sinθ≒0.052
怒っている人の機嫌を取るのは簡単だ。その人が何に怒っているのかを理解し、同意を示す。そしてそれに対応する策をその人にあった方法で話すだけだ。しかし、こいつだけはとても難しい。時には好きなお菓子やアイスを渡すだけで済むときもあるし、最悪だと一週間くらい愚痴を聞くことになる。今回は、まぁまだましなほうだろう。
「なに!!あの清美って人!!私のたつ兄を…!」
お前のではない。
心の中で突っ込みをいれつつ、機嫌を取りながら帰った。たつ兄が託したたまごボーロのおかげで比較的簡単に機嫌はよくなったと思う。
「琴葉は体育祭何種目ででるんだ?」
陸奥第三の体育祭は前期と後期の二回開催され、前期では球技を行うことになっている。もともと運動音痴の琴葉は何に出るにおいても足を引っ張ることは間違いないのだが。
「もちろんバスケだよ!!」
どこからその自信がやってくるのかわからないが、ケガだけはしないように頼む。琴葉の親に監視役として頼まれているのだ。面目が立たない。
「なんとしてでも一回戦で負けてたつ兄の応援に行くんだ。」
負けることにそんなに意気込んでいる人は初めて見た。
「りんくんが何に出るかわからないけど、応援に行ってもいいんだよ。これからの態度次第だけどね。」
にこっと笑った。俺は、この笑顔をが見れるなら何でもいいが、ぜひともたつ兄と勝負したい。運動面では子供のころからライバルだった。負けるわけにはいかないのだ。俺のプライドがそう告げていた。
1話が短い方が読みやすいと思ってるけど
長い方がいいのかな…?