かれ小学生?低学年くらいか。男の子が入ってきた。
「三ノ宮京太郎。小学二年生だ。梔子くんには、この子の家庭教師をしてもらいたい。もちろん菜花と同じ条件だ。小学生の家庭教師は難しいだろうがよろしく頼む。今日は遅いから来週から頼むよ。」
「承知しました。謹んでお受けします。」
京太郎くんと目線を合わせ、よろしくねと微笑む。少し睨まれた気がしたが、気のせいだろう。それにしても、なぜこのタイミングで弟の存在。いや、弟とは限らないけど弟の存在を明らかにしたのか。これは三ノ宮家からの警告だろうか。菜花を攫っても代わりは幾らでもいるんだぞ。そういう脅しにも聞こえる。菜花さんを真面目に捜索してもいないのだろう。いったい何を隠しているんだろうか。
951って斜めに並んでてなんかパチンコ打ちたくなりました。




