sinθ≒0.707
少し冷静になって、俺がやるべきことを思い出した。たつ兄の跳躍はすごいものであった。つまりそれは相応の砂煙を巻き起こし、それは正面にいた琴葉に全力で浴びせられていた。琴葉の心配をしているんじゃない。砂煙が一眼レフにかかったら壊れるかもしれない。そうすると怒られるのは琴葉だけでは無いからだ。慌てて琴葉の方に向かうと…?死んでる…?おーいと話しかけるとか細い声で
「…生きてる…」
とだけ返ってくる。なるほどね。琴葉は、たつ兄がかっこよすぎて所謂、かっこよ死している状態であるらしい。違う!俺はお前の心配をしているわけじゃない!一眼レフは…。それは奇跡的に砂1粒もかからずそこにあった。琴葉は砂まみれだけどね。
「たつ兄が。たつ兄がね。これ持たせてくれたの。」
琴葉が持っているのは龍騎とでかでかと書かれたタオルである。あの人自作タオル持ってるの…?よく見たら、観客席のファン達もみんな持っていた。え?これ販売までしてるんですか?
競技場全体はまだ興奮冷めやらぬ状態。この後の競技は辛いだろうな。なぜならたつ兄と比べられるのだから…。そう。この後は俺なんだよなぁ。
少しばかりの憂鬱を振り払うために俺は走り出した。逃げるわけじゃない。ウォーミングアップですよ?
さてと。優勝しますか。
更新忘れてた!危ない!
次が本番なので今回は短くても許してちょ




