sinhθ≒1.18
仙台駅から車で1時間ほど。国道に沿って車を走らせると、どんどん山奥へと連れていかれる。その途中。県境が目の前まで迫ったその場所に来ていた。冬になればスキー場として賑わうその場所は、夏場はキャンプ場として解放されている。動かないリフトや、緑の多いゲレンデはスキー場の面影を残し、しかしながら夏の暑い日差しはここはスキー場ではないと否定する。山をひらいて作られたので、小さな渓流も流れ自然豊かなこの場所はキャンプをする上で、交通の便以外は良い場所だと思う。
「ほわぁぁぁぁぁぁ」
ここであほ面しているのは御伽琴葉。幼稚園の頃から隣人で同い年と言うだけで家族ぐるみの付き合いである。梔子凛太郎としては、出来の悪い妹のようで世話が大変である。少し前までは二階堂龍騎という兄貴代わりのやつが世話してくれていたんだが、俺らが小5。たつ兄が小6のタイミングで引っ越してしまい、とても手を焼いている。来年からは中学生になるのに未だに成長が見受けられない。たつ兄が引っ越すとわかった時には2週間くらい泣いて大変だった。
親はテントの設営や、BBQの準備に取り掛かり、準備完了まで俺たちは自由時間となった。琴葉が親の目から離れ遠くへ行かないようにと釘を刺されているので、実質俺が保護者代わりである。とはいえ、ここはスキー場。かなり開けており、遭難や迷子などは考えられないだろう。俺がいれば。
「りんくん!川行こ!川!」
普段、都会の喧騒の中で生活している俺たちにとってこの大自然は貴重な体験である。近くに流れる川はもちろん立ち入り禁止であるし、下流に近いため川幅が広いものだ。しかし、山に流れる渓流は細く流れが速い。これ学校で習った。普段見ている川とは違う物がそこにあったら。普段触るなと言われたものがそこにあったら触りたくなる。ちなみに俺も渓流にはいってみたかったので一緒に行くことにする。
木々に囲まれた渓流は、夏の強い陽射しを妨げ、葉の影から差し込む少しばかりの日差しを受けてキラキラと輝いて見えた。
「魚!魚いた!」
そりゃこんな大自然の川だ。魚など探さなくてもいるだろう。ちょっとまて、飲むな。川の水は微生物が大量に存在していて腹壊すぞ。奥へ行きすぎないように琴葉を静止しながら、川で遊んでいた。
がさがさ
「きゃぁぁぁぁ。なんかいる!!」
2月の間は不定期更新で番外編sinhθ編を更新します。
cosθ編のプロットも考えながらね




