sinθ≒0.866
――― 答辞 ―――
春の暖かな日差しが見え隠れし始めるこの季節。私達陸奥第三高校第三学年は今日。この学び舎から飛び立ちます。今思い返してみますと、毎日が楽しく濃い日々を過ごしてきたと思います。少し長くなりますが、思い返してみることにしましょう。
新入生としてこの学び舎へ足を運んだ日。私達は自分への期待と未来への希望を胸に入学してきました。結果として、私達第三学年が中心となり、部活動では多数のインターハイ出場。勉学においても過去最高の国公立大学合格者を排出出来ました。あのころの期待に答えたということでしょう。
第一の試練として立ちはだかったのは、おそらくみんな同じだと思いますが、前期体育祭でしょう。私達が第一学年のときに目にした光景は、たかが学校のイベント。されど学校のイベント。とにかく熱い先輩たちでした。体格の差はあるでしょうが、何よりあの熱さにやられ上手く活躍できなかったことを思い出します。
第二の試練は、第二学年の時の林間学校では無いでしょうか。普段の学校生活から離れ、自然豊かな場所での学習は楽しく、羽目を外したくなる気持ちが私にもありました。しかし私たちは飽くまで学生ですので、自分の律する力。それを鍛えることが出来たことでしょう。
第三の試練は、やはり先日まで続けてきた受験勉強では無いでしょうか。中学生時代に行った高校受験とは比べることも出来ない量の試験範囲と科目の数には私も少し苦戦してしまいました。しかし、私達は一丸となり強大な敵を打ち倒すことに成功したのではないでしょうか。もし、打ち倒せずに心挫けそうな人がいたら私たちがいます。この学び舎で共に学んだ私達です。いつでも頼ってください。
さて、ここで少し個人的な話をさせていただきます。私は生徒会長として、好き勝手な学校生活をしてきたと自覚しております。それに巻き込まれ、迷惑をかけた同胞や後輩がいたこと。詫びる気持ちはありません。私という台風を乗り越えたあなた達はきっとこれからも、私を制御することが出来るでしょう。特に、現生徒会長である梔子君には、とても大きな期待をしています。
私の将来の目標はこの国を変えることです。現在、貧困、少子高齢化、災害大国の我らが日本はこのまま対処しないと取り返しの効かない場所まで来てしまっていると私は考えます。そんな日本を私は必ず変えると。どんな手段を用いたとしても。ここに宣言致します。もし間違った方法を取ろうとしている私がいたとしたら、梔子君。私を止めてくれると期待していますよ。
そろそろお別れの時間のようです。いつかまた、会える事を祈って。答辞とさせていただきます。
陸奥第三高校第三学年 二階堂龍騎。
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明日で終わり!
sin編はね。




