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sinθが分からない  作者: y42ks
sinθ編
55/86

sinθ≒0.809

共通テストも終わり、自分の結果に一喜一憂する3年生たちの喧騒はまだ止まない。共通テストの結果を承けて二次試験に申し込む大学を選び、その大学の勉強をしなければいけない。とはいえ、共通テストを乗り切った安堵からか、もしくは覚悟を決めたからなのか。3年生たちの殺伐とした雰囲気は幾許か和らいでいた。我らがたつ兄は元々殺伐とすることも無かったけど。結果は教えてくれなかったけど、あの人なら下手したら満点とかとったんじゃないかと思う。

最難関の東大医学部ですら95%あれば入れるのだ。100%なんて人間は今まで見た事も聞いたこともない。自分の模試の結果も悪くなく、志望校はまだ決めてないが、今のままでいけばどこでも入れるだろう。1月の寒さは2月に入ってもまだ続いている。奥羽山脈を越えた低温の風はまだ俺をコートの上から攻撃してくる。2月に入ると、3年生は自由登校になり各々自宅や予備校などで勉強をするため自習室が2年生でも使えるくらい空いている。それでも、学校での勉強が捗るという理由で学校に来ている3年生も少なくない。


「りんたろう。受験勉強はどうだ。」


「こっちのセリフだ。たつ兄だって2次試験あるだろ。」


「そうだな。まぁ今ちょっとイベントで忙しいんだけど。」


イベントって…。ゲームのだろ。


「結局どこ受けるんだよ。」


「内緒…。だけどまぁいっちばん難しいとこ。」


国内で言えばもちろん東大医学部だが。たつ兄は医学に興味は無いはず。つまり、海外かな。


「りんたろうはどこを受けるつもりなんだ。」


俺か…。まだ何も考えてないけど。


「たつ兄が面倒を見ないなら俺が見ないとなんだよな。」


「そうだな。頼んだぞ。」


誰のことかは言わなくてもお互い分かっている。


「あいつは確か、京都の方行きたいって言ってたな。なんだったか。好きなアニメの聖地があるだか、好きなアニメを作った会社があるだか。」


ほんとにあの子は全く…。うち進学校ですよ?進学理由が勉強じゃないとは…。


「じゃあ俺も京大かな。」


「うん。そうだな。」


たつ兄は少し口の端が上がっている。


「お前は少し生真面目だからな。警察とか似合うんじゃないか?」


「その時はたつ兄を捕まえに行くよ。」


「俺まだ何もやってねぇよ!」


ははは。とお互い笑い会う。

遠くから琴葉が俺を探す声が聞こえる。


「じゃあな。りんたろう。せいぜい失敗しないようにな。」


きっと彼なりの応援なんだろう。少し嫌味っぽいたつ兄と学校で会えるのもあと1ヶ月。少し寂しい気がするが、俺も俺で忙しくなる。きっとたつ兄を寂しがる暇なんかなくなるんだろう。


「いた!りんくん!あれ?今誰かいた?」


「気のせいだよ。お化けじゃない?」


ひぃええええ。とすごい怯え方をする。見てもないお化けでビビるな。


「りんくん!手伝って!たつ兄へのバレンタインチョコ作り!!!」

まだ2週間くらいあるのに、バレンタインチョコ作り始めるの早くない????と、お思いの貴方!琴葉だぞ!失敗しまくるに決まってるだろ!!


遂に現実の日にちを追い越してしまったか…。

一応最終章ってことで。卒業編?粋な言葉を考えるのが苦手なのでこういう時はこのタイトルにした自分を褒めたいよね。

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