sinθ≒0.438
看板製作は、美術部員と生徒会が共同で作成する。
共同とはいっても、生徒会が材料、スペースなどを用意し美術部が手分けして描くのだが、今年は美術部員である琴葉が主導し作成することになった。美術部員は琴葉合わせて5名おり、巨大な看板に絵を描くのは5人とはいえ大変な作業であった。
琴葉は、あーでもないこーでもないといいながらも、先輩に臆することなく指示を出し、それはスムーズに進んでいるように思えた。
夏休みもあと三日と迫った日の朝。琴葉と一緒に登校した俺は、真横で歩いていた琴葉が急に走り出したので、それについて行った。琴葉は膝から崩れ落ち地面に手を着く。これはひどい。
一言で言うとめちゃくちゃだ。絵が描かれていた紙は破かれ、貼られていた大きな板は所々折れたりして破損していた。これを見つけた俺は直ぐにたつ兄に連絡した。
「まだ朝だろ。寝かせろ」
「そんなことより大変なことが起こった。詳細はメールしてるから見てくれ。」
俺の声色が真剣なものだと分かると、直ぐに切り替えてくれた。たつ兄が来るまでにやれることをやろう。
30分後、寝癖がまだ治ってないたつ兄が駆けつけてくれた。
「琴葉。心配すんな。犯人は絶対見つけてやる。そして頼む。文化祭までに看板を間に合わせてくれ。」
琴葉は半泣き半怒り状態だったが、たつ兄の安心感のあるセリフ。さらに、たつ兄に頼られたことに対しての喜びから
「ぜったいがんばる!!!だからたつ兄。おねがい。」
琴葉もたつ兄も普段は頼りないようだが、この掛け合いを見ていると、すごい頼れるように感じる。
「たつ兄。目撃証言とか先に聞いといたから。これ。」
メモ帳を、たつ兄に渡す。たつ兄はきっと犯人探しをするだろうと思っていた。早く犯人に結びつけるために俺なりに先に行動していたのだ。
たつ兄は考える時、腕を組み頬に手を当て指でリズムを刻む。それが一番頭が働くらしい。
「よし、足りない情報をゲットしてこよう。犯人の目星はついた。」
えっ…はやくない????
琴葉はorzこんな感じで落胆してます。




