sinθ≒0.719
とりあえずの目標は自分の身長より高く跳ぶことである。185cmも跳べば優勝は楽だろう。…例年であれば。というのも、強敵がいる。バレー部のエースである。去年、1年ながら俺はこの競技で優勝はしているが、そのバレー部のエースは怪我で出場していない。垂直跳び1mは余裕な彼が最大の敵であると言える。190cmを超える身長は俺とのハンディキャップを作り、普段から上へ跳ぶ競技をしている所も俺との差を広げる要因の一つだろう。少し本気を出さなければいけなさそうだ。
走高跳は走幅跳とはルールが少し異なる。バーを少しずつあげて、2回連続で跳べなければ脱落するシステムである。高さは150cmから始まり、5cmずつ上げる。自信の無いものはそこから跳ぶが、自信のあるものはパスを選択もでき、より高い時点から挑戦が可能である。体力を温存できる一方、ミスれば記録無しとなり確実に最下位になる。そこも戦略である。
たつ兄と違い、充分なウォーミングアップを挟んでいるので、わざわざ低い高さを跳ぶ必要は無いので165cmまではとばしていいだろう。170cmからでもいいが、念の為。
「りんくん。たつ兄に負けないくらい目立ってね!」
嫌だ!とはいえ、優勝するほどの高さをとぶと結局は目立つことになるので目立たないということは無理みたいだ。
「ちゃんとかっこよく撮れよ。砂まみれにならないようにな。」
頬にまだ少し土が付いている琴葉は、無邪気な笑顔を向けて任せろと言ってくる。走高跳で砂まみれにはならないやろ…。渾身のボケを無視された悲しみはすぐに忘れ競技に集中する。既に160cmまで進んでおり、何人かの脱落者が現れている。バレー部の彼も同じく165cmから跳び始めるようだ。まぁここら辺はすんなりといかさせてもらおうか。
昨日は仕事忙しすぎて更新できませんでした!!
2話更新します!!




