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山にはたくさんの動物がいる。自明のことであるが、ここら辺の地域では国の天然記念物であるニホンカモシカを代表とし、ツキノワグマやニホンザルといった多種多様な野生動物が住んでいる。
茂みから物音。季節は夏。熊が冬眠している時期では無いため熊の可能性もある。いや、結構大きな声ではしゃいでいた。熊は存外臆病な正確なため人の声が聞こえてくるとそこに近づかない。となると、猿かカモシカか。うさぎだったらいいな。振り返るのが怖い。しかし、正体を確認しないと逃げる必要があるのか助けを呼ぶ必要があるのかの判断もできない。握りこぶしに力が入る。意を決して振り返る。なっ
「なにしてるんだ。たつ兄…。」
そこには、サバイバルでもしているのかという風貌の。顔には多くの土がつき、手にはよく分からない山菜?みたいなのを持っていた。
「凛太郎じゃないか!ってことは」
「たつ兄??」
「琴葉。俺だよオレオレ」
そんなセリフ詐欺でしか聞かない。話を聞くとどうやら、引越し先がこの山が所属する地域だったらしく、こっちに来てから山の散策ばっかりして遊んでいるらしい。そんな…。ゲームが大好きで家から出ないイメージしかないたつ兄が…。こんなやんちゃな田舎の少年のようになってしまうなんて…。
「凛太郎。びっくりするなよ。この地域な。ネットが繋がってないんだ。」
嘘…だろ…?このご時世でまだそんな隔絶された場所があるなんて。何はともあれ、元気に生活していることに安堵はした。しかし!!!こんな野性味のあるたつ兄と琴葉が出会ったら!どうなるのかというと!
「よし、琴葉。この山を案内してやる!ついてこい!」
「いえっさー!!!」
「ストップ!!!!!」
たつ兄は大丈夫。もう自分の庭のように生活出来ているだろうから。でも琴葉。お前はダメだ。たつ兄がいたって遭難する危険がある。せめて、親に許可をもらってからだ。
とりあえず川の水でたつ兄の顔を綺麗にしてから親がいる場所へと向かった。
たつ兄にもこんな時代があったんだなぁ。
あ、ちなみに僕の地元こんな感じです。




