cosθ≒0.995
俺はまず図書館へと向かった。
市立図書館にはこの街の古い情報もあるだろうと推測したからである。三ノ宮家の成り立ちを調べようと思ったのだ。三ノ宮家から暗に来るなと言われてる現状、訪問して直接聞くわけにもいかない。ここであれば、新聞記事や歴史書。自由に使えるパソコンもある。調べ物には最適であった。こいつさえいなければ…。
「すごい!広い!見て!隣にス○バもついてる!」
最近放置気味だった琴葉が着いてきてしまった。
「こんな所に1人で来ようとしてたなんてひどい!ぷんぷん!」
ぷんぷん!じゃないよ。邪魔だから呼ぼうとしてなかったわけで。まさか出かける直前に直接家に来られるとは…。まぁ、テキトーにマンガ本でも持たせてそこら辺に放置しておくか。たつ兄はきっと琴葉を巻き込みたくない。だから俺に忠告してきた。とりあえず、お昼前に集合時間を設定し放牧した。くれぐれも静かにするようにと注意もして。俺はオカンか。
まずはインターネットで三ノ宮家について調べる。しかし、これといった情報が出てこない。あれ程のお金持ちだから会社を何社か経営してると思ったんだがな…。仕方が無いので歴史を調べることにする。すると、こちらではすぐに三ノ宮家に繋がる情報が得られた。要約するとこうらしい。
三ノ宮家は先祖代々この地の豪家であり、百姓を纏めるトップであったようだ。管理する土地もここら辺ではいちばん広く所謂お殿様などにも口出しできる立場であったらしい。もちろんその名前は広く知られている訳では無いが、確かに三ノ宮家の助言で当時の足利氏などが政治を行っていたらしい。
なるほどね。当時から陰に隠れて裏から政府と繋がる立場であったのか。ということは今の時代もきっと…。もう一度三ノ宮家についてインターネットで調べると、あれよあれよと情報が出てくる。地元で顧問弁護士として多くの企業と繋がりがあることがわかった。それも三ノ宮という苗字はついていないが、親戚筋の大勢が。菜花さんの父親は地元の企業という訳ではなく所謂大企業の顧問弁護士を何社か請け負っているようだ。これは…。匂うな。闇の匂いがぷんぷんと。いや、これは…肉が焼ける匂い?
休日の図書館の外では屋台が少しだけ開かれていた。お昼時に近づきお客さんが増えて匂いが漂ってきたようだ。もうこんな時間か。集合時間まであと5分くらいなので、琴葉を探す。どうせあいつは時間なんか観てないだろうから。
「りんくん…。」
まるで飢えた獣のような声で話しかけられる。振り返るとヨダレを垂らした琴葉がいた。珍しいな時間を守るなんて。
「ワタシアレタベル!」
知能まで獣並になったようだ。しかし俺もいい匂いにつられて腹が減った。混む前に昼ごはんを食べようとするか。俺と琴葉は長蛇の列になる前の屋台に並ぶことにした。
今週木金と更新できなさそうです…。
明日3話更新出来たらするけど…。




