sinθ≒0.766
心地よい秋の風から凍てつく冷たい風へと切り替わる。気温が下がりきるわけじゃないから服装に悩むんだこの時期は。コートを着ると暑いし、かといって上着を着ないとさすがに寒い。仙台市は雪は少ない。さすがに標高が高いところは多いけど、都会の人が思っているほど雪国では無い。風だけはすごい冷たいけど。校舎に入ると左手に自習室がある。この時期は、受験が迫った3年生たちでいっぱいになる。朝や放課後は入り切らないので図書室や空き教室で勉強する先輩も多い。たつ兄の姿を見たことは無いけど。あの人が勉強してるところを1度も見た事がない。志望校を聞いたてもはぐらかされるだけだ。テストでは学年1位という情報しか分からない。さすがに模試とかの情報までは分からない。スパイでも探偵でもないからね。我が校は県内屈指の進学校である。そこの1位ってなると、所謂旧帝国大学なんかは余裕である。あの人のことだし海外の大学とかにでも行くのかな。
「おはよ…。りんくん…。」
なんだテンションが低いな琴葉。テンションが高くていつでも元気なところだけがお前の唯一の取り柄だったのに。痛っ、くない?いつもの心読み攻撃も今日は冴えない。
「どうしたんだ。お前の唯一の取り柄の元気がないなんて。」
「心に思ったことをもう一度声に出すな!違うの…。違くないけど…。たつ兄がもうすぐ卒業ってことを思い出しちゃって…。」
「あぁ。でもあの人のことだしどこに行こうがしょっちゅう帰ってくるんじゃないか?」
琴葉を寂しい気持ちにさせるなんてたつ兄ならそんな選択とるわけが無い。いや、でもあの人自分で決めたことならきっと地球の裏側や宇宙にだって飛び出すタイプだしな…。今まではいつも俺と琴葉を巻き込んでくれたが、これからはそういうわけにはいかないのかもしれない。
「決めた!たつ兄に告白する!!」
まじか!もうバレてると思うけど…。
「そんなんで立ち止まるような人じゃないと思うけど…。」
「いいの!後悔したくないもん!!」
決行日は卒業式の後らしい。だいぶ先だな。
「気持ちの整理がつかないもん。」
もんじゃないよもんじゃ。まぁ、せいぜい頑張れや…。
後期体育祭は勿論たつ兄のクラスが優勝です。そんなこと分かりきってるからカット!!!!




