sinθ≒0.588
試しに琴葉に入ってもらおうと言おうと思った。言わなかった俺を褒めて欲しい。いくら政策に携わっていたとはいえ、全貌を知っていないであろう琴葉をこの中に入れるときっと今日中に出てくることは無いだろう。
「よう。りんたろう。楽しそうじゃねぇか。」
いつの間に!ちゃんと服は元に戻っているたつ兄がそこにはいた。
「迷路かー。苦手なんだよなー。」
「聞いて!りんくんが、爆速で帰ってきたの!信じられない!」
「まぁ。りんたろうはこういうの得意だからな。」
むすっとした琴葉はきっとたつ兄なら俺に勝てると思ったのだろう。
「たつ兄勝てないの…?」
「勝てないこともないけど…。」
少し悩んだたつ兄。
「文化祭の最後に挑戦するわ。」
今は忙しいんで、と言い訳をしその場を去る。少し不穏な気はするが、とにかくいまは甘いものが欲しい俺は当番の琴葉を置いてワッフルを買いに行くことにした。毎年家庭科部が作るというワッフルは、生徒だけでなく外部から来たお客さんも知ってるくらい少し有名らしい。
プレーン。いちご。チョコ。生クリーム。うーん悩む。より甘いものがいいが、生クリームは少し苦手。でも今回くらいは食べたい気持ちもある。悩みながらメニューを眺めているとそこにはありえない名前が。
「タバスコ…?」
「気づきましたかお客さん!我々が作った絶品の中に一つだけあるハズレ。たくさん買ってロシアンルーレットにどうでしょう!」
今は甘いものがいいんだけどなーと思いつつ。何種類か買った。とりあえず自分用にチョコ。あとは琴葉にあげよう。尊い犠牲になってもらおう。南無。
うん。美味しい。評判通りだ。やっと頭が働いてきた。頭が働いた上で琴葉にこれを食べさせようと思った俺は少し狂っていたのかもしれない。まぁいいか。
「琴葉。差し入れだ。食べな。」
やったー。と喜ぶ琴葉。今のうちに逃げよう。
頑張れたつ兄。貴方に慰めるのを託した。
ユニゾンライブじゃぁァァァ




