cosθ≒0.971
1番近くのコンビニまでは車で30分。スーパーともなると1時間近くかけないとたどりつかない。歩こうと考える人は馬鹿だと思う。憧れた田舎生活は思ったより不便であるが、その不便さがいいのだと三ノ宮菜花は感じていた。今までは、望めば全て手に入る。しかし家の外は望んでも手に入らない。今は真逆と言っていいだろう。早朝から行う農作業にそろそろ慣れてきた頃だった。朝からカンカン照りの太陽に汗を拭う。日差しは夏が近づいてきたものの、吹き抜ける風はまだ春の爽やかさが残っていた。
「菜花さん。お昼ご飯ですよ。」
老婆というには若々しい。そんな声が聞こえてくる。言われて気づいたがとてもお腹すいている。するとお昼のサイレンが鳴る。おばあちゃんすごいな。サイレンが鳴る前にお昼ご飯の時間を予期していた。これがこの集落で長年過ごすという事なのだろう。完全に生活習慣が身についている。
「いまいくよー。」
すっかり、お嬢様言葉が出ることも無くなり、本物のおばあちゃんのように甘えている。もちろん甘えるだけじゃなくて働いてもいる。働かざる者食うべからず。この言葉くらい私は知っている。今日のご飯はなんだろうなんて考えながら、家に入る。土が付いた手と顔を洗って居間に向かう。
「あれ?龍騎さん。今日はいるんだ。」
暫く見ていなかったその姿に少し気持ちが明るくなる。疲れた体も気にならないほどに。しかし、その姿をよく見るとボロボロになっていた。
「えっ。龍騎さん。大丈夫?」
「俺が大丈夫かって?ふっ。今までの俺とはもう別人だよ。」
ドヤ顔でそんな顔をした姿にほっと胸を撫で下ろす。
「いてっ。」
「調子に乗るんじゃない。お主はまだまだなんじゃ。」
えっ。いつからそこに?気配を絶って、龍騎の後ろから忍び寄ったたつじいは手刀を龍騎に喰らわせていた。
「流石にたつじいが本気で気配絶ったら誰も気づかないって。」
「それもそうじゃがな。」
本物の兄。本物の祖父母。本物の家族みたいな日常に少し涙を流しそうになるが、こんなことで泣いてたら成長できない。少し鼻をすすり、食卓に並べられたご飯を食べる。
「そういえば、九十九から連絡あった。」
「お兄ちゃんから?」
「そろそろ動くそうだ。」
「そっか…。」
実の兄と育ての親。どちらが大切かなんて普通なら選べないかもしれない。けれど私は兄を選ぶ。普通の育ての親じゃないから。
「安心してくれ。君は俺とたつじいが必ず守るから。」
「勝手にワシをいれるな。守るけど…。」
「あらヤダ2人とも惚れ直しちゃう。」
食卓が笑いに包まれる。そんな日常をもう少しで本当に手に入れることができるんだ。
我がロッテ軍。諸悪であるソフトバンクを3タテ!!
とても気持ちがいいですね!!!




